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1/10Fukushimaをきいてみる2023.ホープツーリズムモニターツアー

映画
1/10Fukushimaをきいてみる2023

をテーマにした
福島でのスタディツアーに参加した。

8年前、福島県知事の肝入りでダークツーリズムに対抗し、企画されたという
ホープツーリズムの一環である。

まずは映画の上映会があり、
古波津監督、インタビュアーの佐藤みゆきさん、
参加者一同と、このツアーを作った
菅野さんで対話が行われた。

みゆきさんに、
この映画を10本撮って、
故郷に対する思いは
どのようにかわりましたか?
と私が聞くと、

「前は出身した田村市だけが故郷だった。
今は福島全体がふるさとという気がする。
いろんなところに親戚がいる感じがします」

監督には、
「相互に対立する難しい社会課題を考える上で、何が一番大切だと思いますか?」

と尋ねると、
「違いではなく、同じところを見ていくこと」
という答えが、返ってきた。

みゆきさんと監督の言葉は違うけど、
同じことを言っているみたい。

私もこの1/10の映画を見るたびに、
福島に親しい人が増え
この場所が好きになっていく気がする。


翌日は映画にも登場した、
花農家で、新規農業者を育てる研修を行う、
浪江の川村さんにお話を伺った。

結構シビアな意見も言っているのに、
笑顔がいい。
常に10歩以上先を見て、
動いていく。

「思いやアイデアには価値がないと思うんです。
それを形にして,はじめて価値ができる。
だからまず実績を作れとよく言います」

震災前から、介護施設などを運営していた
川村さんは、震災後、避難が長引くにつれて生活習慣が崩れていく状況を見兼ね、
まずは避難所の、ゲリラ体操教室を行うところからスタートしたと言う。
次に地域に自立支援サポートセンターを立ち上げ
被災支援の中核を担っていく。


荒涼とした土地の復興には、
農業だ!
と、規制を振り切り
野菜作りに取り組んだものの、
近隣で除染するたびに線量が爆上がりし
断念。
その後花づくりに転身する。
松本の巨匠に一から花づくりを習い、
かつ、若者の就労移住を見据え
「どんな農業が魅力的か」を学生さんに取材。
結果、週休2日制、
年収500万。
週の労働時間40時間労働の
起業体制を作り上げ、
起業支援を行う。

風評被害に悩まされる
浪江の人が故郷を誇れるように
オリンピックのビクトリーブーケに立候補し、
自民党フラワー産業議員連盟にプレゼン。
開催が伸びた一年で、
必要なタイミングで、
花を開花させる技術の実証実験を行い、
その技術を確立。
ビクトリーブーケの8割を出荷した。

現在は気候温暖化を睨み、
8.9月だった花の出荷のピークを
3.4月のお彼岸の時期に
ずらしているとのことだった。
この先見の明がすごい。

1週間で320万売り上げ、
研修生たちに
「花はおもしろいだろう!
という話をしている。

という。

帰宅困難地域に残してきた山羊を
悩んだ末に連れ帰る話、
鶏の卵を震災後第一号として出荷した話。
野菜も、ヤギも、鶏も
同じいのちとして、等価に語られる。

厳しい話も、おもしろいのだ。



道の駅なみえ、では3周年記念イベントが行われていた。マグロの漬け丼うまし!

今回の旅には、さまざまな世代
様々な地域から来た、
様々な属性の人々が参加した。
福島からの参加者もいて
それがとてもよかった。

「同世代がいないから
話ができないと思っていた」という、
ー福島在住の、13歳の中学生の、
「来てみたらそうじゃなかった。
世代を超えてつながるということをはじめて知った」
と言う感想。

23歳の同じく福島出身の若者が
「福島県人同士だと被災の話はほぼしない。
外部の人の中にいて
はじめて深い話ができることを知った。
でもそれだけだといけないので、
福島県人として自分になにができるか、
考えていきたい」と言う言葉とか。

高校生のお嬢さんと参加していた関東から来たお母さんの、
「被災地の人は、あんなことがあったけど、
今は幸せと言っていい。
でも被災していない人間は、
震災のことを覚えていなければ
いけないと思った」
と言う感想にも、じーん。。。


震災遺構請戸小学校の校舎の一部も、
この交付金で作られている

ツアーを企画した菅野さんが、
浪江には原発がないため、
大熊町など立地市町村に比較すると
電源立地交付金が桁違いに少ない。
しかし、それでも、
流れてくるお金はあったんです。
と、被災の大きさを語るたびに
その事実を同時に語っていたのが
印象的だった。

「これからもちょうどいい暮らし
というのをずっと考えていきたい」

「コンセントの向こう側に思いを馳せる」こと。
それが何を犠牲にして得られているのか。



震災後すぐに移転された大平山霊園からの眺め。ここをたくさんの人々が流されていった。霊園を整えるため,自動草刈機と電源用のパネルが静かに動いていた。

「そのモヤモヤが大事なんです」

みんな福島に来るたびに
もやもやして帰る
らしい。

でも、当事者支援者として
過労死,過労自死のまさに人が今死ぬ、
現場にいた私には
ここはむしろ、解凍しかけの希望の場所だ。
死ぬべきではない人が
毎日線路に飛び込み
死んでいくのは異常だ。
ここにはひとが苦しむだけの正当な理由がある。
そして大勢の人がいろんな形でここに踏みとどまり、明日を見出そうとしている。



補助金がだんだん減らされていく中
先行きは決して明るくはない。
この場所がどうなっていくのか。
どうしていきたいのか、
関係人口の1人として
一緒に考えていきたい。





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