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アヴァロン(監督:押井守:2001年)【映画感想の中で映画感想を叫ぶ】

もしかしたら押井守第二次全盛期時代の作品。
以前にもちょこちょこリンクを貼るようなことはやってきたと思いますが、
お気に入りの映画なので、ついに単品で紹介してみます。

最初は気に入らなかった。
いわゆるCG映画で、しかも女性主人公が、ゲーム中でFPS(シューティングゲーム)ひたすらやってるだけの話だもん。
メカも新奇性はゼロだし。当時のポーランド軍全面協力って言われてもな。
ソ連メカなんて見飽きてるんです。

しかもこの少し前に大作映画を撮る予定が、予算を使い果たして失敗したので、その穴埋めをするために、残った予算で作った低コスト映画である。
内容は推して知る・・・・いや、いいぞ、これ。

終わりの方にくると、俄然、仕掛けが生きてくるぞ!
直後に「マトリックス」にも影響を与えたと言われる本作の大体のあらすじはこんな感じ。

***

過酷なオンラインゲーム。
そのゲームはポイントを配給切符に還元できるため、生計をたてるための参加者も多い。
未帰還者と呼ばれるプレイヤーも出てくるが、
ある時、女性主人公に、かつてのチームリーダー(男性)が未帰還者になったと伝えられる。
現実の病院では彼は意識不明状態。
女性主人公は都市伝説を追いかけて、未帰還者が行く世界にたどり着くべく戦いを始める。
未帰還者になるには、ゴーストと言われる標的を追いかけねばならない。
だが追跡するには非常に厳しい制限をクリアしなくてはいけない。
いわゆる裏ボス、おまけ要素である。コンプされることを前提としてない。
推して知るべし。
しかし彼女は苦難の末、それをクリアし、ゴースト(少女の姿)を追いかけ、それを撃つとクラスSAに行ける。

向こうの世界に行く。
そこは1999年のワルシャワで
(ここで初めて色調が正常に戻る、というかCGから実写になる
その、とある街角に男がいた。
「世界とは思い込みに過ぎない。違うか?
ここが現実だとしてどんな不都合がある?」

だが彼女は・・・
○○○○○○○○○○
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○。  
○○○○○○○○○○。

クライマックスで主人公はある選択をする。
すると勇壮なエンドロールが始まり、映画は終わる。

・・・さて、
あなたは、どちらが本当の世界だと思う?

フルカラー実写の1999年のワルシャワか。
それとも。

ゴーストが少女であり、その彼女を撃つというのも不穏だが、
主人公が女性であることが関連していると思われる。

選択があるのだ。
選択を違えるだけで世界は変わる。
人間に自由意思がないなどと世迷いごとに過ぎない。
そしてリアルとは何か?
リアルは存在しない。
私が観ている世界が真実である保証はどこにもない。
私たちが水槽の脳でない証拠はどこにもない。

もちろん作中でこんな野暮な質問はない。
ただアクションを見せつけてくるだけだ。

違う選択肢を選んだら、
違うエンディングとエンドロールが流れたのだろう。

不確実な世界でただひとつだけ信じられるのは、
自分自身の選択と決断だけだ。

リアルなど、どこにも存在しない。
ただ人の選択だけがリアルなのだ。
意思は存在する。選択せよ。

***
頭を鈍器で殴られたような映画だった。
生まれてはじめて押井守映画を完璧に理解した。
これは実存主義だ。サルトルだ。
そういう感想なんですが、紹介してもよかですか?

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