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大きな声に惑わされず、自分の生き方を見つめていく。

子どもの頃、ずっと抱えてきた思いがあります。

それは「声が大きな人って得するな」ということ。もっと素直に言い換えると、「目立つのが上手な人、いいよね…」みたいな感じ。

私は幼少期、今よりもだいぶ引っ込み思案でした。子どもの世界なんて学校か家くらいしかないのに、学校にいると自分のような大人しい子よりも、積極的で活発な子のほうが褒められがちだし、みんなにチヤホヤもされやすい。

一方、私はなかなか声を出すことができず、たいていは自分の中でいろんな感情を片付けていく毎日(ひとりっ子だったからなおさら)。
悔しかったか、寂しかったか、当時の気持ちは正確に言い表せないけれど、小さな世界の中で「くるしいな…」と感じることは結構多かったです。

だから、昔は目立つ人を変に意識していました。「大声をあげられる人のほうが優れていて、うらやましい…」みたいな、劣等感っぽいものもあったのだと思います。

でも、ちょっとずつ、他人の姿に惑わされなくなっていきました。

 *

そのきっかけになったのは、高校時代。

私が通っていた高校は「個」を重視する校風で、カリキュラムは一部の必修科目を除くと、大学のように自分が関心のある科目を選択して組み立てるスタイルでした。

何を学びたいか、自分で考えなきゃ始まらない。そんな学校だったので、周りは15歳やそこらでありながら「自分がどうありたいか」に関心を持つ人が多かった気がします。

勉強好きな人もいれば、スポーツに夢中の人もいる。あるいは、語学や美術、工芸とかに秀でた人も。

そして、性格や個性もいろいろ。リーダータイプな人も、物静かな人も、ミステリアスな人も、あるいは、いつの間にか学校にこなくなった人もいたけれど。
みんなが優劣とかではない「個」として認められるような環境でした。

少し変わったことをしても「ま、あの子はそんなタイプだしね」と、良い意味で気にされず、それぞれが自分のことに集中していたように思います。

まあ、そんな環境でも、思春期ならではのちょっとしたいざこざはあったのかもしれません。でも、他者と比較せずにいられる場は、やっぱり心地がよかった。

たぶん、この体験が、私が人と比べてどうこうではなく、みんなが「個」として認められる世の中がいい、ちゃんと自分軸で生きたいって思うようになった原点です。

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ただ、10代でそう感じていた私も、社会に出たら思うようにいかないことも。

入ったのはそこそこ大きくて、古い体質の会社。ガチガチのルールの中で「個」を出すのは、まあ大変でした。新入社員のときにほんのちょっと自由に動いたら、先輩に「目立たないほうがいいよ…」と冷たく言われ、ショックとともに愕然。
自分の中で何かがプツンと切れ、そこから自分らしさを出すことを放棄したので、その会社では歯車の一部として「真面目で、やる気に満ち溢れた人」みたいな印象を持たれていたはず。
(結果的には心身ともに病みましたが…)

もちろん、会社といったっていろいろ。組織に身を置いていても、自由に、自分らしく生きている人もいるでしょう。
実際に取材でたくさんの会社を見てきたけれど、「メチャメチャいい会社だ…」と、(少なくとも見える範囲で)感じたことは何度もありました。

でも、私の場合は2社を経験して「なんか会社は違うや」と思い、フリーランスへ。
それからの12年、ますます「個としてどうあるか」を深く考えるようになりました。

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他人と比べ始めたり、自分の色を消したりすると、本当につらい。それに、心がおかしくなると思います。

自己紹介の記事にも書いたことですが、現代はSNSを通じて、他人の成功事例っぽいものが嫌でも目に入ってきます。
(キラキラして見える情報すらも、真実はどうかなんてわからないんですけれどね)
ある意味、ますます人と比較しやすい世の中になっちゃった。このことで、苦しんでいる人は結構いるのではないかなと思っています。

ネットも含めていろいろな情報に触れ、うまくいっている人の意見や事例を参考にするのは、全然悪いことではないと思います。

でも、最終的に「どう生きるか」は自分次第。
自分の人生に、誰かの意志や価値観を介入させる必要はないのですよね。

まずはじっくり、自分自身に向き合うこと。世の中の「大きな声」は目立つしパワフルだけど、惑わされず、「自分はどうありたいのか」をきちんと持っておくことが大事だと、私は思います。

リーダー的なポジションに立って、多くの人に影響力を与える人がいてもいい。そういう人に勇気をもらえる人は、たくさんいるはずだから。

だけど、たとえ誰にも見つからない場所でひっそり生きるのだって、それが本当に「自分らしい」のであれば、しっかりと胸を張ればいいと思うのです。

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