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【エッセイ】ホームビデオの真実

~皆様、産まれた時の記憶ってありますか?~


ほとんどの人が記憶がないものですが
産まれた時の記憶をはっきりと覚えている人もいると聞いたことがあります。


中にはお母さんのお腹の中にいる時の
記憶もある人もいるらしいですね。


ちなみに私は
赤ちゃんの頃の記憶は一切ありません。


だからこそ
その時の記録として
動画などで撮ることも大切なのですね。


そんな子供の頃に
両親が撮ってくれたホームビデオを
大人になってから見る機会がありました。


そこで、
見てはいけないものを見てしまったので
ここにそれを残したいと思います。


皆様、どうかお付き合いください。










まず、
私は3,800gちょっとで産まれてきたそうです。


私が産まれた時、助産師さん達が
「大きな赤ちゃんですね~!」
祝福してくれました。


私は、産まれた瞬間から
ビックな男だったのです。









隣で泣き声が聞こえてくるまでは…







隣の分娩室で看護師さん達が
大騒ぎしています。




「4,000gの赤ちゃんが産まれました!」




私がビッグな男だったのは
一瞬だけでした。


私は産まれて
数分で敗北を知ったのです。






そして、それは置いといて
私が産まれてからのホームビデオを
大人になってから見ました。


初めてハイハイした時の私
母に寝かしつけられてる私
父に抱っこされてる私
祖父母と遊んでる私
1才の誕生日の私


たくさん、愛されてきたんだな
見ていると
自然と涙が出てきました。




そして、私の成長過程が流れていく中で
1つのシーンに目が止まりました。




それは、
まだ5才の時の姉
悪鬼のような形相でカメラを睨み付けているのです。


カメラを持ちビデオを撮る母が
姉に聞きます。


「どうしたの?」


姉はすごい剣幕で
手でシッシッっとして。






「あっち行ってな!」




と母をとにかく遠ざけようとします。


5才にして凄まじい迫力を出してます。


まるで、三国志の長坂の戦いで
張飛が曹操軍に向けて仁王立ちで
威嚇した時のような威圧感です。




姉は、何を一生懸命に
母を近づけないようにしているのでしょう。


母が、無理矢理近づこうとすると。

姉は、もっと恐ろしい顔になって
再び同じセリフを言います。





「あっち行ってな!」




この動画はいったいなんなのでしょう?
いったい、姉の後ろには何があるのでしょうか?


私の知っている姉と母は仲良しです。


姉が
いつも優しい母に
こんなにも怒っているのは初めて見ました。


そこまでして
何を隠そうとしているのでしょうか?




カメラが姉の後ろ側を映し
その答えがようやくわかりました。









姉の後ろには









1才の私が映っていました。



1才の私は、ふてぶてしい座り方で
生まれて間もない弟のミルクを奪い
堂々と飲んでいます。


まるで、盗賊の親分の貫禄です。


そして、私の後ろには
生後数ヵ月の弟がスヤスヤ眠っています。


まだ幼き姉は
私の悪行を隠すために
必死に母を足止めしてくれていたのです。




あぁ、なんて素敵なお姉さまなんでしょう。


私のことを、
こんなにも想ってくれていたのですね。

姉は普段、口下手ですから
私は姉の愛情を知りませんでした。


姉は私のことを
身を呈して守ってくれていたのです。


今度、姉に会ったときは
GODIVAのチョコでも買ってあげましょう。







そして、弟は
私よりも身長が低い理由
ようやくわかりました。


いえ、わかってしまいました。



私が弟の栄養を奪っていたからです。






本当にごめんなさい。




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