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圧巻の展覧会:いざ東博「桃山展」へ①

コロナ禍のなか、美術・博物館で開催される大型展覧会の多くは日時指定券を事前に予約するシステムに移行している。こちらもだんだんそれに慣れてきたが、思えば大行列に並び、人が混雑し遮るものが多い会場で心穏やかに作品を観ることが不得手だった自分にとっては、このシステムは都合が良いい。

さて、10月6日から東京国立博物館で始まった「桃山-天下人の100年」展へ出かけた。安土桃山時代となるとわずか30年間のことだが、今回のように鉄砲伝来(1543年)から鎖国開始の1639年までの約100年間、室町の終わりから江戸初期までの時代で区切ることで、世の移り変わりとそれに影響を受けて生まれた日本美術の変遷がわかりやすくなっている。美術作品というのは、どの時代を切りとっても、世の動きに敏感に反応して生まれるものだが、とくにこの戦国時代というのは、日本のなかで社会のシステムが大きく変わり、それとともに芸術の価値が大きく変わった時代だ。この「芸術の価値」とは、展覧会の開催趣旨にも記されているように「日本人の美意識」ともいえるだろうか。美意識でさえ、それは自然に勝手に変わるものではなく、社会(政治、経済を含む)の変革とともに変わるものである。

日本美術史のエポックメイキングとなる一時代を余すところなく魅せる今回の桃山展は東博、読売新聞社、文化庁の三者共催だ。さすが力の入れようが違うというべきか、圧巻の品ぞろえとクオリティの高い内容で、会場には国宝、重要文化財が数多く並ぶ。桃山美術・文化の特徴ともいえる豪華絢爛な障壁画に圧倒され、一方で黄瀬戸や志野など茶の湯文化の極みに唸る。一つの会場の中で、何度でも感嘆の溜息が出てしまうのである。

前書きだけでnoteの1回分の投稿として十分なボリュームになってしまったので、実際鑑賞した際の私のお気に入り作品の紹介は次回に続くこととしたい。もしこの前置きを読んでいただき、ほかの余計な先入観なんていらないという人は、どうぞ早めに事前予約をして博物館へ足を運んでほしい。それこそ、会場で見た

ものをどう感じたか、自分の心の動きを知る大切な時間にしてほしい。また、もう少し予備知識を頭に入れたいという人には、展覧会の公式サイトを見るのがお勧めだ。作品のハイライトや展示構成が簡潔に解説されている。ただ、今回の展覧会は全ての作品がハイライトだと言っても過言ではない。

特別展「桃山-天下人の100年」

会期:~11月29日(日)まで/会場:東京国立博物館 平成館 

特別展「桃山-天下人の100年」公式サイト

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