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北の伏魔殿 ケースII-番外編➀

○人事異動の適正年数は? ~スペシャリストになりたい?
それともゼネラリスト?

 公務員の異動間隔は、自治体にもよるが、概ね3年程度で、現役公務員のSNSでは、あまりに短くて、スペシャリストが育ちづらいという声も多く聞こえる。しかし、役所の業務範囲は、個人の担当分野はあまりに狭く(県庁の場合。国も同様だと思う。ただし、基礎的自治体は範囲が広い。)、専門的すぎて、係内でも担当法令が異なっていれば、他の職員の仕事は知っていても、簡単に書類を処理できるものでもない。仮にあなたがスペシャリストを目指したくても、通用するのはその係のその業務だけであり、将来、管理職になることを望むのであれば、ゼネラリストとして経験を経なければ、苦労するだろう。
 
 私はといえば、スペシャリスト的ゼネラリストを目指しており、加えて、新しい知識や経験を得たかったのだが、新規採用の部署では一係に8年配置された。その仕事も勉強にはなったが、ローテーションで係内の同じ業務が3回まわってきたときには、辟易としてしまった。8年経って異動した後は、初めての仕事ばかりで、そのどれもが楽しい仕事だった。

○人事担当者は適材適所などとは考えていない
 

 ケースⅠでもⅡでも、登場人物は、公務員としての基礎的な知識ももたず、不法行為を行い、上司や組織に迷惑をかけるような職員だったが、それでも管理職になれている。最近、マネジメントのできない管理職がSNSで話題となっている。

 ケースⅠのB主査は、「年度区分」という公務員としての初歩の知識でさえ知らず、また、私が根拠を求めると、前の通り(いわゆる前例主義)やれという。自身の仕事のスケジュール管理もできていない。M係長は、人事課在籍経験がありながら、他人の情報を鵜呑みにして、仕事で報復して不法行為により、上司や組織に迷惑をかけている。ケースⅡのK主幹も補助金の知識がなく、そもそも勤務時間中に株取引をしているような職員なのに、学閥の総務課長は部の人事担当課長補佐に抜擢している。

 結局、人事には適材適所以外の力学が働いていることは、現役職員なら周知の事実である。

○人事担当者の中には人事権をふりかざす者もいる

 財政担当部門や人事担当部門の内部事務で権限を持つ者の中には、その権限をふりかざして、自分の恣意的な判断で行う者もいる。外部に対して許認可や工事発注に関しても同様で、それが汚職につながっているケースも多々ある。公務員に自制心がなければ、本来、自分のよりどころの根拠法令さえ失ってしまうことに気づけない。

 人事担当者であれば、人材推進計画や地方公務員法に基づいて、人を評価し、適材適所に配置、組織運営を進めていくことが求められるはずなのに人事権を持っているが故に、自分にすり寄る人間にしか目が行かない。逆に正論を吐かれて、それが自分の評価基準に合わなければ、排除していこうとするので、単一の考え方の世界に染まっているのが現状である。従って、多様性を喪失した自治体は、危機管理を含めて、政策立案能力もなく、やる気もない職員を抱え、しかも、志望者は減少、質の低下に悩まされている。

 次回は、私が経験した人事担当者の報復について記載していこうと思う。

画像:株式会社東洋電制製作所

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