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【UI.UXの歴史:vol.3】 苦節30年、ようやく「マウス」が誕生した件について

どうも!
MoQupの原田です。

日本のUXの書籍を読んでみると、手法やプロセスは書かれていても、歴史についての記載は少なく、理解を深めるためにも、原点に触れるために少しづつ調べてみる事にしました。

Chat GPT先生の力も借りつつ、主要なマイルストーンをUI、UXの目線を入れつつ追ってみようと思います。


今までの記事はこちら


【UI.UXの歴史:vol.1】 UIとUXの歴史を調べようと思ったら、コンピュータの発明まで遡らされた件について。

【UI.UXの歴史:vol.2】 UIとUXの歴史を調べていたら、「人間工学」にたどりついた件について

第3回の内容は「GUI」と「マウス」


1960年~1970年の主要なマイルストーンをご紹介します。

ついにコンピュータと人間の画面上でのインターフェイス「GUI」の概念が登場し、対話の方法もパンチカードから、キーボードやマウスへと変化していきます。

今までは、物理的で直接的なコンピュータとのセッションが多かったのですが、1960年代からはその様相が一変します。

その中でも「GUI」と「マウス」について時代の転換点ともいえる発明を掘り下げてUIとUXの観点を追っていきます。


始めての「コンピュータマウス」の誕生


1960年代初頭、コンピュータはまだ主に大企業や研究機関で使用されるものであり、一般的なユーザーが直接触れるものではありませんでした。
多くのコンピュータは、パンチカードや特別なコマンドを使用して操作されていましたが、トランジスタコンピュータの発明からコンピュータの処理読度が上がり、より直感的で効率的にプログラミングを行う事の出来るユーザインターフェイスの必要性が認識され始めていました。

その中でも、多大な影響を与えた方がダグラス・エンゲルバートさんです。

マウスというその画期的な発明のみならず、現在のパーソナルコンピュータで当たり前のように使われているワードプロセッシングや、アウトライン処理、ウィンドウシステム、テキストリンクといった技術を世界で最初に紹介した人物である。

スタンフォード研究所(SRI Internationalの前身)の研究者であるダグラス・エンゲルバートさんは、情報の効率的な操作とアクセスの方法を模索していました。

彼は、人間とコンピュータのコミュニケーションを改善するための新しい方法を追求しており、この中でコンピュータマウスのアイディアが生まれました。

そして、1964年にエンゲルバートさんと彼のチームは、木製の箱にボタンを付け、下に金属のボールを取り付けた最初のマウスプロトタイプを製作。このボールが動くことで、コンピュータ上のカーソルも動くという仕組みでした。

最初のマウスプロトタイプ

今ではレーザーになってしまいましたが、昔はコロコロするマウスが主流でしたね。

ゴミが入ってしまうと途端に動かなくなってしまう、非常にもろいものでしたが。。

1968年、エンゲルバートさんはカリフォルニア州サンフランシスコで開催された「Fall Joint Computer Conference」で、マウスを使用したデモンストレーションを行いました。このデモでは、マウスだけでなく、ハイパーテキストやウィンドウベースのインターフェイス、ビデオ会議など、多くの先進的な技術が紹介されました。

しかし、マウスが普及し始めたのは、1980年代にApple Macintoshの登場に合わせてでした、概念としては1960年代からあったものの20年ほど経ってようやく日の目を浴びたデバイスだったんですね。

エンゲルバートさんのビジョンは、人々が情報を効果的に操作・共有するための新しい方法を提供することだったのですが、

そんなダグラスさんの有名な言葉には、

自然なものなど存在せず、自然なものというのは単に慣れ親しんでいるものにすぎない。だからこそ、マウスがどんなに不自然なデバイスであったとしても、それによって得られるものが大きければそれでよいわけだ。

という、目的を達成するためのUIを生みだす「オブジェクト指向UI」にかなり近い発想が垣間見えていました。
コンピュータと効率的な対話ができれば、どんな形でも良かったわけです。そんな思想のもと、マウスは誕生し、今なお変わらぬコンセプトで現在まで進化を続けています。

OOUIについて分かりやすい記事はこちら


始めての「GUI」の誕生


1960年代初頭、多くのコンピュータはテキストベースのコマンドラインインターフェイス(CLI)を使用して操作されていました。これは技術的な背景を持つユーザーには適していましたが、一般のユーザーにはとっつきづらいモノでした。

そんな中、 アイバン・サザランドさんがMITでの研究から直接ディスプレイ上で図形を描画・操作できるインターフェイスを持つ、最初のインタラクティブなグラフィックスシステム「Sketchpad」を開発しました。

これは現代のGUIの原型となります。

Sketchpadと言えば、お絵かき用のアプリケーションを思い浮かべる方も多いと思いますが、最初のグラフィックシステムから名前をとっているんですね。

特徴としては、

1.ユーザーは光ペンを使用して直接ディスプレイ上に図形を描画し、その図形を操作することが可能。

2.図形には制約(例:2つの線が平行である、ある点が固定されているなど)を付けることができ、これにより複雑な図形や設計も表現可能。

3.ドラッグ&ドロップ
4.ズームイン/ズームアウト
など、現代のグラフィックスソフトウェアで当たり前となっている機能の「原型」が多く含まれていました。

当時からすれば、
・パンチカードでプログラミングする。
・テキストベースのコマンドラインインターフェイス(CLI)を使用していた。
・そもそもディスプレイなんて存在してない。

という所から、一気にディスプレイ上で操作が可能になったわけです。
コンピュータの可能性を感じるのには十分な出来事ですよね。

ただ、GUIの普及もマウス同様に1980年代初頭からでした。
Appleが1984年にリリースしたMacintoshが、一般の消費者向けにGUIを持つ最初の成功したコンピュータとなりました。


まとめ


1970年までは、基本的に技術の進歩を追ってきました。

UXという概念にはほとんど触れられず、実用的にコンピュータを使うためにはどんなインターフェイスとどんなスペックのPCが必要なのか?が中心にブラッシュアップされていく、技術とアイデアの過渡期だったわけですね。

しかし、1970年代からはコンピュータの進歩が加速され、ついに「Apple」が誕生します。

次回は1970年代の進歩から、UI・UXの歴史をたどってみましょう!

それでは次の記事でお会いしましょう!!

皆様の良きデザインライフを!


ChatGPT先生に聞いた、1960~1970年のマイルストーン5選

Sketchpad (1963年): アイバン・サザランドがMITで開発したSketchpadは、最初のインタラクティブなグラフィックスシステムとして知られています。このシステムは、直接ディスプレイ上で図形を描画・操作することができるもので、現代のグラフィックスユーザインターフェイスやCAD(コンピュータ支援設計)の原型となりました。
マウスの発明 (1964年): ダグラス・エンゲルバートがコンピュータの画面上のカーソルの移動や選択を助けるためにコンピュータマウスを発明しました。これは、現代のコンピュータインターフェイスにおいて中心的な役割を果たすデバイスとなりました。
NLS (oN-Line System, 1968年): ダグラス・エンゲルバートと彼のチームが開発したNLSは、ハイパーテキスト、マウス、ビデオ会議、およびウィンドウベースのグラフィカルユーザインターフェイスを組み込んだ初のコンピュータシステムでした。
Xerox PARC (1970年代): Xeroxのパロアルト研究所(PARC)は、現代のパーソナルコンピュータとユーザインターフェイスの多くの基本的なアイディアを生み出しました。ここで開発されたAltoは、ビットマップディスプレイやウィンドウ、アイコン、ポインタなど、現代のグラフィカルユーザインターフェイスの要素を初めて組み合わせたコンピュータでした。
命令型と宣言型のUI: この時期には、ユーザーが具体的な手順を指示する命令型のUIと、ユーザーが望む結果を宣言する宣言型のUIの概念が浮上しました。

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