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航路(著:コニーウィリス)【読書紹介は航路のない海を進み、同じ朝は二度と来ないが、しかしまた日は昇る】

アメリカの大作家のひとり、コニーウィリス先生の長編。
この人の長編はとりとめがないといいますが、
やはりとりとめがないです。
長い、上下分冊なので、読むのに時間を取られます。
お気を付けください。

(私が買ったやつとデザインがめちゃくちゃ違う)
SFと書いてありますが、SFなのかどうかは微妙です。

では大体のあらすじ。
主人公の女医は、死者を脳死状態になる前になんとか蘇生させる研究を行っていました。
そのためには臨死体験にヒントがあると考えた主人公。
もちろん臨死体験を天国での体験と認めたがる人たちとは、一線を引きます。
そこで、薬剤投与で、臨死体験を安全に体験して、なんとか自分で触りだけ経験して調査しようと考えます。

その結果、彼女は、いつも昏いホテルの廊下みたいな場所の夢を見ます。
どれかの扉を開けようとしたり、通路を歩こうとすると、
目が覚めてしまう。

この前半部分は医学ミステリーの趣があります。
臨死体験をまじめに科学してますね。

ただ、この夢で見る場所が特定できそうになった時点から、
ミステリーとかでは全然ない、ぶっとんだ展開になっていきます。
謎解きの快感はあるのですが、肩すかしをくらう感じ。
これはミステリーでもない気がしますが、面白さはすごく感じます。

登場人物たちも、主人公の同僚で、
臨死体験をあくまで医学として扱うリチャード先生。
臨死体験を話す人も登場。
とにかく喋りたがりの復員軍人。
(元「ヨークタウン」乗り。ミッドウェイで沈没したあれです)
心臓病の女の子。やはり喋りたがり。
昔は聡明で、今はアルツハイマーとなった恩師。
そんな人たちが、喋る物語を読むだけでも迫力があるのですが、

まあ、そんなこんなで、
夢で見ている場所がどこなのか、彼女は気がつきます!!
しかし科学派のリチャード先生が受け入れられない内容でした。
でも調査を続け、あの場所の夢は次第に長く詳細になっていき、
そして、ヒントっぽい言葉も多くなっていきます。

臨死体験ってリアルミステリーですね。
(あれ、さっきの言葉は?)

*****
結末への流れはさすがに書けません。この辺で締めます。
ただネタバレアリのサイトをリンク貼らせていただきます。

****
コニー御大先生はいわゆる天才タイプで、
いわゆる普通の作家は「おおまかなアウトライン」とか
「エンディングを先に作ってから」本編を書き始めるわけですが、
一部の天才はこの規則に従わず、ぶっつけ本番で物語を作っていき、
そしてすごい作品に完成させます。
マンガ家とか、連載やっている方は、少なくない感じですが。

この「とりあえず書いてみる」という書き方は、
おそらく天才にしか許されない書き方なのかもしれません。
村上春樹先生とか高河ゆん先生とか、ある種の化け物なので、
真似しないようにした方が一般の人はいいのかもしれない。
真似される方は自己責任で。

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