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HSP気質を持っていてよかった経験~怒鳴ってばかりの人に気に入られた話~

HSP気質を持っている方の中には、生きづらいとか損することが多いとか
そんな風に感じている方もいるかもしれない。
実際私も、そう感じることはこれまで多々あった。
でも今振り返ると、「あの時の経験ってHSP気質があったからこそかもな」と自分のこの気質に感謝したくなる経験がいくつかある。

HSP気質を持っているがゆえに悩んでいたり、苦しんでいる人がいたら、ぜひ読んでいってみてほしい。
きっとあなたにも、そういえば私にもこんなことあったかも…とか、そういえばあれってHSP気質がうまく作用したのかな?と思えることがきっとあるはず。

大学生の頃、ホテルで結婚式や宴会の配膳のバイトをやっていた。
派遣だったので、その日によってホテルも内容も違うので、その場所その場所のルールを覚えて臨機応変に対応したり、ホテルによって系統が違うスタッフさんたちとコミュニケーションを取って、いろんなスキルがついたなぁと思う。
結構力仕事もあるし、酔っ払ったおじさまに絡まれることもあったので大変だったが、やってよかったアルバイトだ。

その中でも私が特に派遣されていたホテルがある。
そこはバイキング形式のレストランもあり、私たち派遣スタッフはそこにも派遣されたいた。
しかしそこは、職場としてはかなりよろしくない現場だった。
そこを統括する社員(以下Aさん)はよく部下を裏で怒鳴っていて、言葉もひどいものがあった。
私たちバイトにもあまりいい対応はもちろんしない。
そこの職場の中では割と偉い方なのでバイトががっつり関わることはないが、よく私たち学生の働く様子を見ていた。

私はAさんを見て、「あぁ、この人ストレスたまってて部下を怒鳴ることで発散してるんだろうなぁ、職場の雰囲気悪くなってることなんて気にしてないんだろうな」
と思いながらせっせと働いていた。

私はなぜかその職場に派遣されることが多く、割と早い段階で慣れた。
シェフの方や他のスタッフさんたちからも良くしていただいて、そのAさんを除いては割と好きな職場だった。

私は接客が好きだ。
いろんなお客様の状況を見て、そろそろドリンク欲するだろうなとか、なんか探してるなとか、多分今シェフこの料理作ってるからあと5分くらいしたら受け取りに行くタイミングだなとか、自然といろんな箇所に気づきがちだ。
私にとってこれは割と普通のことだと思っていたが、バイトをしていてその点を社員さんたちに褒められてから、みんながみんなこれを当たり前にできるわけではないんだなと気づいた。
お客様ともよく会話をしがちで、お客様が笑顔になってお食事を楽しんでいる様子を見るのが嬉しかった。

ある日とんでもなく忙しい時があった。
団体のお客様がいらして、飲み放題、それもかなりのペースでかなりの量を注文される方々だった。
正直慣れている私でもかなりキツく、裏で他のスタッフさんたちと励まし合いながらやっていた。
そんな中、冒頭で登場した怒鳴る社員は呑気に私たちの様子を見ていた。
そして私が裏で生ビールを10個ほど作り、それをまとめて持っていこうとしていた時
その社員が「え〜それもっていけんの〜バイトの奴らよくやらかすよな〜責任取るのこっちだってのによ〜」とぼそっと言った。
私は少し傷つきながらも、この忙しい時にこの人のことなんて気にしてられんと思いながら行こうとした時、よく一緒に入っているスタッフさんが一言こう言ってくれた。
「この子大丈夫ですよ。この子はね、大丈夫、見てたらわかると思いますよ。」
泣きそうになった。

それから、Aさんの様子が少し変わったような気がする。
その方は年下の私が見てもわかるくらい、素直じゃない人だ。
褒めるなんてもってのほか。
でもよく、私が動いているところを見てくれるようになった。
そして目が合うとスッとそらして裏へ隠れる。片思い中の中2男子かよと思った。
ある日また忙しい中タイミング悪く生ビールの樽が空になり、後輩が取り替える手順を間違えて空気だけが漏れそこから泡が出ていた。
私もヘルプに入ったがなかなか外すことができず苦戦していると、Aさんがサッと手を貸してくださった。
いつもなら、何やってんだか と言って何もしてくれない人だ。
ちょっとびっくりした。
またある日、後輩がお客様にお酒をぶっかけてしまって注意されたことがきっかけで過呼吸のようになってしまい途中で帰ることになった。
その日派遣バイトは私とその子、そしてその子と同じ歳の子の計三人。
私は急にAさんに呼び出され、「〇〇さんがこんな状況で更衣室にいるみたいなんだけど、ちょっとお前様子見てきてくれないか。俺が行くよりお前の方がいいだろ。それともしダメそうならこのタクシーチケットで家まで送ってくれ。お前もそのまま上がっていいから。時間は元々のシフト通りにしておくよ。もう一人のバイトの子よりも、なんかお前の方が信頼できるから、任せた。」と言われた。
言葉足らずなところはあるが、私を信頼してくれていることはわかった。

そしてそのあとも特段、Aさんにすごく褒められるということはないが、
最初の頃に感じていた壁がなくなり、私に対してやわらかくなったように感じたのだ。
私はあくまで派遣スタッフだったが、自社専属スタッフがいる時でも私に
「今日頼むよ、お前が仕切っていいから」と言ってくれることもあった。

よくバイトの学生たちが関わりが難しいと言っていたおばさまスタッフの皆様とも私は仲が良かった。
だからよくいろんな話で盛り上がったり、「monaちゃん!これつまみ食いしちゃお」とか「今日monaちゃんなんだ!良かった〜」と言ってもらえることが多くなった。

そしてシェフの方にこんなことを言ってもらえたことがある。
「monaみたいな子は珍しい。なかなかいないんだよ、言わなくても気づいて動いてくれたり、何か質問した時にちゃんと答えることができたり、挨拶や返事が元気だったり。あとはいつも笑顔だから、周りが明るくなるんだ。これってね、皆がみんなできることじゃないから、これは君の強みだ。」
すごく嬉しかった。
すぐにいろんなことに気づくからこそ無意識のうちに頭をかなり使っていて、バイト後はぐったりだし、いろんなタイプの方とうまく関わりたくてその人の様子を観察しながら話すから気も使う。でも、そんな私の気質がこうして誰かを喜ばせたり、誰かの助けになっていたり、誰かの気持ちを少しでも温かくできているなら、こんなに嬉しいことはない。

大学生あたりから周りとの微妙な違いに悩むこともあった。
なんで私ってこんなにいろんなことに敏感なんだろうとか、なんでこんなに人のことで走り回ってしまうんだろうとか、他の人はそこまで気にしないのに気になっちゃうんだろうとか。
でもホテルのバイトで、その部分が強みなんだと気づくことができた。
敏感だからこそできる接し方がある、こういう気質だからこそ他の人よりも秀でて得意なことがある。
長所と短所は紙一重なんだ。
短所だと思えば短所になるし、ポジティブに捉えて長所だと思えば長所になる。

私が来ていないと思っていたAさんが「最近mona来ないな。」と言っている場面に遭遇したことがある。
「来ましたよ!」と登場すると、「なんだよ」とちょっと照れくさそうにしていた。

嫌な相手に無理やり気に入られようとする必要はないし、Aさんの言葉遣いや社員さんたちへの接し方にはいつになっても賛成できなかったが、そんな一見難しい環境で
私の気質が花咲いた感覚がしたんだ。
バイトだったから特にそれが成し得たのかもしれない。
それでも、当時まだHSPのことを知らず少し自分の繊細さに悩んでいた私にとって、スタッフさんたちがくれた言葉や信頼は私に自信をくれたんだ。

私は今でも、たまにこの経験を思い出す。
この気質だからこそ悩むことがある。でもそれはある意味、強みでもある。
扱い方が難しくてまだ慣れていないから、自分の首を絞めてしまったり、うまくいい方向へ進まなかったりするかもしれない。
でも少しずつ自分のそんな部分に気づけば、少しずつ扱い方がわかってきて自分の武器になる。
その力が開花する場所と逆効果な場所もあるから、そこも見定めが必要だが
決してHSP気質をネガティブに思う必要はない。

そしてまた、HSP気質を特別視する必要もない。
これについてはまた次の記事で書こうかな。
ちょっと最近HSPや繊細さんという言葉が先行しすぎて起きている現象に違和感を感じたことがあるので。
それについてはまた次の機会に🖐️

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