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右も左もイラン人

多くのイラン人は自分の事を”ペルシャ人”と呼ぶ。もともとあのあたりに住んでいた民族の呼び名だそうで、ペルシャ絨毯とか、ペルシャ猫とか結構日本でもおなじみのペルシャ。でもその中身はとってもミステリアスである。イランはアメリカと仲が悪い。今年の頭にもイランの英雄的な重要人物がアメリカのドローン爆撃により殺害され、戦争が始まる寸前までいったのが記憶に新しい。

という訳で、日本人でも一旦イランに入国すると次アメリカに入国しにくいとかがあるようで そうだ、イランに行こう。 とはなかなかならない。トルコなんかは日本人からも人気で、私の友達にも訪れたことのある人は結構いたが、イランに行ったことがある人は一人もいなかった。私の中でも明確なイランの情報はあまり持っておらず、中東のイメージがごちゃ混ぜになっていた。ニョロニョロの文字を使ってて頭からなんか被ってて、眼光の鋭い、宗教をとても大切にしてる人たち。ちょっと怖い。

そんな私がなぜこの記事を書こうかと思ったかと言うと、現在私の住むカナダ、コキットラムというのは非常にイラン人が多い!右も左もペルシャ人。ペルジャンストアもいっぱいあるし、なんなら私の大家さんもイラン人。そして私の彼氏もイラン人なのである!

彼と時間を過ごす中でイラン人のイメージは180度変わった。彼は幼いころにカナダに来たのでそこまでイランイラン?してないのだけど、ペルシャ語を喋るから他のイラン人が心を開く。私だけでは見られない彼らの素を見ることができる。
私調べ2020によると、イラン人はみんなでワイワイが大好きっぽい。うちの大家さんは上の階に住んでるが毎週末色んな人が来てパーティしている。手作りのペルシャ料理とちょっと中東っぽい音楽と笑い声がたくさん聞こえてくる。あとピイピイと指笛が聞こえ、フ~!どうも踊り狂っているっぽい笑 彼に聞くとこれはイラン人あるあるらしく、やっぱり家族同士で集まって踊り狂う文化らしい。陽気かよ。

あと、これはちょっと日本人っぽいけどおすそ分けとか手土産とかの習慣が根付いている。うちの大家さんもたまに手作りの料理を持ってきてくれる。私は食べることも、料理も好きなので何かを食べたとき何となく味付けに何を使っているか予想ができるのだが、イラン料理は全く予想がつかない。笑 めっちゃ美味しいねん、美味しいねんけど、これが何の香りなのかわからない。彼が良く作ってくれるイラン料理のファセンジューンというのがある。(画像はウィキペディアで拾ってきました。)

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説明するとすれば、、、ちょっとクリーミーな甘酢っぱいカレーっぽいご飯にかけて食べる何か。ちなみに彼レシピの材料はコリアンダー、パセリ、生クルミ、ザクロジュース、牛ミンチ。。。いや、わかるか!それを細かく刻んで、じっくり煮込む。四時間くらい。ペルシャ料理はスパイスとかハーブはもちろんのこと、酸味の使い方がとても上手い。ライムとかヨーグルトとか。酸味を加えることで塩分を抑えることができる。

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これは大家さんが持ってきてくれた料理。一枚目はイランのラーメンみたいなもんやって彼氏が言うてたけど、見た目によらず結構マイルドな味だった。ひよこ豆が入っていて麺はパスタに近かった。二枚目はライスミートボール。真ん中にアプリコットみたいな甘酸っぱいものが入っていた。日本食はご飯+おかずが三品あったとしたら、それぞれがご飯と美味しいけどペルシャ料理はその皿に乗っている全部を一緒に食べると美味しく出来ている。例えばケバブだと、ケバブとご飯と焼きトマトを一緒に混ぜて食べる。そこに口休めの大きめに切った玉ねぎを齧るというかなり強気のスタイルだがこれがまた合う。

話は逸れたが、たまに手作りのご飯を持ってきてくれたりととっても優しくて気さくな人たちだ。なんだか、古き良き時代というかそういうノスタルジックないい雰囲気がある。以前彼氏とケバブの材料を買いに行った時もあちらこちらのおっちゃんから作り方のご指導を受け、それやったらこれもいるぞあれもいるぞ、と色々教えてくれる。どのイラン人もめっちゃゆっくり喋るので独特な歌うようなアクセントがとても心地いい。

「イラン人みてたら、昭和の日本人とか田舎の日本人思い出すわ」と彼氏に言うと、確かに第二次世界大戦で負けて協力しながら日本を復興してきたその時代の人々と、革命と戦争で大勢の人を失って色んな苦しみを抱えながら生きてきたイラン人の境遇を考えると似ているところがあるのかもねと。確かに。

さて、最近話題になっているBLACK LIVES MATTER問題であるが、いい機会なのでバンクーバーの人種差別について書きたい。こちらに来てから何度も耳にした言葉がある。『カナダ人はアメリカ人と違って移民をとても大切にしているし人種差別もしない。そもそもこんなにマルチカルチャー(色んな文化が混ざり合っていること)なのに差別とかwhite privilege(白人特権)がある訳がない』これ、多くの白人はまじで信じてる。目を覚ませ。周りを見ろ。まず、差別があることに気づいてない時点でwhite privilegeである。

一週間前、彼氏が普段よりも早く仕事から帰宅した。どうも会社の人と言い合いになったらしい。よくよく聞くと、50代の白人男性二人が黒人の同僚がいないところで彼のことを”ニガ(差別用語)”と呼んでいるのを注意したことで揉めたらしい。ちなみに以前に彼氏もそいつらからテロリストと言われたこともあった。アジア人に対して”chink(差別用語)”を使うところも何度も何度も見たことがある。ちなみに、いくら差別用語を言われようが手を出した方が捕まるそうですよ。だから言い返すか、我慢するしかない。『nigga』『terrorist』『chinks』自分がそう呼ばれること、自分の大切な人がそう呼ばれること、これだけでも、私のなかのどす黒い感情が爆発しそうになる。それが400年、400年も奴隷にされ、2020年に自分の仲間が8分46秒白人警官に頸椎を圧迫されて死んだ。黒人達の怒りは計り知れない。黒人女性が言っていた。”あんた達はラッキーよ、今私たちが”復讐”じゃなくて”平等”を求めていること”

”日本にも差別がある”まずはそういう前提で、自分がどう行動するかが大切だと思う。他人事で済ませてはいけない。

話は飛んだが、この感情日本に住んでいると中々感じられなかったと思う。コキットラムに住んでいなかったらイラン人のこと今でも怖かったと思う。だからもっといろんなことを知りたい。学ぶこととは私にとって自分の足で歩いて、見て、感じて、パズルを集め、組み立て、そして自分の中に落とし込んでいく作業だと思う。

(noteでは下記岡田悠さんの記事がとても面白かったので、読んでください)


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