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ネクログ(著:熊倉隆敏)【なんて美しいマンガ感想なんだ「死んでないけどな」ん?「あれ?」】

「もっけ」の作者が描いた今度は中国妖怪マンガ。
あこがれの近所のおねーさんが、
死んでキョンシーになってた。
ねーちゃんを蘇らせて今度こそ幸せにするんだ!

彼女を蘇らせるために持ち主の道士にひっついて、
おねーさんを取り返し、なおかつ反魂の術を教えてもらおうとする主人公。
まあ追い払われたりすることもなく、
面白そうだから修行させてくれるのですが。
代わりに道士の妖怪退治、というか妖術師退治に巻き込まれる話。

キョンシーのおねーさんは、荒事も担当します。強いです。
昔の映画みたいに死後硬直している感じではないですね。
武具です。
命令されて戦ってくれるバトルドロイドです。
言葉は喋れません。
笑顔は作れます。
主人公はおねーさんが破損するのではないかとやきもきします。
なんか自動車とかバイクみたいな感覚ですね。
主人公にとってはおねーさんは蘇生させる対象なんですが。

「もっけ」と比較すると、
中国の妖怪には官僚機構のような秩序があります。
上は太上老君の仙人の官僚機構から、下は冥府の官僚機構。

冥府の官僚機構は敵とかじゃなくて、
まあ例の道士を雇っている側です。

日本の妖怪を出した「もっけ」と比べると、
上位者から命令を受けたり、依頼を受けたりすることが多いですね。
社会の中のしがらみを感じます。
撃破した妖術師は道士が食べて己の力にしてしまいます。
道士というよりも仙人というよりも不老不死の怪物みたいな存在です。
「まだ不老長生とか言ってんの? 何周遅れなんだよ?」
修行を始めたばかりの妖術師では格が違いすぎます。

全4巻で決して長くはなく、ショートにまとまっていますので、短時間で読み切れます。

連載中は日中間がきな臭くなっている時期だったので、実際に現地を観てみるというのが、難しかったみたいですね。
(巻末旅行記が載ってるので結局行けたみたい)

時代設定的には今ではなく、1920年代のまだ平和だった時代?くらいなのかな?

場所的に言って魔都上海近辺だと思うのですが、
泰山も山東省だし、
まあここら辺はファンタジーなのかもしれません。
共産党や日本軍のような地上の権力は出てこないですね。
せいぜい黒社会が出てくるくらい。

中国妖怪事情がライトに学べるので面白いですが、
まあ物語としての脚色がされてるので、実際の妖怪まめ知識にはならないのかも。
上にも書いたのですが、組織としてのしがらみが、断然もっけよりも強いので、人間関係(怪異同士の関係)が、ぱっと見て分かりにくい点がある。
漢王朝みたいなタテ社会なんですね。仙人の世界は。
まあ、このマンガではそうだということです。

ただこの人の作風は嫌いじゃないし、まめ知識を学べる雑学的な内容だし、巻数も短いので、気楽にオススメできる作品だとは思いこんでいます。
ご迷惑かけます。

↑ 過去記事でこの先生のマンガを別に紹介してます。

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