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栽培植物のリスト 「キャベツ」の歴史

キャベツはどこで生まれた?


キャベツの原産地は地中海沿岸と言われています。
原種は有史以前から栽培されており、人類とは極めて長い付き合いがある野菜です。ただ、当初のキャベツは、現在のそれとはかなり様相が異なります。

キャベツの栽培を最初に始めたのはケルト人。
「地中海沿岸」と「ケルト人」の組み合わせ、「?」と思った方もいらっしゃるかもしれません。

ケルト人と言えば現在、アイルランドやスコットランド、ウェールズ、そして大陸部ではフランスのブルターニュ半島に居住する人々で、「地中海」という単語とマッチしないからです。

実はケルト人はかつて、ヨーロッパの大半を支配していた民族でした。

Wikipediaより

これは紀元前400年くらいまでのケルト人の居住地域を示したもので、現在とは全く様相が異なります。
地域が地理のヨーロッパ分野で時折出題されますので、知っておいて損はありません。

キャベツの兄弟分

そして、当時のキャベツは結球性ではありませんでした。
実はキャベツはケールやブロッコリーと同じ「ヤセイカンラン」というアブラナ科植物。
そのため結球という性質を元来持っている作物ではありませんでした。結球品種が生まれたのは13世紀頃で、栽培の歴史を考えるとかなり最近ですね。

ちなみに、見た目が似ているレタスはキク科の植物なのでむしろ関係が遠いと言えます。さらに言えば、レタスは奈良時代から日本で生産されていたようで、日本人との付き合いはレタスの方がはるかに長いのです。

キャベツは「食用」にあらず?

栽培の歴史はかなり長いキャベツですが、食用の野菜として扱われていなかった時期もありました。
まず、ギリシャやローマでは薬草として扱われていました。結球キャベツを想像すると薬草というイメージとつながりませんが、当時は結球しておらず、独特の苦みもあり、薬草扱いは不思議ではない気もします。
実際キャベツはビタミンCや食物繊維を豊富に含み健康に良い野菜ですね。その後もヨーロッパでは「貧乏人の医者」と呼ばれた健康食品でした。

一方、アジアへの伝播は比較的最近。
中国は17世紀、日本は18世紀頃でした。『大和本草』にある「オランダナ」がそれとされます。
しかし、日本では当初は食用というより珍奇な観賞植物とされていました(これは、外来の植物によくある話です)。
食用としては明治初期に外国人向けに栽培を開始し、戦後、食の洋風化に伴いメジャーな野菜に昇格していきました。
現在では、その用途の広さから生産量、消費量とも非常に多く、日本の主要な野菜の一角を占めていますね。


というわけで、今日はキャベツのお話でした。
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