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場所 泣く所、今 泣く所。

トゲトゲしい実を携えた花が一輪揺れている。コンクリートに降り積もった雨の履歴が、重力に伴い、下の汚れみたいにたれてる。
こういうひとは散歩がいいですよってテレビで言ってた。
全部の頭蓋骨をにきびみたいにぶちぶちつぶしてやりたくなった。
バカみたいな脳みそだ。
蒸すくせに無駄に爽やかな風が頬を叩く。
前後からくる奴らの意思を汲み取るのをやめたい。
薄汚れた水色の配送車。所沢ナンバー。
どぎついポルシェのピンク。
我が物顔のトラック。我が物顔の乗用車。働いている奴らはみんな我が物顔だ。
老人ホーム老人ホーム老人ホーム介護施設にシャワーを浴びれる施設。私に圧力をかけてかけてかけて道路の端に追いやるな。
軒先にぶら下がったぶどうを両の人差し指で圧死させるんだ。愉快だろう。食べてなんかやらない。馬鹿らしい。
この世間から放置された家が好きだ。
蔦だらけで、原木みたいなジジイが住んでる。ランニングシャッツが好きだ。
無駄に爽やかな風が吹く。
無心に咲く花々が風に踊っているだけで、どうして泣けてくるのだろう。
惨めだ。どうしたって。私は揺れたい。

私は人に逢わない道を知っている。
私は人に合わない道を知っている。
細い路地。崩れたコンクリートが積まれていて、バカみたいに主張する車が隙間にギチギチ納車されていて、郵便配達のバイクくらいしか通らない。
チョークでカラフルな猫や星が描かれている。
ボウフラの沸いた瓶も、割りに元気に手入れされたウリなんかも吊るされて。
そういった路地。そういった泣くのにぴったりの路地。

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