北の伏魔殿 ケースⅢ 作為と不作為 -③

○作為する人間をどう見抜くか~それが上司の責務


S主事について

➀私が赴任直後に、事業者ともめて課内で大声で怒鳴り合っていた
②彼の起案文書の内容を私が確認したところ、自分が答えられないことを聞いた係長が悪いと考えていた。
自然災害であるにもかかわらず、自分の思惑で事業者を行政処分しようとして、組織を訴訟に巻き込むところだった。
のは、ケースⅢ作為と不作為-②で記述したが、それ以外にも

④事業者が法令違反していると私に報告しながら、私と特別非常勤職員が現場に向かう際にS主事はついてこなかった。私も初めての法令違反の対応で関係書類を初めから車中で読みこなし、没頭していたため、それに気づかなかったが、本来自分がなすべき業務なのにどうしてついてこなかったのか?

それは、私が起案文書で指摘したことが面白くなかったので、許認可業務が初めての私が法令違反の対応ができるかどうかを確かめようと思ったからである。ケースⅠやⅡの職員と同様に、仕事を自分の思惑でやろうとした上記③を考えるとこの職員の本質がよく分かる

⑤本来、法令や行政指導を基に事業者が事故を起こさないように適切に指導していくのが、許認可であるにもかかわらず「前任者の言うことなら聞くがS主事の言うことは聞きたくない」と言われ、適切な業務が行えていない
定年退職して特別非常勤として再雇用されている職員に対して、私の知らないところで、あごで使っていることも反感を買っていた。

⑥業界団体の事務局長から「社長連中が手先機関のトップのところに抗議に行くと言っている」という話を聞き、上記③の件もあったので、他の業務と担当替えをした。事務局長は、それを見て「係長、よく見てくれていたね」と非常に喜んでくれた。S主事は、課内で私の悪口を大声で言っていたので、事務局長の話は事実だろうと私も頷ける部分があったからである。

⑦ところが、担当替えして1週間も経たない頃、S主事からその業界団体が「係長を呼べ」と言っていると聞いた。団体の事務局長から話を聞くとS主事が事務処理を誤った件について謝罪の一言もないと言うことで、ミスはこちら側に非があるので私が謝罪してきた。団体からは「係長に謝ってほしいのではなく、S主事が謝らないことに、彼との信頼関係が築けない」とまで言われた。個々の事業者とだけではなく、それらを統括する団体とも信頼関係がなければ、仕事を円滑に進めることはできない。

⑧我が県では、研修目的のため他の管内の業務の実情を調査する出張に職員を行かせている。部下2人は近場の出先機関を希望したが、S主事だけは
県内の端にあるうちの出先機関から最も遠い出先機関への出張を希望した。
ケースⅠやⅡのM係長、K主幹なら出張に行かせないのだろうが、私は業務で報復するような真似は大嫌いなので、希望通り出張に行かせた。
 出張に行く前は、私に対して下手に出ていたが、帰ってくるとまた、横柄な態度に逆戻りしていた。

 なぜ、その最も遠い出先機関への出張を希望したのかは、後年、彼が結婚式を挙げた際のしおりにその理由が書かれていた。その出先機関の管内に別の県の機関があり、そこに元同級生がいて、彼女をナンパしに行ったのだった。その場所は、出張先でもないので旅行命令違反であり、しかもそれをどうどうと民間人も含む披露宴の席で披露する神経がわからない。不法行為だとも思ってもいないし、主張でさえも自分の思惑で利用している。

⑨私に対する態度もますます、激化しており、これまでの業務で関係団体との信頼関係ももはや修復できないほどとなり、許認可を含めた仕事の考え方も危ない人間だと判断し、これ以上許認可は担当させられないと思い、次席も同様の考えだった。このため、課長に事情を話し配置換えを依頼し、当初課長も承諾した。
しかし、課長とS主事との話し合いで、S主事は私が他の部下とS主事を差別していると嘘の情報を入れたため、前の課からS主事を引っ張ってきた課長は、それを信用して、結局、配置換えはしなかった。私が、差別的な取り扱いをしているなら遠い出先機関へ出張など行かせていないはずだが、そういうことも管理職として見ていない。
それほど私が嫌いなら、逆に配置換えしてもらった方が本人にとってもいいはずだが、それを希望しなかったのは、当係が他の係に比べ出張旅費が多く、相当な小遣い稼ぎになるからである。私が配置換えをしようとしていることが分かってからは、下手にでるように態度が豹変したが、彼の本質を見抜いた私は、課長が替わった時期に次の課長に実情を話し他係に替えてもらった。

S主事の親戚には、本庁幹部がおり、彼がそういう態度をとる一因でもあり、管理職が腫れ物のように扱う理由がそこにある。
しかし、「社長連中が手先機関のトップのところに抗議に行くと言っている」あるいは、自分の思惑で行政処分をしようと画策して、上司や組織を訴訟に巻き込もうとしたり、業者や業界団体にも信頼されていない職員に許認可を担当させ続けることに管理職として危機感を抱かないのか、不思議である。最近、我が県では、管理職も含めて、相当の不祥事が発生しているが、結局、そういった先を見通すことができる管理職がいないからではないだろうか?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?