315【ことばの力はこころの力】
冬休み明けから、谷川俊太郎さんの「こころ」の詩集を中心に、毎日ひとつの詩で、こどもたちが心を考えるきっかけにしたいと思っていましたが、中途半端になってしました。改めて、私が準備していた詩を読み返すと、谷川さんは繊細な心を持っているのだなと思います。「トロムソコラージュ」、和田誠さんとの絵本、どれもポツンって、響きます。心の詩を二つ紹介します。
「こころの色」(2005年)
私がなにを思ってきたか
それがいまの私をつくっている
あなたがなにを考えてきたか
それがいまのあなたそのもの
世界はみんなのこころで決まる
世界はみんなのこころで変わる
あかんぼうのこころは白紙
大きくなると色にそまる
私のこころはどんな色?
きれいな色にこころをそめたい
きれいな色ならきっと幸せ
すきとおっていればもっと幸せ
「心の色」(2011年)
食べたいしたい眠りたい
カラダは三原色なみに単純だ
でもそこにココロが加わると
色見本そこのけの多様な色合い
その色がだんだん褪せて
滲んで落ちてかすれて消えて
ココロはカラダと一緒に
もうモノクロの記念写真
いっそもう一度
まっさらにしてみたい
白いココロに墨痕淋漓
でっかい丸を描いてみたい
心の色という題名も、2005年と2011年では、ひらがなと漢字だったり、内容も随分違ったり。心は現実には存在しない。恐怖、不安、喜び、哀しみ、怒りは、実在しない。でも、言葉や体は、現実に存在する。心を歪ませる出来事は、実在するが、心は自分次第。心から言葉が生まれ、言葉は波紋のように広がって、心に届く。言葉を言葉のままにせず、言葉の通りに生きるとき、心とは未来への物語になる。いろんな出来事に一喜一憂することなく、自信を持って進みましょう。
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