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Be yourself〜立命の記憶I~⑬

◆第8章:お酒を飲んだら眠れるの

エステが終わって、タクシーでホテルに帰ってきた私は、心身共に軽くなった感じがした。
肩こりも取れて、顔もツルツルで浮かれてたんだろうな。

フロントの時計は夕方5時を過ぎていた。

エレベーターに乗って、8階の自分の部屋に戻って、ベッドに倒れ込んだ。
はー、気持ちよかったし、面白かった。

食欲がやっぱりあまり無いせいか、どこかで美味しいものを食べようという気になれない。
どうしたもんか、と考えていたら、お酒が飲みたくなった。


そうだ、そうだ。このホテルの屋上にステキなバーがあるんだった。
外に一人で出なくても、安全にお酒が飲めていいねぇ、と思って予約したんですよ、私。

早速、部屋を出て、エレベーターで上に上がろうとする。
一番上は9階ね。で、「9」押して扉開いても、あれ、8階と同じ光景。


なんで?と思って、フロントまで降りて聞いたら、レストランのところにあるエレベーターを使えって事だった。

で、早速、ワクワクしながら大きなエレベーターのほうで8階へ。


途中で乗ってきたマレーシア人っぽい女性が、バラ柄のステキなショールを頭に巻いていたから、

「わーぉ、It’s nice shole.very beautiful. 」(そのショール素敵。とても綺麗ですね)

って言った。

そしたら、すぐ隣のベンタイン市場で買ったんだって教えてくれた。
そうなんだー、私も行こうかなー、とか言って、とにかくそのショール私すごい好きー、って言った。

そうだ。私、昔はこうやって、知らない人にもすぐ声かけて思った事言う人だった。


大人になってからあんまり言わなくなったよね、なんでだろう??楽しいのに。

8階に着くと、ガラス張りの厨房が見えた。
右側に更に上に登る階段があり、ハロウィンの装飾がしてある。


壁も床も真っ黒な大理石っぽい佇まい。
緩やかなカーブの螺旋階段を登ると、バーの入り口についた。
自動ドアを抜けて、店内に入る。


左手前の壁沿いには、大きなワインセラーがあり、中央にカウンターがある。
右側には、2段ほどの階段の先に、ソファー席。

恋人同士で並んで座ったらステキだろうな。


私が、今日最初のお客さんのようだった。
通された席は、窓際の2人掛けのテーブル。
窓には、ハロウィンの装飾である蜘蛛が並んで糸を垂らしていた。

本当はその先の、屋根のない屋上の席が良かったんだけど、雨で椅子が畳まれ、おしゃれなカラフルクッションも、一箇所に集められていた。

ホーチミンはその日は、大雨だった。
私は、やっぱり出掛けなくてもいいホテルで良かった、と、一人で席でたばこを吸い始めた。

飲み物は、ウイスキーの水割り。


最初の3杯は出てきたそのままを飲んだけど、4杯目からは氷抜きにしてもらった。


食べ物は、食欲無いから、ナッツを頼もうとしたけど、無いって言われたので、思い切って、牡蠣を頼みたくなった。シーフードが大好きな私。


でも、海外で生牡蠣なんて大丈夫かしら、と思って、みんなに連絡しちゃったんだ。

まず、バンコクの彼に聞いてみる。うん、イチイチ連絡したがりな、私。


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2016/10/29 17:22
本日は、ホーチミンに来ましたよ♪
ベトナムのホテルなどで生牡蠣食べたらダメかしら??
そこまで警戒しなくても大丈夫なもの?
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「俺の事も警戒しなくていいよ」なーんて言ってきたら・・・、キャー!!(←バカ)


しばらく待ってた私。しかし、うーむ、返事が無い。寂しい。
一人旅って、寂しいなー、ちくしょー!寂しいぞ―!!!

しょうがない。暇だから、SNSに写真でもアップしてみるか。ウェブのほうでログインした。


あ、ほら、コメントキター!
かこさん、いつも見ててくれるんだ、嬉しいなぁ。
あ、Chikako、海外旅行ってなったらコメントくれるなぁ、ホント海外好きだなあの子。

しかし、まぁ、暇・・・だな・・・。
あ、Konamiさんにも連絡してみよ。


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2016/10/29 17:54
ホーチミンに着いて、スパ堪能!
ちょっとアクシデントあって面白かったよー。明日聞いて〜。w
本日はホテルの屋上のバーで一人で飲んでます。
生牡蠣食べて大丈夫だろか…??
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やはり、すぐには返事は無い。当たり前だよね、みんなそんなに暇じゃないって。

えーい。とりあえず、頼んじゃおう。
ヘーイ、寂しい私に、大好きな生牡蠣プリーズ。

好きな人とか、好きな物が近くにあると、人って幸せになるよね。

しばらくすると、牡蠣が来たから写真を撮ってみた。

そしたら、Konamiさんから返事が来た。


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Konami
2016/10/29 18:19
いらっしゃいませー!
生牡蠣…wチャレンジャーだね 私はアジア慣れちゃったから食べることもあるが、あまり旅人にはオススメしないけどな〜笑
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えー、もう目の前にあるんだけどー。(自分で頼んだくせに)
どうしよーぅ・・・悩む・・・旅行先でお腹壊したら超イヤだもんなー。

しばらく、待ってみたけど、彼からはまだ返事が無かったので、ここはもう思い切って食べてみようと、1つ目をえいっと口に入れた。

私、一人で悶絶。
イヤー、やっぱ牡蠣好きよ!

もう一個食べちゃおう。ほほー、美味しいね、あ、ワサビ入れてくれてる。
あ、私が日本人だからサービスしてくれたの?

うーん、やっぱもう一個、食べよ!
3つくらいなら、お腹壊してもそこまでにならないでしょ。
(食べた数に比例して、お腹壊す度合いも大きくなると思っている私)

3つ目を食べたところで、少しお腹が落ち着いた。
もー、彼返事くれないなぁ。えい、写真送っちゃお。返事しろ、このやろ。


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2016/10/29 18:30
牡蠣


2016/10/29 18:32
もう3つ食べちゃった…。
明日はピザ屋さんで友達とご飯なんで、月曜日は大丈夫かと!

あー、度々酔っ払って連絡してしまってすみません。。。
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何度も連絡してウザい?ウザい?と心配だったので、酒のせいにする私。

そしたら2分後返事キター!


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ニノ
2016/10/29 18:34
大丈夫でしょ


2016/10/29 18:34
え、じゃ全部食べてもいいと思う?

ニノ
2016/10/29 18:35
一個食べようが全部食べようが一緒だと思う
一人で食べてるの?


2016/10/29 18:35
ええ。
明日しかホーチミンの元同僚の都合が合わなくてね。

ニノ
2016/10/29 18:36
そうなんね。


2016/10/29 18:36
明日のピザ屋は元IT企業の人が立ち上げた店でハノイにもあるそうで。

ニノ
2016/10/29 18:36
生牡蠣好きなんね。


2016/10/29 18:37
シーフード愛してるんですよ。

ニノ
2016/10/29 18:37
ああ、なんかそのピザ屋聞いたことあるかも
生牡蠣はバンコクでもよく食べますよ


2016/10/29 18:38
やっぱ海の幸がいいよね。
あ、なんと私カネヨの醤油持ってきましたから。w

ニノ
2016/10/29 18:38
(イイネマーク)


2016/10/29 18:41
(イイネマーク)
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こんなやり取り。
なんで一人で食べてるか聞くの?男といるか確認してるの?てことは、あたしの事好きなの?(←バカ)

色々暴走している感が否めないので、彼とのやりとりの一部をスクリーンショットで会社のみんなにグループLINEで連絡してみた。


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私「一人かどうか、気にしてる!」
私「あ、生牡蠣食べてもいいか、聞いてみたんです」
私「何それ、やっぱ遊んでる的な事を探られてる??」


刈谷さん「普通の会話です!」


私「あ、そうか。。冷静になれーわたしー」


刈谷さん「いやいや~。私でも聞くと思います!(笑)」


私「このなんだろね、一個でも全部でも同じとか言うところに冷たさをかんじるのは私だけ?」
私「あ、彼の話です。もー、ダメだ〜頭いっぱいいっぱい!」


刈谷さん「全部食べてもいい?って聞いたからだと思います。普通ですよー(笑)」


私「あ、そかそか。落ち着けあたし。」
私「正露丸持ってきたから食べよ。W」


刈谷さん「正露丸って食べ物?(笑)」


私「バーで一人で飲んでるのに笑わせないで。www」


刈谷さん「あなたですよ。ネタ元(笑)」


私「あたし今絶対変な人になってるから。W」


刈谷さん「彼に会うってなってからずっとなんで大丈夫です!(笑)」


私「だよね…。W」
私「止めるときのセリフ一覧
1.ゴムありませんから!
2.生理中ですから!
3.旦那と子供を裏切れないので!
あら、順番がおかしいな…」


刈谷さん「1.2はだから?って感じです。」


私「あ、あと、紙パンツなんで!」


刈谷さん「それも関係ないですね!」


私「えぇー」
私「人様に見せられる体じゃないんで!」
私「今日エステ7時間行ったけど。W」


刈谷さん「それも止める理由にならないですね。」


私「えぇー」


刈谷さん「すげー♪ピカピカですね~」
刈谷さん「やる気満々?(笑)」


私「ちょっと。W」
私「ドラマチックに止めるので、お楽しみに。あ、いやいや、肩透かしのほうが安心だわ。。」


刈谷さん「ホーチミンの夜を楽しんでくださーい」


私「(スタンプ:ハート)


金さん「(スタンプ:「だってすきだから」)


私「やーめーてーw」


金さん「(スタンプ:「あいたい」)」


刈谷さん「(スタンプ:爆笑)」
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はぁー、当事者の私は、色々悩むけど、それで、みんなが楽しんでくれてればいっか。
あたし、ホント、なんでこんな恋するおバカになっちゃってるんだろう。

結局、牡蠣は6個全部を食べ、お会計を終えて、1階に降りた。
正露丸食べるからいい。

たばこを吸いに玄関を出ると、結構人が歩いている。まだそんなに遅い時間じゃないからかな?


ベンタイン市場はすぐ隣。せっかく来てるんだから、多少なりとも観光くらいはしたいよ!

水割り5杯以上飲んでる私は、気が大きくなっちゃったのかな、部屋に戻ってポーチにお金を入れて、街に繰り出した。

ホテルを出て、すぐ左に曲がると、3軒先に商店っぽい感じのところが。飲み物やお菓子を売っている。


あれ、出て左行って左じゃないじゃん。しかもすげー近く。なーんだー。


で、表に、ビールケースに板乗っけただけのような台を出していて、その上にココナッツジュースが置いてあった。
ヤシの実の周りのチクチクを全部切り落として、持ちやすく小さくしてある。上を7,8cmくらいの円形状に一部を残してカットしてあって、黄色いストローが挿してあった。

私、以前サイパンに行った時に飲んだココナッツジュースにハマりまして。
日本でヤシの実のままジュース売ってるところ見たことないんだよね。


ペットボトルになって売っていたのは、飲んだことあるけど、全然味が違って、がっかりした記憶がある。まぁ嫌いでは無いんだけど。


でも、本当はやっぱり天然のそのままを飲みたいんだよなー、って思ってたから、勇気を出して、「おいくら万円?いや、おいくら万ドン?」って英語で聞いてみた。

「2万よ」

って、ちょっと愛想の無いおばちゃんが言う。
私、すぐにスマホアプリで20000を入力、約100円。


安い!素晴らしい!とにかくください!とポーチから1万ドン札を2枚出して渡した。ちょうどあって良かった。

「OK?」

と、念のため、お金渡して確認した。おばちゃん、うん、とうなずく。
よしよし。買い物出来たじゃん!


大好きなココナッツジュースを抱えて飲みながら、ごきげんの私。


更に左に曲がると、そこは、市場の前の通りで、夜間は無数のテントが張ってあり、様々なお店が軒を連ねていた。

市場の建物は、既にシャッターが閉まっていた。
明日の午前中だったら開いてるかな、明日いくぞー、と思っていた。

通りをさらに進み、右に曲がると、お花や果物が売っている。あ!果物屋さん!


私はドラゴンフルーツが大好物。皮ごと丸ままの見た目でいうと、赤いエイリアンの卵みたいだけど。
新婚旅行で泊まったモルディブのホテルで、朝食べたドラゴンフルーツが甘くて美味しくて忘れられなくて。
切ってみると、中身はサクサクとシャキシャキの中間のような程よい水分と実のバランスで、黒いゴマのような種がたくさん見える。
この種はこのまま食べてしまえる。

食べやすい食べ物が好きなんだよね、私。
スイカも種が無かったら最高なんだけど。


で、これも、また、日本で甘いのが売っていない。
台湾でお姉ちゃんに買ってきてもらったヤツは美味しかったけどなー。


赤い実バージョンと、白い実バージョンがあるんですよ。
台湾のは赤だった。モルディブのは白だったから、また白のが食べたいなーと思っていた。

とにかく、果物屋さんで、ドラゴンフルーツを買って、部屋であと一杯くらい飲みながら食べよう。そう思っていた。

通りの果物屋さんを3軒くらいみて、2軒目のお店に戻って、ドラゴンフルーツを一つ買った。


店員さんが若い男性だった。男性はいつも親切にしてくれるので、そのお店だったら食べやすい大きさにカットしてくれるかな、と思った。


カットしてくれる?と言うと、ざっくりと大きめにカットしてたから、「かして」とナイフを借りて、私が切った。
モルディブのホテルで出てきたような、さいの目の切り方に。


ありがとう、とお礼を言って、振り返ると、帰り道が不安になった。

覚えてる?私。

大丈夫大丈夫、と唱えながら、来た道を戻る。


途中で、かわいい洋服があったからつい足が止まった。この値段なら買うって金額を伝えたのに、じゃあいくらで、って交渉してくるからもう分からなくなって、明日来るから!と英語で言って、そそくさとまた歩き出した。


値段交渉はやっぱり苦手。次は、ママ友のらんちゃんと一緒に来たいな。彼女そういうのとても上手そうだから。

なんとか、道に迷わずに、というか、迷った先が、ホテルの裏側だったので、そのまま帰れた。良かった。

レストランで、「お酒を買うとこはありませんか?できればウイスキーとか」って聞いたら、「あー、外でも買えるけど、ここで作ってあげるよ」と言われて、「ありがとう、じゃ1杯だけ」と答えた。

男性のスタッフがどっちのお酒がいい?ってウイスキーを2つ出してきたので、見たことの無いラベルのほうを選んだ。

新しい物にチャレンジするの大好きよ、私。


その後、プラスチックのカップに入った水割りを貰って、お金を払って、部屋に戻ろうとすると、女性スタッフの人が、あなたのお部屋番号は?みたいに聞いてきたので、803です、とキーを見せた。

あ、ルームサービスで頼むべきだったのを、ここで貰っちゃダメだったのかな。


彼が外のお店で買わなくても、ここで作ってあげるから、と言ってくれたので、そうしました、と伝えると、女性スタッフは、男性スタッフの彼をちょっと睨んでいた。

部屋に戻った私は、ドラゴンフルーツを半分食べて、水割りを飲んだ。全部は飲めなかった。


結構お腹いっぱいで、お酒も飲みすぎてた感じがしたので、シャワーを浴びた。


スマホで時間を見ると、10時頃だったと思う。


部屋にバスローブとか置いてなくて、パジャマ持ってこなかったから、そのまま裸に紙パンツのまま、寝るしかなかった。んもー!女子力上げたいのに!恥ずかしい私!

ちょっといつもより早いけど、これだけ飲んでたら眠れるかなー、今日くらいはぐっすり寝たいよー!と思って、私はそのままベッドに倒れ込んだ。

続き→◆第9章:出掛けられないような出来事


サポート頂けるなんて、そんな素敵な事をしてくださるあなたに、 いつかお目にかかりたいという気持ちと共に、沢山のハグとキスを✨✨ 直接お会いした時に、魂の声もお伝えできるかも知れません♪ これからもよろしくお願いします!✨✨