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「パワハラ」と産業医 その2 お勧めの本

「パワハラ」は産業医にとって、
関連分野であっても主戦場ではないので、
どうも腰が引けてしまうことがある、と前回は書きました。

といって企業の中で起きる問題の解決を支援するのは産業医の役目。
いざ関わるとなればあちこちのサイトやら成書やらを当たります。
読み手に合わせた成書を推薦できることはイケてる産業医の役目のひとつではないかしら。


「パワハラ」というものがどのように定義されるのか、については、
もはや法律的な課題になるので、
どのような本を読んでいただいてもそれほど間違ったことは出てきません。

知りたいのは、「パワハラ」が起きたときにどうするのか、
どのようにことが進んでいくのかの流れ。
それをを押さえるためには、以下の2冊が良いと思います。
Q&Aであったり、マンガであったりで誰にもわかり良く、とりつきやすく。
かつ内容もしっかりしていると思います。

「図解とQ&Aでわかる セクハラ・パワハラ・マタハラをめぐる法律とトラブル解決法130」   2016/6/20
https://amzn.asia/d/1eqb3f5

「2020年6月施行「パワハラ防止法」に完全対応 管理職のためのハラスメント予防&対応ブック」  2020/2/13
向井 蘭 (著)
https://amzn.asia/d/dUqt2W4

上の二冊で事が起きた後の対応、については良いとして、
本丸は「如何にしたらパワハラを発生しないようにできるか」です。

ほとんどの「パワハラ」本は、
「正しい知識を付ければ、それでパワハラはなくなります!」といった前提で成り立っているように思います。
そこからは著者の見解になってしまったり、マインドフルネスなどの流行り言葉に流れていってしまったりして、
率直なところお茶を濁されたようなというか、
ほんわりした話で、「で?どうしたら?」に応えてくれる本は多くありません。

そんな中でも、この本は役に立つのかもしれない、と思いました。

「パワハラ上司を科学する 」– 2023/1/7
津野 香奈美 (著)
https://amzn.asia/d/d9qxsh6

新書の手軽さでありながら、
第4章 なぜパワハラは起こるのか――パワハラが発生するメカニズム
では「パワハラを誘発させる職場環境はどのようなものか」という視点から、パワハラの発生を抑止することを企図し、
第5章 パワハラ上司にならないためにはどうすればいいのか
では自己の行動統制のためのポイントを、
それぞれ科学的に、具体的に説明しようと努めています。

論理的、科学的な説明や対応を好む方にはとても有用な一冊だと思いました。

といって、こういったお勧めの本を読まない方ほど問題を起こしやすい、というのはどこの世界でも一緒ですね。

この項ここまで。








クラッシャー上司 平気で部下を追い詰める人たち
2017/1/13
松崎 一葉 (著)
https://amzn.asia/d/4P89HYI



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