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how about you ? #書もつ

今日、6月15日は、スタジオジブリが設立された日、だそう。1985年の設立当時は、吉祥寺の駅のそばに会社があったようです。

今では、武蔵小金井駅そばの製作のスタジオ本体だけでなく、三鷹の森ジブリ美術館、愛知県のジブリパークなど、その世界観に浸ることができる施設ができています。

さて、そんなスタジオジブリの映画最新作の原作として話題になっているのが、この作品。戦前に発表された作品でしたが、数年前にテレビなどで紹介されて以来、人気が復活して漫画に。

なかなか難しい内容ではありますが、我が家では上の子も興味を示して、少しずつ読み進めているようです。

毎週木曜日には、読んだ本のことを書いています。

(漫画)君たちはどう生きるか
吉野源三郎

漫画版の出版が2017年でしたが、原作の出版はそれから80年前の1937年。タイトルからして、とても示唆的というか考えさせられる内容であることが推測されます。

漫画版の表紙は、目をこちらに合わせている少年の顔。その視線の強さと、対照的な色使いの温かさが印象的です。タイトルとともに、思わず手に取ってめくってしまうような、訴えかける力があります。


原作が出版された当時の状況とは異なるものの、混沌とした世界の中にあって、自らを見つめ直し、周囲を捉え直すきっかけとして、そして生きていく指針の一つとして、役に立つ作品ではないかと思うのです。

作中の言葉を使えば、地動説に傾いていたであろう国内において、海外の偉人なども登場させるなど、天動説を唱えるようなこの作品は、敵視されたのではないかと思いながら読み進めました。

当時、この原作はあくまでも児童文学として出版されたと聞きます。本を出すことが、今よりも、もっともっと影響力があると考えられていた時代に、この内容は当局にとっては、とても攻撃的に捉えられたのではないでしょうか。子どもだけでなく、大人にも読んでほしい・・と思いつつも、それを言えない苦しさのようなものを感じます。

少年の一つの発見は、自分を見つめ、社会を見つめていく視線でした。それと同じ視線を、僕は持っているのだろうかと自問しながら読み進めていく時間でした。

友人との関係では、少年のかなり高潔な人物像が、いかにも教育的で非現実的とは思いながらも、自分や自分の子どもがこうあって欲しいと、ついつい考えてしまいます。まだまだ精進せねば・・と思うばかり。

物語の象徴として描かれているのは、”裏切り行為”でした。それは、多かれ少なかれ誰にでも経験のあることかも知れません。迷い、逃げて、後悔する・・自分にもある経験にズシンと心が痛み出します。

果たしてその結末は、読み手にどんな影響をもたらしてくれるのか・・。


立派な人間、という存在は個人によってその人物像が違うことと思いますが、この作品を読むと、人との関わりの中で自らを発見し、変えていくことが成長なのだと教えられているようです。

間違っていれば謝って軌道修正する、それもまた大切なことなのに、つい正解ばかりを出すことが求められているのが、最近の傾向のようにも感じられます。

大人になる前の子どもたちに、読んでほしい作品の一つです。まもなく公開の映画もどんなふうになるのか、楽しみですね。


躍動感のあるサムネイル、infocusさんありがとうございました!時代を超えても評価される、書き手の深い考え方に驚きました。



#推薦図書 #君たちはどう生きるか #映画原作




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