書評『話すより10倍楽!新聞く会話術』聞き上手はコミュニケーション上手

1 書籍紹介

今回は「話すより10倍楽!新聞く会話術」をレビューする。
西任暁子さん著作。西任さんは元ラジオDJで、様々な著名人にインタビューをしてきた聞き上手のプロ。

手に取った理由は、私自身、長年コミュニケーションに悩んできて、できれば話し上手より聞き上手になりたいからだ。

ちなみに、私も聞き上手な人が好きだ。わたしは常に共感してもらいたいと感じているし、受け入れてくれる人はいないかと探してる。けど自分という存在は唯一無二で同じ価値観の人はいなく、意見の違いが起こることが多い。「また共感されなかった」と分かる度、孤独を感じる。そんな時、どんな話でも心優しく受け止め理解してくれる聞き上手の人がいたらどんなに嬉しいだろう。
これは、私以外のすべての人も感じていると思う。

しかし、周りを見渡して思うのは、聞き上手の人は少ないということ。マシンガントークの「話上手」はいるが、「この人は話を聞き出すのが上手だ」と思った人は人生で数人程度しかいない。かなりレアな存在だ。また「聞き上手」の人はいつも人気者で、自分よりはるかに会話上手な人といつも一緒にいることが多い。こうなると頻繁に関われない。自身の体験を振り返っても、やっぱり「聞き上手な人」は人間関係で求められていると思うのだ。

聞き上手になれば、周りの人間関係がスムーズに進み、仲間ができやすい。
よって、話すのが苦手でも「聞き上手」であればコミュニティで求められる人になれる。

本書では、聞き上手になるためのテクニックが5つに集約されていた。その5つとは

1相手を好きになる
2相手が話しやすい場を作る
3相手を褒めて心を開いてもらう
4相手が話したいことを聞き出す
5相手の話を盛り上げる

この5つができる人は聞き上手だという。
本noteでは5つの中でも特に大事な部分を抜粋して紹介する。

2 内容紹介

あなたが会話したいのはどちらの男性ですか?

女性が2人の政治家と話した。
「最初の男性は、イギリスでいちばん頭のいい男性だと思いました。もう一人の男性は、わたしがいイギリスで一番賢い女性だ、と思わせてくれました。」
あなたが話したいのはどちらの男性ですか?

当然、後者の「頭がいいと思わせてくれた男性」だろう。
人はいつでも自分に興味があるし、自分に集中した話題の方が楽しい。「会いたい」と思われるのは、相手の魅力を引き出して輝かせる人ではないだろうか。
聞き上手で求められるのは、「自分ではなく相手を主人公にする」マインドだ。自分がすごいことをアピールするのではなく、相手がすごいと思わせてくれる人になること。

相手の輝き・魅力を引き出すこと。
大切なことは、ありのままのその人を受け入れ、安心してもらえる場を作ること。

これが聞き上手の鉄則だ。

1相手を好きになる

1相手との共通点を探す
2好きなところ
3聞いてみたいところ

もし、インタビューする相手がいたら事前に上記3つをリーチしておきましょう!
相手の好きなところがどうしても思い浮かばなかった時は、相手の長所と短所を冷静に判断してみましょう。
短所でも大丈夫です。短所とは、人と違うところ。タイミング次第で人に喜ばれる長所になります。

2場を作る

最初に話しやすい場を作るためには「自分から話しかけましょう」。話しかける=プレゼントです。まず自分からスタートを切りましょう。大事なのは、明るい声のあいさつ。明るい声のあいさつは明るい会話に繋がります。話す体制が整ったら、いよいよ会話スタートです。会話の中身は、一緒に見たり、感じたりしている事実について一緒に話すのがオススメです。何かを共有すると、つながりができて安心するからです。
「今日も寒いですね」「皆さんその割に薄着ですね」「ノースリーブの方もいますよ」「広くて新しい会議室ですね」「東京タワーがきれいに見えますね」「天井が高くて、開放感のある場所ですね」「この椅子はふかふかですね」「きれいに磨かれたテーブルですね」「香りのいいお茶ですね」「持ちやすいカップですね」「あのブースはにぎやかですね」「今年は出展ブースが多いですね」「今日はお料理の種類が豊富ですね」「デザートが出てきたみたいですよ」
一緒に見ている事実を共有すると相手は「そうですね」と肯定してくれます。しかし、共有する事実でも「否定的な表現」は控えましょう。×「広すぎますね」×「今日は料理の数が少ないな」主観ではなく、事実をいうこと。

事実を共有した後はお互いに会話のキャッチボールが始まります。ポイントは、自分の答えを言った後に質問すること。
ここに来るのは今日が初めてなんですが、○○さんは来たことありますか?」
答えを言って先に自己開示すると相手は安心します。「いつもコーヒーばかりなのであまり詳しくないのですが、お茶はよく飲まれるんですか?」先に自分の答えを言おう。

予想外の答えが返ってきたら…?
「ワインお好きなんですか?」「いいえ」「…」もし、思っていたのと違う答えが返ってきたら、「相手がそう思っている事実」を受け入れよう。「そうですか。ワインは好みではないんですね。」しっかりキャッチして、受け入れたことを言葉にしましょう。
それか、感情を素直に言葉にすることです。「ワインをお飲みなので、好きだろうと思っていました。」驚いた気持ちをそのまま声に出したら、自然と会話は続いていきます。気持ちを言葉にするのが難しいなら、身体の感覚を言葉にしよう。「なんだか身体が後ろにのけってしまいました」心が動いたら、感情を素直に言葉に。身体で表現できる言葉を探す。

3褒めて心を開いてもらう

・好意は言葉にしないと伝わらない。
・人のいいところを褒めると、自分を褒めることになる

褒めコミュニケーションにトライしてみましょう。

褒めどころは、「人と違うところ」「いつもと違うところ」で探そう。褒めどころを見つけたら、次は「素敵」をくっつける。
「素敵なスカーフですね」「素敵な飾りつけ」「今日のメイクも素敵ですね」「素敵」に慣れたら、違う言葉で言いかえる。
きれいな、きめ細やかな、カラフルな、おしゃれな、華やか、美しい、かわいい、明るい、バランスがいい
「どのように素敵なのか」を言葉にできたら、「なぜ素敵なのか」も理由も添える。「素敵なスカーフですね。私には見つけられませんでした。こんなきれいなスカーフ初めてみました。よくお似合いです。」「美しいネイルですね。見ているとうっとりします。春らしさを引き立ててくれるね。指先まで気を配れるの素敵」理由を添えると魅力が引き立ちます。お世辞ではなく本心だと伝わります。また、質問してみるのも良いでしょう。「ファッション関係のお仕事をされているの?」「海外で見つけられたの?」「なんか声のお仕事をされているの?」これは、○○なほど▵▵だという前提条件ができます。

≪中級編≫
自分の感情の変化を伝えて褒める
相手の魅力に触れて感情が動いた部分を言葉にします。・何となく元気になった・なんか明るい気分になってきた・何となく楽しくなってきた
相手はあなたにギフトを届けられたことを喜んでくれます。この時、ビフォーアフターを伝えられるともっとよい誉め言葉になります。「死にたいと思っていたんですが、言葉を聞いて頑張ろうと思えました。」誰かの変化は周りに勇気を与えます。「実はちょっとブルーだったけど、元気が出てきた」「落ち込んでいたけど、心が軽くなってきた」ビフォーアフターで褒められると相手は悪い気がしません。

褒められたら…?
2倍返しで褒め返します。1「むしろ、○○さんの方が素敵だとおもってた」褒められたないように「むしろ」をつけて褒め返すんです。2「おしゃれな○○さんに言ってもらえるなんて光栄です」あなたに褒められたからうれしいと伝える。3「○○さんの周りにいる方は素敵な人ばかり!」相手の周りにあるものを褒めて、間接的に相手も褒める。

注意:相手が自在に変えられるものを褒める。身長や体型など、相手が自由に変えられないものは褒める前に確認する

4相手が話したいことを聞き出す

会話を盛り上げるために、相手に興味を持ちましょう。興味があるから、質問も浮かびます。質問=プレゼントです。あなたをもっと知りたいというプレゼントを渡す気持ちで取り組もう。

質問をする前に、意図を伝えよう。「長女ですか?」と質問されたら、「なんでそんなこと聞くんだろう」と感じませんか?相手に不信感を抱かせて答えを迷わせてしまうかもしれません。相手に安心感を感じてほしいときは「すごく頼りたくなる雰囲気をお持ちだなと感じているのですが、もしかして長女ですか?」など質問の意図を最初に確認するといいですよ。「○○さんのプレゼンテーションはいつも堂々としていて説得力を感じるのですが、○○さんでも緊張することはあるんですか?」感じた理由を述べてから質問しよう。

質問内容
・昔のことより最近のことの方が話しやすい
・質問の順番は相手が話したいことから

質問回答
「どんな仕事をされているんですか」「営業です」「営業ですか」受け取った答えを声に出そう。相手の言葉を自分の内側にゆっくる取り込んでいくような感覚です。次の質問や感想が浮かびやすくなります。
自分の感じたことも付け加えましょう。「営業ですか。だからなのかな。さっきからすごく話しやすい方だなって感じていたんです。」
「パスタやチョコレートですか。好きなものばかりです。」
相手の言葉を自分の中に取り込んでみて、感じたことを伝えよう。
相手の口に出した言葉を尊重して同じ言葉を使う。

5話を盛り上げる

話を盛り上げる聞き方とは何か。それはちゃんと聞いていることを相手に分かるように伝えるということです。

心で分かったことを伝える
相手が快と不快、どちらの気持ちなのか感じ取ろう。
「うちの妻は朝、俺の仕事が仕事に行かなきゃならないのに全然起きてこないんだ。最後に朝ご飯をつくってもらったかなんていつか覚えてないよ」
心の動きは…?
1朝寝坊をゆるせるぐらい心の広い人間だ(快)
2妻に甘えてもらっている(快)
3妻ともっと一緒にすごしたい(不快)
4はやおきして仕事に行く、妻にも認めてほしい(不快)
5妻にもっと自分をサポートしてほしい(不快)
   ↓↓
1朝が弱い奥さんを受け入れているんですね
2奥さんも安心して受け入れてもらっているんですね
3奥さんと一緒に過ごせる時間があるといいですよね
4意欲的に仕事にとりくんでますもんね。奥さんも分かってくれるといいですよね
5奥様のサポートって大きな力になりますもんね

また、この時「なぜこの話をするのか」考えよう。
そう問いかけながら聞いていると、相手の言葉を表面的にとらえたり、関係ない方へ話を広げる発言が減ってきます。
思いついた質問を3回に1回だけ言ってみよう。2回は心の中に浮かんでも言わないようにします。そのうちに、しなくてもいい質問をしていたことに気が付きます。


3感想

会話で役立つ内容が、かなり豊富に書かれていたように思う。
特に印象に残ったのは4の相手が話したことを聞き出す部分だ。
わたしは「聞き上手にとって質問は大事」と知っていながら「ただ質問するだけ」を繰り返していた。しかし、これじゃ相手の答えずらさを助長するだけだ。質問の中で、「自分はこう思ったんですけど、あなたは○○なんですか?」と理由を添えることで格段に答えやすい質問になる。最初の2の場を作るでも書かれていたが、「ここに来るのは初めてなんですが、○○さんは来たことありますか?」3の褒める部分でも紹介されていたビフォーアフターを伝える手法「暗い気分だったんですけど元気になりました」にも出てくる通り、聞き上手は程度の自己開示も重要だ。無思考で質問ばかりすればいいわけではなく、自分の感じた感情や、そう思った理由、ちょっとしたコメントを付け加えることで、相手もスムーズに話し出すことができる。正しい聞き方の方法をこの本書で学べた。
さらに、この本では褒め方に関するテクニックがこれでもかと書かれていた。私は比較的ほめ上手な方だろうというセルフイメージがあったが、本書を通じて自分なんてほめ上手マスターにはまだ程遠いと感じた。例えば、相手の魅力を通じて感情を言葉にする部分はできてなかったのでぜひやってみたい。もし、読者に「このnoteを読んで、聞く技術が簡潔に学べた。知識が増えてなんだか楽しかった。」などとほめられたら、わたしも嬉しくて飛び上がりそうだ。感情を言葉にすると相手もうれしい。相手の魅力に触れて感情が動いた部分を言葉にはどんどん活用しようと思う。たまに「褒められるのはお世辞な感じがして苦手だ」という人がいるが、それは相手側の褒め方テクニックにも原因がありそうだ。不快にならない褒め方を本書では詳しく学べた。

会話術系のベストセラーとして、「人は話し方が9割」という本があるが、本書はこちらより実践的なテクニックが多く解説されいた。
「人は話し方が9割」の本も個人的にお気に入りなので、いずれレビューを書きたい。

読んで思ったのが、やはり会話術系のテクニックは実践が難しいということ。会話している最中は、本で学んだことをほとんど覚えていないし、意識して使おうとするとコミュニケーションが不自然になる。テクニックを実践する場も、もちろんない。本書を身につけたいと思うものの、会話を磨くのは書く技術を身につけるよりずっと困難だ。

大切なのは、アウトプットを繰り返して本を読まずともテクニックが頭の中に浮かぶようにすること。そして、本書を自然と実践の場で使えるようにすることだ。頭の中に自然とテクニックが浮かべば、それを会話の中で試せばいいのだから(この、テクニックを頭の中に入れるのに時間がかかるが…)
そして、一気にすべてを使うのではなく、少しずつ試していくこと。
これから、本書をTwitterなどで呟いてアウトプットし、テクニックを頭の中に入れていきたい。良い内容だからこそ、知識を無駄にしたくないし、インプットした時間が消えてほしくない。
全てを身につけるまで時間がかかりそうだが、意欲的に取り組んでいきたいと思う。





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