大塚亜希『レインドロップ』
大塚亜希さんの第一歌集『レインドロップ』(旭図書刊行センター)を拝読いたしました。
人生を感じる歌群だと思いました。
印象に残った歌を引きます。
長針が少しずれているくらいならまだ時計として使えますが、短針がずれていると流石に使えませんね。それでも主体はその腕時計を簡単に手放せません。狂っているのはこの時計ばかりではない。自分だって、他人だって、社会だってどこか狂いながら、均衡を保って続いているのだと。下の句がとても印象に残る一首でした。
微笑ましい景とも取れます。しかし