【読書感想】「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考 末永 幸歩
この本の概要
この本の感想
アート、特に美術系には、とんと疎い私です。美術館に足を運んだことも少しだけありますが、楽しみ方がよくわからないので、心の中で「こんな鑑賞方法でいいのだろうか…」も戸惑っていました。
そんな私ですが、今年は「アートに触れる」という内なる目標があります。ただ、なんの策もないまま美術館にいってもたぶん前回と同じくオロオロして終わるので、改めてアートとの接し方を学ぶべくこの本を買いました。
美術の授業というとどんな思い出がありますか?
私はとりあえず常になんか作ってたという思い出と、彫刻刀で鳥を作っていて手をざっくり切って病院に運ばれたという思い出しかありません。芸術家の作品を鑑賞したり、知識をインプットするような機会にはなかった気がします。(たぶん記憶から完全に消えてるだけかもしれませんが。)
著者は大学で美術研究しながら、中学高校で教師をしている末永幸歩さんという方。実際にこの本の内容にあるような授業を中学・高校でされてるそうです。
読んでてまず思ったのは「こういう授業も受けたかったな〜」ということです。末永さんの授業でも実際に手を動かす時間もたくさんあるんだと思うんですが、こういう作品の鑑賞の仕方とかアートの見方についてもちゃんと教えてもらえる時間があったら、今の私ももうちょっとアートがわかる人になれてたんじゃないかと思ってしまいます。本でも面白いんだから実際に授業というかたちでこの講義を聞けたらもっといいんでしょうね。
この本では6つのアート作品を軸に、ときにエクササイズなども交えながらアートに関する以下の疑問について深掘りしていきます。
CLASS1 「すばらしい作品」ってどんなもの?
CLASS2 「リアルさ」ってなんだ?
CLASS3 アート作品の「見方」とは?
CLASS4 アートの「常識」ってどんなもの?
CLASS5 私たちの目には「なに」が見えている?
CLASS6 アートってなんだ?
ひとつひとつのクラスを進むごとに、アートに対して囚われていた思い込みが解きほぐされていきます。
正解を探そうとしてしまう
エクササイズでは、著者からの問いかけがあったり、実際にアートをみて自由に感じたことをアウトプットするパートがあるんですが、これをやってると自分の脳が正解探しをしていることが如実にわかってしまって、「こういう正解探しをしているからあかんのよなぁ」と何回も思わされました。
読んでいくと、アートをみるうえで正解なんてものはないし、アートの定義さえも変化しているということもわかるんですが、そういわれても、問いかけられると作者にとっての正解を探そうとする自分から逃れられず、問いの力とひとつの正解を求める自分のアート思考のなさを痛感しました。これは訓練が必要なものだな、と思います。
コーチングはアートとサイエンス
私がコーチングを学んだ東京コーチング協会というところでは、よく「コーチングはアートとサイエンス」と表現しています。この言葉、なんとなく雰囲気では理解していたものの、『やっぱりこの「アート」ってのがよくわからないな』とも思っていました。今年「アートに触れる」を目標のひとつとしたのにもこの背景があったからです。
で、実際読んでみてどうだったかというと、前よりは、「コーチングはアート」というのを掴めたような気がしています。
本のなかでは時代の変化とともにアーティストたちがどのような思考をして作品を作っていったのか、そういう背景も教えてくれるんですが、結局それぞれの時代のアーティストがやってることは、その当時の「当たり前」に疑問を持ち、探求しつづけ、考えた結果を自分なりに作品にするということでした。
既存の枠組みを超えて、見えていない領域に目を向ける、というのはまさにコーチングのなかでも頻繁に行われることです。とことん心のなかに問いをたて、探求し、自分が腹落ちするところを探していく道のりというのは確かにアートと近いものがあると感じました。
この解釈があってるかどうかはぶっちゃけわかりません。コーチング道もまだまだ道半ばですし、アートにいたってはまだなにもわからない状態なので。
でも、現時点での理解度の私が出した答えは今のところこんな感じです。
ワタクシ的名言
全部のCLASSが面白かったんですが、読んでて発見があり、かつ肩の荷が降りたのは、このCLASS3のアートの「見方」で、音楽に例えてくれたところです。
私も音楽を聴くことは大好きですが、最初から作者の作成意図とか音楽的なテクニックなどを調べるかというとそんなことは全然なく、ただ耳で聴いて自分にとっての好き嫌いを判断しています。その音楽を聴いて感じたこと、浮かんだ情景、想起されることなどは自分自身のなかだけのもので、作者とは違うものかもしれないけど、音楽はそれでもいいと私もわかっているので、そんな感じで、音楽と同じように絵画などもみればいいんだな、と気付かせてもらえました。
なんとなく、次に美術館いって鑑賞するときの大きなヒントになりそうで、行くのが楽しみになりました。
アートというとかいがをイメージしがちですが、この本の後半では絵画以外の作品もでてきます。
自分の中に問いをたてそれについて考え、なんかしらのかたちでアウトプットしたものは全て広義の意味でアートであり、作った人はアーティストと言えるんだと思います。
そう考えると世の中はアーティストだらけなのかもしれませんね。
ワタクシ的おすすめ度
★★★★★
身になった度合いが高いので満点の星5つで!
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