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ブックオフ愛が爆発したエッセー集。/『ブックオフ大学ぶらぶら学部』島田潤一郎ほか

「あなたにとってブックオフとは?」

NHKの某番組のような問いかけで始まるこの本は、ライターの武田砂鉄さんや京都のホホホ座の山下賢二さん等が自身のブックオフ愛について語るエッセー集。ひとり出版社でおなじみの夏葉社の島田潤一郎さんが別レーベルとして立ち上げた岬書店から刊行されている。

▼ブックオフ好きなら共感度100%の内容

ブックオフの特徴と言えば、暴力的な安さだった。古本屋のそれとは違い、本の綺麗さが値付けの基準になっており、絶版になったお宝本が100円(税抜)の均一棚に並べられることもある。そんな掘り出し物を見つけるべくブックハンティングに興じるのが、ブックオフの醍醐味だった……。という話に共感できるか、「はぁ?」となるかでこの本にノれるかノれないかが決まるように思う。

ちなみに私は前者。この本を読みながら中高時代を思い出し、エモくなった。某地方都市に住んでいた私が休日で出掛ける先は、いつも決まって文教堂とブックオフ。毎週末、2軒のブックオフをはしごして、均一棚を巡るの青春だった。甘酸っぱさゼロ。均一棚で絶版となっていた都筑道夫の『なめくじに聞いてみろ』(扶桑社文庫)を発見した時の喜びは今も覚えている。

▼ブックオファー(ブックオフ好き)のエピソードに仰天!

下北沢の古書ビビビの店主・馬場幸治さんの文章が衝撃的だったので、ちょっと引用したい。


「一流のブックオファーになると探していた本や希少本が3Dのように本棚から飛び出して見えてくることはご存知かと思います。」

あ~、本が飛び出すやつね~……いや、ご存知ないわ‼
そんな馬場さんの全国ブックオフ巡礼エピソードをはじめ、せどらー(※)のZさんによるブックオフせどりの歴史等、行くところまで行ってしまった感じのブックオフ愛も読んでいて楽しい。

▼編集者の遊び心が溢れた装丁

本をくるっとひっくり返すと、ブックオフの値札を模した価格表記が!芸が細かい。また巻末の執筆者プロフィールにその人のブックオフ遍歴を踏まえ学部、学科名(ポイント計算学科とか、一〇〇円棚は心のオアシス学科とか)が書いてあったり、編集者の遊び心にあふれた1冊だ。

※注釈
せどらー……ブックオフで購入した本を、Amazonで転売し、収益を得ている人々のこと

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