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『カルダノ「eTukTuk」プロジェクト、ブロックチェーンで社会課題を解決する方法』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.1.24

■カルダノ、スリランカで初の電気自動車「eTukTuk」プロジェクト開始

暗号資産(仮想通貨)エイダ(ADA)を提供するカルダノは19日、電気自動車「eTukTuk(電気トゥクトゥク)」のプロジェクトをスリランカで始動させると発表した。

このプロジェクトは、カルダノのブロックチェーンを活用したeTukTukの充電ステーション展開のほか、ネットワークの拡張に恩恵がもたらされるようなインセンティブが設計されている。

ブロックチェーン技術と暗号資産を使って電気自動車を普及させ、社会課題を解決しようというプロジェクトです。

個人的に電気自動車にも興味があり、社会課題の解決にブロックチェーン技術を応用することにも非常に興味があるのでビンゴなニュースです。

ニュース記事に書いてある内容だけだと肝心なところが書かれていませんので後日もう少し調べてみますが、今回は概要だけでもお伝えしたいと思います。


■eTukTukプロジェクトの目的と概要

・世界の二酸化炭素排出量の63%を占める新興国市場、中でもスリランカでプロジェクト開始

・ガソリンエンジン型トゥクトゥクの電動化シフトを促すことで脱化石燃料の動きを後押しし、大気汚染や環境負荷低減を図る。

・ドライバーの報酬を4倍に増加させることに期待、経済格差問題の解決の一助となる。安全性が高く燃料費やメンテナンスコストが抑えられ、より長く働ける。

・・・ここまでだと、単にガソリンエンジン型トゥクトゥクを電動化しましょう、という施策でしかありません。

ここにブロックチェーン技術がどう絡むのか?が、今回は掘り切れませんが、eTukTukの公式サイトも含めて読み取れる範囲でまとめます。


■充電インフラからの収益案分にトークン投資する参加方法

eTukTukは、そのドライバーや乗客その他の“ネットワーク参加者”が報酬を得ることを可能にする仕組みを持っており、eTukTukの充電インフラが利用され拡大することで、報酬もさらに増加する仕組みだ。

公式サイトにはトークンの項目に「Power the Network and Earn Rewards.」とあります。

Say Hello to Efficient Charging.
The next dimension of charging efficiency.
Charging Stations form the backbone of the eTukTuk network and are built to be widely accessible, compact and future-proof. Territory Partners will provide the charge that helps the network grow, whilst earning rewards.
Become a Territory Partner and earn rewards as you power the future of transportation.

充電ステーションは、eTukTukネットワークのバックボーンを形成し、広くアクセス可能で、コンパクトで、将来性のあるように構築されています。テリトリーパートナーは、ネットワークの成長を助ける充電を提供し、同時に報酬を得ることができます。
テリトリーパートナーになると、交通の未来に電力を供給しながら、報酬を得ることができます。

おそらくこういう仕組みです。

充電ステーション1か所がカバーする商圏範囲を「テリトリー」とし、その充電ステーションに対して独自トークンを通じて投資することで「テリトリーパートナー」になれる。

eTukTukが充電されるごとに支払われる電力収益の一部をテリトリーパートナーは報酬として受け取る。

という分散型の直接投資事業になっているようです。

従来のビジネス手法だと、事業会社が資金調達をして充電インフラや電動化車両を普及させることを担い、その事業を応援したい人は事業会社に株式などを通じて資金供与してリターンを得る、という構図でした。

これを、充電ステーション1軒1軒に対して「テリトリーパートナー」というかたちで直接投資に近い参加をさせるようにしているのかもしれませんが、これだと立地による不均衡や設備が故障・破壊された時のダメージを一手に受けるリスクもあるため、充電ステーション全体で収益を案分する方が適切な気がします。

このあたりは公式サイトで詳細を見つけられませんでした。

このようなベンチャービジネスは株式未上場の企業が行うことが多いため、イクイティ投資だと株式上場までイグジットできない、未公開株を買うこと自体が難しい、などの課題があります。また海外から投資するのも現実的には困難です。

トークンを通じて投資資金を集めることで世界中の人が個人レベルでプロジェクトに参加できるのがトークンによるプロジェクトのメリットです。

おそらくeTukTuk車両も同じスキーム

eTukTukドライバーは客を乗せて収益を稼ぎ、客はドライバーとテリトリーパートナーに運賃としてeTukTukネットワークの資金原資を供給する。

という構造ですが、eTukTukの車両も初期投資をトークン投資家が支援し、乗車収益を案分するモデルになっているのだろうと思います。

投資家の補助によって車両の初期価格を抑えることでeTukTukの普及を後押しすれば充電ステーションの稼働率も上がります。

決済にカルダノ・ブロックチェーンを利用

eTukTukは、カルダノ・ブロックチェーンを利用することで、現金やカードを使わない、安全な取引システムによる決済も可能にするものだ。現在、スリランカではデジタル決済へのアクセスが限られており、消費者による取引の85%が現金で行われている。

ここは難易度が高いですが重要な部分です。

eTukTukプロジェクトの参加者(ドライバー・乗客・投資家)全員が、トラッキング可能な支払方法としない限りインセンティブが捕捉できません。

インセンティブを抜かれることを嫌ったドライバーと乗客が結託して現金で支払ってしまうと、車両や充電インフラの投資家にリターンが出なくなります。

投資リターンが不正行為によって目減りするなら投資されなくなります。

しかし、実際は85%が現金決済というのがスリランカの実情です。スマホはある程度普及していると思いますが、暗号資産での決済をいかに普及させられるか、そして暗号資産で支払った方が得な状態が作れるかがカギになるはずです。


■世界中から誰でも参加しやすい社会課題解決プロジェクトがweb3で実現可能に

今回のeTukTukプロジェクトの例のように、暗号資産が普及することで従来型の投資スキームだと参加が難しかったプロジェクトに、世界中どこからでも・誰でも参加できるようになることが見込まれます。

そうなれば社会課題の解決が加速度的に進むことも期待できますし、労働以外の収益を得る方法が普及することで、社会がよりよくなると自分の報酬が増え、労働以外の時間を増やすこともできるようになるかもしれません。

eTukTukプロジェクトのように実例が登場し他の事例も積み重なることで「web3で社会が良くなる」という未来がもうそこまで来ているなぁと感じます。

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