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「全国最中図鑑」34 音頭最中(山形県最上郡真室川町)

『真室川音頭』のルーツは、明治の頃北海道で流行した『ナット節(ぶし)』だそうである。それが宮城の漁港女川おながわの漁民に伝わり唄われていたものを、真室川出身で当時女川で奉公していた近岡カナエという人が、昭和の初めに真室川に持ち帰り、創作を加えて唄った『山水音頭』が発展したものといわれている(ちなみに山水とは、カナエが働いていた真室川の料亭の名前である)。
当時の真室川は、鉱山の開発や軍用飛行場の建設などで全国からの労働者が集い、夜の街はとてもにぎやかだった。そこで盛んに唄われたのが『真室川音頭』だった。
やがて鉱山の閉山や終戦によって全国津々浦々に散っていった労働者たちが、各地でこれを愛唱したことで、全国的に普及していったようだ。

わたしゃ真室川の梅の花 こーりゃ
あなたまた この町の鶯よ

で始まるこの民謡の歌詞はなかなか色っぽい内容で、節もなめらかで歌いやすい。
『音頭最中』はこの民謡にちなんだ菓子で、真室川町の町花でもある梅の形を模した、わりと大きめの食べ応えのある最中である。


お菓子の平和堂
山形県最上郡真室川町大字新町129-5


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日本を代表する和菓子の一つである「最中」。香ばしいパリパリの皮とともに餡を頬張れば、口の中にふわっと広がる品のよい甘さ。なんとも幸せな気分になるお菓子です。編集スタッフが取材の途中で出会った最中のなかで、ユニークで忘れることのできないご当地最中を紹介していきます。


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