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【動画で学ぶUX:vol.2】ドナルド・ノーマンさんのTED講演「感情に訴えるデザインの3つの要素:2003」をまとめてみる

どうも! MoQupの原田です。

今回は第2回、動画で学ぶUXという事で、ドナルドノーマンさんのスピーチからUXについて学んでいこうと思います。

本記事の目的は、

・スピーチをされている方々の思考や経験から、「デザイナーとして活かせる事」を学ぶ
・有名デザイナーさんの講演を見て「今からのビジネスやデザインに活かせる事」を学ぶ
・海外の有名なスピーカーから「最新のデザイン動向」について学ぶ

と設定していますが、新しい観点を取り入れつつ、UXについての事柄を動画から学んでいく事です。

さっそく始めましょう!!



ドナルドノーマンって誰??


ということで、ドナルドノーマンさんの来歴をご紹介。

ドナルド・ノーマン(Donald Norman)は、認知心理学者であり、ユーザビリティとデザインの分野で広く知られている人物です。彼は特にデザイン思考とユーザーエクスペリエンス(UX)に関する著書で有名です。

彼の著書「The Design of Everyday Things」(日本語訳:「ものづくりの心理学」)は、デザイン思考と人間中心のデザインについての基本的な原則を説明していて、今なお多くのデザイナーやエンジニアに影響を与えています。

UXの勉強をしようと思った方なら一度は耳にした事があるであろうNielsen Norman Groupの共同設立者でもあります。

ユーザビリティとユーザーエクスペリエンスに関する研究を行い、デザイナーやエンジニアにユーザビリティの原則を教えた、UXの祖としての親しまれています。


本日の動画はこれだ!


これもめちゃめちゃ有名な動画なんですが、個人的にアウトプットしたことは無かったので取り上げてみました。2003年の動画ですが、今見ても勉強になるし、楽しめます。
この「楽しい」という感情がどのように作られるか?について、ノーマンさんは話してくれています。

今回は、ドナルド・ノーマンさんのTED講演「感情に訴えるデザインの3つの要素」をまとめつつ、UXの勉強をして行きます。


動画の内容


ノーマンさんのスピーチはいつもユーモラスに自虐をするところからはじまります。

フィリップ・ スタルクがデザインしたレモン搾りを購入したんだけど、 キッチンではなく、玄関のところにあります。 レモンを搾るのには使いません。
私が買ったのは金色の スペシャルエディションなんですが、小さな注意書きが入っていました 「レモンを絞るのには 使わないでください。金メッキが酸で痛みます」

だから箱入りの ジュースを買ってきて グラスに注いで 写真を撮りましたw

というジョークで観客の心をつかみます。
そして、レモン絞り器を映した写真に一緒に移っているナイフにフォーカスを当てて話をつづけました。

これは日本製のグローバルナイフです。
まずこの形、

見ているだけでも素晴らしい。
それから手に持った時のバランスが絶妙で心地良い。
切れ味がすごくいい。

使っていて楽しく感じます。だから 、これには全部が揃っているのです。美しくて機能的、だからこそ、このナイフについてのストーリーを語ることができる。そして、観念的でもあります。
私は情動や感情に関して理論を持っているのですが、この3つがその要素なのです。

その他にも、
・MITメディアラボの 石井裕さんの一風変わった卓球台
・Googleの検索体験
・ミニクーパーの運転をする時
など様々なシーンで「楽しい」を想像させてくれます。

ノーマンさんは、この楽しい話をした後に、

快適なものは機能的だと本当にそう思います。

それがどういうことなのか良くわかりませんでしたが、ようやく解明しました。

たとえば地面に板を置いたとしましょう。
幅60センチ 長さ10メートルの板があって その上を歩くところをイメージしてください。そう、足元を見なくとも歩けます。

前でも後ろでも、それにジャンプだってできます。この状態では全く問題はありません。

では同じ板を100メートルの高さに置くとどうでしょう?
私は近づこうとも思いません。絶対に遠慮しておきます。
強い恐怖感のため体が動かなくなります。

このようにモノが使われるシーンが変わると、実際脳の働き方に影響を与えるのです。

という、脳の働き方に影響を与えることが人が感情を覚える基準になっているというのです。

それでは、脳の動きが人間に感情を覚えるシチュエーションにはどんなものがあるのでしょうか??

感情に訴えるデザインの3つの要素とは


ノーマンさんは感情に訴えかける、というよりも感情が生まれるシチュエーションをレベルと称して3段階で定義しています。そのレベルは下記のように分けられています。

・本能的に何かを感じてしまう:本能レベル
・何かをコントロールしている感覚を覚える:行動レベル
・思っている事とやっている事が違う!:内省レベル

人がプロダクトに感情を覚え、魅力的に感じるかはこのレベルを意識することがカギだと言っているんですね。

実際どういうこと?と思う方も多いと思うので、実例を見てみましょう。

本能レベル

私たちは苦い味や、うるさい音、寒暖差が嫌いです。それに、怒っている声や、しかめっ面も大嫌いです。
私たちは対称的な顔が好きです。

哺乳類や霊長類は、果物や鮮やかな植物が好きで、果物を食べて種子を広めます。脳の中には驚くほどたくさんの本能が詰まっているのです。

など、こういった人間が本能的に快感や不快感を感じるシチュエーションや、生物としての本能を起源として起こる感情を本能レベルでの感情と定義しています。

これは非常に分かりやすいですね。

赤色をみると「興奮」したり、道端のタンポポがアスファルトのスキマから顔を出している事に「感動」したり。


行動レベル

私たちは多くのことをこのレベルで行っています 。本能レベルは無意識で、そこに自覚はありません。

私たちのすることの多くは無意識です。
私はステージを歩き回っていますが、自分の足をコントロールしようとは思っていません。

講演も多くの部分を無意識に行っています。あらかじめリハーサルし、十分に考えているからです。

私たちのすることの多くは無意識で、かつ自動的な振る舞いです。

熟練の技は無意識で 体が覚えているものです。

そして機能のデザインにおいては行動レベルをコントロールする感覚が大事になってきて、これにはユーザビリティや理解が含まれます。重みとか感触 とかそういうものですね。

行動レベルでみると、最初のグローバルナイフの例では、「鋭く切る」行為を自分でコントロールしていると感じられる。

高性能なスポーツカーで道をぶっ飛ばす。
それにも「環境」を完全に コントロールしている感覚が生まれている。

そこに自分でも認識できる感情が生まれるわけですね。

内省レベル

超自我のような 行動を制御しないのことです。
脳の部分や感覚とつながっていない、筋肉や行動をコントロールしない部分です。
これは頭の中の小さな声に近く、何かを観察していると小さな声は言うのです。 「これは良い!あれは悪い!」 「何でそんなことするの? わからないよ」 と。

ハマー(車)を持つ人は言っています。
「いろんな車に乗ってきて、魅力的な車もあったけど、これほど人の注意を 引ける車は他にないよ」 車自体よりも車のイメージが重要なのです。

中略…

面白いのは人が情動と別なものとを戦わせることです。
落下に対する感覚的な恐怖を内省的に「大丈夫。。 大丈夫。。 安全だ。 安全だ。」と言う状態。

遊園地のアトラクションが錆びついていて壊れかけていたら、誰も乗ろうとなんかしないでしょ?自分の中で、一方と他方とを戦わせているのです。

危ないのは分かっているのに、アトラクションにのる事。
怖いと分かっているのに肝試しにいく事。
キツイと分かっているのに、フルマラソンを走る事。

など二律背反的に思えることでも、強烈な感情が生まれると言うことをノーマンさんは語ってくれています。

ブランド品を買い求める心理はまさにこれです。
持っている事で、「優越感」を感じるように内省レベルを刺激しているんですね。

本当に余談ですが、心理学では感情を6つのカテゴリに分類しているそうです。

心理学では驚き、喜び、怒り、恐怖、悲しみ、嫌悪の六つを基本感情とします。これらは単独で表出されることはなく、複数の感情が混ざりあった混合感情として表出され、それが感動を作り出しているのです。

感動創造研究所:https://www.kandosoken.com/lab/story/05/index.html


まとめ


ノーマンさんは感情がおきるシチュエーション、感情を揺さぶるシチュエーションを3つのレベルで定義してくれていました。

人にプレゼントをあげたときに、相手の感情をコントロールできたようで、自分も「嬉しい」感情になったり、
プレゼントをあけながら食べたケーキが「美味し」かったり、

この話を聞くと、ユーザーの感情を揺さぶれそうな気がしませんか?

講演自体も非常に面白いので、是非動画も見てもらえると「嬉しい」です!
僕が皆さんの感情をコントロールできたってことですからねw

それではまた次の記事でお会いしましょう!

皆様の良きデザインライフを!!


ChatGPT大先生に聞いたドナルドノーマンさんの経歴

ドナルド・ノーマン(Donald Norman)は、認知心理学者であり、ユーザビリティとデザインの分野で広く知られている人物です。彼は特にデザイン思考とユーザーエクスペリエンス(UX)に関する著書で有名です。以下は彼についての詳細情報です:

ノーマンは、コグニティブ心理学と認知科学の研究者であり、その知識をデザインに応用しました。彼はユーザビリティ工学とユーザーエクスペリエンスの分野で重要な役割を果たしました。

彼の著書「The Design of Everyday Things」(日本語訳:「ものづくりの心理学」)は、デザイン思考と人間中心のデザインについての基本的な原則を説明し、多くのデザイナーやエンジニアに影響を与えました。この本では、日常の物品がどのようにデザインされるべきかについて探求しています。

ノーマンは「親しみやすさ(Affordance)」というデザイン用語を紹介しました。これは、物体やインターフェースがどのように使用すべきかをユーザーに示すための要素を指します。例えば、ドアの取っ手が引いたり押したりすることを示しているのは「親しみやすさ」の一例です。

彼はNielsen Norman Groupの共同設立者でもあり、ユーザビリティとユーザーエクスペリエンスに関する研究を行い、セミナーやワークショップを開催して、デザイナーやエンジニアにユーザビリティの原則を教えました。

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