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恋人に重いって言われたことがある?不安タイプを解説!|愛着理論とは③

付き合っている人に、
『重いよ』
と言われたことがある人。または、自分の交際相手が重くてどうしていいかわからない人。
もしかしたら、そんなあなた(or あなたのパートナー)は愛着理論でいう、不安タイプの要素を持っているかもしれません。下記の特徴がもし自分や恋人、パートナーに当てはまるなと思ったら、今後の二人のためにも、ぜひ読み進めてください!

不安タイプ 10の特徴

  1. 周囲を喜ばせるために自分を犠牲にする

  2. 自尊心が極端に乏しい

  3. 他者からの承認を求める

  4. 人からの拒絶を感じる

  5. 捨てられるかもしれない恐怖を感じる

  6. 恋愛依存体質・ひとりで時間を過ごせない

  7. パートナーにすがりつく、必死な行動や発言

  8. パートナーから認められなかった際、激しく怒る

  9. 交際関係において、過剰に心配をしたり、分析をする

  10. 交際関係において、相手の出すサインを勘違いしたり、無視したりする

愛着理論をざっくりと言うと

イギリスの心理学者で精神分析医のジョン·ボウルビィ (1907-1990) が枠組みを構築したもので、今日も世界中で研究が進められている発達心理学の考え方です。理論の確立に大きく寄与したのはStrange Situationという有名な実験で、その実験では特定の条件下において乳児が母親に対してどう反応するのかを観察しました。

その結果、赤ちゃんはそれまでに親との間に築いた「愛着」の質によって、異なる反応を示すことがわかり、また、どの反応を示すかによって赤ちゃんを3つ(のちに4つに分類)のグループに分けられることがわかったのです。そのグループとは、1情緒面で安定していて、回復の早い<安定>と、2情緒面で安定していない<不安>、それから3 無反応<拒絶>で、どのタイプの愛着を築くかが、その子どものその後の人生に大きく関わってくることもわかりました。

1960年代から本格的になった研究ですが近年特に注目を集めており、毎年世界で愛着理論に関する多くの論文が発表されています。私たちに一体どんな関係があるのかというと、いわゆる子どもの頃不安定な愛着を築いた人は大人になっても不安定のままであるケースが多く(欧米では大人の不安定タイプは人口の1/3から40%とも言われいます)、たくさんの人が愛着を起因とした人間関係の課題を抱えているということが挙げられます。

特に恋愛関係(恋人間・夫婦間)でその特徴が現れやすいため、親密な関係を安定させられない、相手と分かり合えない、といったことで人生に満足感が得られなかったり、鬱や離婚を通して健康や精神に影響が及ぼされることもあります。
もちろん個々人の経験や気質によるところもありますが、愛着のタイプによってその人が世界を見るフィルターは大きく異なります。大人のになったあなたが何を感じて、物事をどう解釈して、どう人間関係を築き、どういう人を魅力的だと思い、どう交際を終わらせるのか・・・愛着がその全てに影響を与えると思うと、なかなか興味深いトピックではないでしょうか。

不安タイプの子ども時代

愛着理論では、人を以下の4種類のタイプに分けています。

  • 安定タイプ (Secure Attachment)

  • 不安タイプ (Anxious Preoccupied)

  • 恐れ・回避タイプ (Fearful Avoidant)

  • 拒絶・回避タイプ (Dismissive Avoidant)

安定タイプは、子どもだったあなたの欲求に親がよく気づき、反応をし、親子が情緒的にうまくつながれていたタイプ。他の3つは不安定タイプ(Insecure Attachment Styles)と呼ばれ、親の事情により子どもの欲求が満たされず、情緒的なつながりがうまく築けなかったタイプです。

大人になった安定タイプは、パートナーと信頼しあい、助け合うことを前提とした、長期間に渡って安定した関係性を築く可能性が高いでしょう。一方、不安定タイプはパートナーとの関係の中で、様々な課題に向き合うことになります。

子どもは、『自分は安全だ』『親からちゃんと自分の欲求を理解されている』『親は自分を無条件に見守ってくれている』と常に感じることができていれば、親と安定した愛着を築くことができます。それが一部、または全く感じられていない場合でも、子ども(ヒトの脳)はなんとかそれに適応しようとします。

不安タイプの人が子どもの時、親の接し方にはムラがありました。ある時は親が子どもの欲求によく反応してくれ、深い愛情を持って接してくれているのに、ある時は子への接し方が無神経、押し付けがましい、または不在などで、子の欲求が上手く満たされない、など。
子は次第に、与えられたり、与えられなかったりする愛情から親にしがみつくようになり、自分が捨てられないよう、あらゆる手を尽くして親の注意をこちらに向けようとします。一種の愛情中毒とも言えるでしょう。
このような環境下で育った子は、不安タイプになりやすいと言われています。

イメージしやすいのは、親自身が愛情に飢えているパターン。親は子の気持ちを満たすように接するのではなく、自分の気持ちや物理的な欲求を満たすために子と接します。例えば、自分が寂しい時、安心したい時には子どもの相手をし、抱きしめるけれども、他のことで頭がいっぱいの時には、子どもが泣いたり、愛情を求めてきても無関心・無反応など、自分が中心の接し方です。

過保護な親の子どもも、不安タイプになりやすいと言われています。このような親は「完璧な母親 or 父親」であることに強いこだわりを持っていることが多くあり、その意味で親は子どもの本当の気持ちや欲求に注意を向けることができません。また、子は体裁ばかりを気にする親のために「完璧な子」を演じなければならず、条件付きでもらえる愛情に空虚さを感じることもあったでしょう。

ただ、このような状況でも、数打てば当たる・・・ではないですが、親の求めていることと子が求めていることが合致することもあるので、そのような時には、子は親と親密性や絆を感じることができます。それらが不安タイプに共通する「与えられたり、与えられなかったりする愛情」につながってきます。

ここで皆さんに知っていて欲しいのは、不安タイプの親も、また不安タイプであることが多いということです。自分がそのように育てられたので、同じように子を育てるのは彼らにとっては普通のこと。子どもの時に埋められなかった心の穴を、親になった時に、子どもを通して埋めようします。これは、遺伝的なものではなく、次の世代、次の世代へと受け継がれていく行動のパターンなのです。

不安タイプの大人の恋愛と特徴

子どもの時に形成された愛着のタイプは、何もしなければ、多くの場合生涯変わることがないと言われています(注意:安定タイプじゃないからといって、問題があるわけではありませんし、安定タイプでも課題は抱えます)。

では、大人になった不安タイプにはどのような特徴があるのでしょうか?
恋愛面では、追われるより、追いかけるタイプであることが圧倒的に多いです。子どもの頃の愛着の傷から、自分の奥深くで、『捨てられるかもしれない』『拒絶されるかもしれない』という感覚を常に抱えており、パートナーや恋人が、いずれ自分に飽きて去ってしまうのではないか、という不安をいつも感じています。パートナーと離れ離れになったり、一人になることを極端に恐れ、常に連絡をとったり、一緒にいることを要求します。

同じ理由で、頭では続けるべきではないとわかっている交際に対しても、長く留まってしまう傾向があります。ひどいことをされてもズルズルと関係を断てずにいることが多いでしょう。

自分の親やパートナー、友人のことをとても高く評価し、ポジティブな捉え方をする一方、自分にはあまり価値を感じることができません。ですから、不安タイプにとって、パートナーから承認をしてもらったり、安心をさせてもらうことはとても大事なのです(愛情のある言葉を受け取っても、それを本人が信じることができるかどうかは別ですが)。

自分が安心できる言葉が得られず、自分を愛しているという裏付けがとれないと不安ばかりが大きくなり、相手を恨んだり、激しく叱責することもあるでしょう。普段、相手を失うのが怖くて抑えている感情も、時には爆発させないと、相手が自分の言葉に耳を傾けてくれないと思うのです。

相手が去ってしまうかもしれないという不安は、相手への執着や依存、嫉妬、支配となり、バランスの取れた関係性を築く妨げになります。また、そのこと自体が、相手が去ってしまうという、自分が一番恐れている結果を招くことになりかねません。

今の状態から抜け出す4つの方法

不安タイプの人は恋愛中、パートナーに自分を救って欲しいという願いや、パートナーは自分の不完全な部分を補ってくれる存在という考えがちです。でもそれを追求することは、不可能を追求するのと同じことです。自分以外の誰も、自分の心の穴を埋めることはできないのですから。

けれども私たちは自分の愛着のタイプを変えることができる、ということがわかっています。不安ばかりのフィルターを取り除き、自分の本当の姿を知り、パートナーと愛情溢れた関係を築くことは必ずできます。パートナーを持たず、ずっと一人でもいい、という人でも、自分の不安フィルターを取り除くことで、家族・友人関係や職場の人間関係が確実に向上するでしょう。
愛着のタイプを変える方法はたくさんあるのですが、ここでは代表的なものを4つ紹介します。

1つ目の方法は、安定タイプまたは自分よりも安定しているパートナーを持つこと。穏やかで、安定したパートナーがあなたと真摯に向き合ってくれれば、きっとその関係から新しい物事の見方を身につけることができるはず(不安タイプは拒絶タイプを選ぶことが多いので注意)。

2つ目は、今パートナーがいて、問題が多いと感じているのであれば、それは自分を成長させる絶好の機会です。自分が相手のどんな行動やどんな言葉に反応していて、なぜ不愉快に感じているのかを丁寧に観察してみましょう。冷静に考えてみれば、自分の本当の欲求やにも気づきやすくなりますし、意識をすることで、いつもの反応パターン(ただ相手を責める、など)から抜け出しやすくなります。

3つ目は、自分の子ども時代の経験を理解すること。これはとても大事です。『自分の育った環境や親との繋がりを考えて、今の自分であることはなんら恥ずべきことではない(受容)、けれども、自分は今、かつてのように親に頼ることなく生きることができ、過去構築した自分を守るシステムは現在、一部必要がなくなっている。健全な関係を人と築くために、そのシステムをアップデートさせる必要がある。』それを内から感じることができれば、大成功です。

4つ目は、セラピーやカウンセリングを受けること。カウンセラーがあなた自身のことや、あなたの幼少期をよく理解し、相互に信頼関係を築くことができれば、これはとても強力です。ただ、日本ではきちんとした知識や経験を持っている人を見極めるのが難しいかもしれません。カウンセラーと名乗ることが容易にできるからです。心理を専門にしているプロでも、愛着理論は詳しくない、という人も多いかもしれません。ただ、信頼できるカウンセラーを見つけることができれば、あなたの心を安定させ、強い自分をつくる手伝いをしてくれるはずです。補助的に、関連書籍を読んだり瞑想を取り入れることも有効でしょう。


どう自分を変えると決心したとしても、続けることが、一番の鍵です。努力なしには愛着タイプを変えることはできません。(だって考えてもみてください。今まで何十年もそのように生きてきたんです。それを変えるって、並大抵のことではありません!)
過去と向き合う勇気を持って、動き出せば、あなたの現在、そして未来が変わります。


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