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74. 心踊る服は、自分への愛。

あー。買った服がかわいい!ふふ。

ここ最近、今年1年仕事をよく頑張ったという自分への満足感と、お店の戦略的な年末セールによって、立て続けに服を買っている。だって50%オフなんだもん。いつもはわりと固めのお財布の紐も、そりゃ多少は緩む。


わたしは小学生くらいからほとんど好みが変わってない。森ガールという言葉ができる前から、圧倒的森ガールだったと思う。好きな色は茶色、服も持ち物もみんなナチュラル系で、正直、森ガールってジャンルが流行り始めた頃は「時代が追いつき始めたか…」とか思ってた。

中高は制服があったけど、大学生になるともう、好み全開な、ドンピシャな服ばっかり着てた。大体白かベージュか茶色かの3択。大きめのレース。裾の広がったスカート。ちなみに靴も先が丸くて、絵本に出てくるみたいなやつ。どこへ行くにも、この、わたし的可愛いを集めまくった格好に身を埋めてた。


社会人になって、私服を着る機会が週7から週2になった。うちの会社は制服があるわけじゃないけど、オフィスカジュアルはわたしの好みとは全く別なので、私服ではない。会社に行くために自腹で買ってる服。
週に2日しか着ないから、私服をあまり買わなくなった。クローゼットには週5を回すためのオフィスカジュアルが圧倒的に増えていく。
働きまくって疲れて、土日が完全なる休息日になった。毎週オシャレをして出掛けるほど元気もないし、友達もそんなに多くない。土曜日は午前中だらだらして夜にホットヨガに行くルーティンができてから、着る服もほとんどルーティン化した。もはや私服を楽しむのは日曜日くらいだけど、着回しを考えて会社でも着れるような服ばかりがクローゼットに並ぶようになっていた。


仕事のレベルが少しだけ変わり、自分はやっと一歩くらい進めたんじゃないかと思い始めたこの冬に、たまたま実家に帰ってショッピングモールに行った。ピンとくる服があったら買おうと、疲れた頭でぽやーっといろんなお店を見ていたけど、とある1つのお店の前で足が止まった。

あの、わたしの大好きな、レース地のブラウス。
袖が大きくて手首のしまったセーター。
ふわっと広がる大きいシルエットのスカート。

…いやいや、さすがに、わたし全開すぎる。
もう大人で東京の会社でバリバリやってるんだから
もう少しシュッとしたやつにしよう。

と、いつも無意識にストッパーを効かせていたのだけれど、まあ、もう、いいか。50%オフだもの。



思い切って買った服を着て、鏡の前に立つ。

か、かわいい…!え!かわいい!!

あまりにも自然でドンピシャだった。
あるべき自分だ。これが、そうだ。
まさにわたし好みのシルエット。
そして色遣いやスカートの丈なんかには
あの頃の自分に少しだけ、
大人っぽさと落ち着きが加わっていた。


好きな服を着るって、心踊る。
私が私を大事にしてるんだって分かる。
たとえ週に1日しかその日がなかったとしても、
また来週そんな日があると思えれば
なんとか1週間頑張れるような気がした。

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