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健康で文化的で結構ハード、そんな仕事

「居所不明って、怖くないですか?」 話の前後は覚えていないのだが、配属されたばかりのころ、先輩にそう聞いたことがある。 居所不明。平たく言うと、居住実態がつかめない人。行方不明者。 この日本で、己の痕跡を消して行方知れずになっている人。 自らの意思なのか、なにかに巻き込まれてしまったのか。 居所不明状態が一定期間続くと、住民票は職権消除となる。 自治体の権限において住民票を削除されてしまうのだ。 ┄ ┄ ┄ 大学を卒業後、公務員になった。 小さな自治体の市役所の生活支援課

    • 『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』 川内有緒 -Life goes on

      アートを見る時、とりあえず分かろうとしているポーズを取ってしまう。 解説や図録を見て、ほ~ん…(?!)と言いつつ理解している自分を演じてしまう。 だけど、そもそも芸術を”分かる”って、なんだ? そんな疑問にヒントをくれる本を読んだ。 『目の見えない白鳥さんとアートを見に行く』 川内有緒 著 (「2022年 Yahoo!ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞」) 全盲でありながら美術館巡りを趣味としている「白鳥さん」と出会い、長い時間をかけて共にアートを鑑賞した川内有

      • 涙の味を知るマフラー

        この冬は、あまりマフラーを巻かなかった。 暖冬は助かるけど、マフラーの出番が減るのは寂しい。 マフラーをぐるぐる巻くと、防御力がぐんとアップしたような気がする。 温かな毛糸に包まって、守られているような、世界と隔絶したような錯覚に陥る。 なにより、うつむきがちな顔をうずめるのにちょうどいい。 マフラーは涙を受け止めてくれる。 中学生の時は、ざっくり編みのボリュームマフラーがお気に入りだった。 開けたばかりのピアスがよくマフラーに引っかかって、痛かった。 耳がピアスとマフラ

        • 『告白』 町田康 ―あかんではないか

          大衆のためでもなく、世間のためでもなく、 たった一人のために書かれたような小説を、読んだことがある。 『告白』 町田康 (中公文庫) 明治時代に実際に起きた大量殺人事件―『河内十人斬り』の犯人、 城戸熊太郎を描いた長編小説である。 「たった一人のために書かれた小説」というのはもちろん主観だけど、 哀しいほど滑稽な熊太郎の生き様を描いた850ページに渡る物語は、 誰にも理解されなかった城戸熊太郎の唯一の味方だと、私は思う。 この壮絶な作品を初めて読んだのは高校生の時。 そ

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