読書記録78 2024年4月の本まとめ

一昨日、不忍ブックストリートの一箱古本市に行ってきました。だるまもいつか出店してみたい。


1.『いちばんすきな花シナリオブック完全版<下>』(2023)生方美久

一気に5話分読んでしまった。脚本を読むとドラマの映像がよみがえる。

p.33 夜々「すぐ多様性に理解があります、とか言って、」
ゆくえ「そう。理解とかいいよ、他人の価値観に理解なんてできないよ。知ってくれたらいい。干渉しなければいい。」
p.167 希子「気にするなって言われて気にしないで済むことなら、最初っから気にしてないよ」
p.219- 美鳥「勘違いされる人生だったけど、だからこそ、間違いないものがよく見えた」「勘違いがあったから、見つかったもの、出会えた人もいる」「他人の価値観なんて理解できないけど、理解したいと思える他人と、出会えることはある」

2.『小さいノート活用術』(2020)髙橋拓也

再読。読んで忘れていたフォーマット(逆算タスク)で研究発表までの計画を立てることができた。計画を立てなかったらずるずると何もやらずに時間だけが過ぎていくので危なかった。一回目に読んだ時に小さいノートにサイズを変えてみたが、しっくりこなかったので、A5かB5のノートを結局使い続けている。ある程度紙の広さがないと、字が大きいこともあって、書ききれないようだ。フォーマットは大きいノートでも使えるので、再び読んでよかった。

3.『それでも世界は回っている3』(2024)吉田篤弘

1,2巻をずいぶん前に読んだので、2巻も一緒に借りてきてどんな話だったか思い出した。<6番目のブルー>を追いかけて、オリオと叔父さんが旅をする物語だった。時間の概念と、死の概念が主なテーマになっていて、非常に関心がある分野なので面白かった。<5番目のブルー>に何を足すと<6番目のブルー>になるか、それが最後の方に分かってじんわりとした。

4.『という、はなし』(2006)フジモトマサル,吉田篤弘

フジモトマサルから送られてくる絵に対して、吉田篤弘が文章を書く連載をまとめた本。絵が先にあると、その範囲に収まる話しかできない気がする。吉田氏の文章からフジモト氏がどういう絵を描くのか気になった。もう叶わないけれど。

5.『大東京ぐるぐる自転車』(2014)伊藤礼

神保町の本屋さんで見かけて読みたくなった本。68歳で自転車に乗り始め、びっくりする距離を漕ぎ続ける筆者の東京探訪記。ちょうどスポーツ自転車を手に入れたのでどこへ行こうか考えていたところ、とてもワクワクする本だった。自転車乗りの鉄則は川沿いと言えるくらい川沿いを漕ぐ場面が多かった。輪行といって自転車を分解して電車に乗せる手段を手に入れたら、本当にどこへでもいけそうだ。

6.『もりあがれ!タイダーン ヨシタケシンスケ対談集』(2023)ヨシタケシンスケ

八戸ブックセンターで見つけて「これは!!読みたい!!」となった本。
私の好きなヨシタケシンスケが私の好きな岸本佐知子、穂村弘と対談しているなんて!それ以外も、糸井重里、かこさとし、柴田元幸など錚々たる面々で、面白い。岸本佐知子とヨシタケシンスケってやっぱりちょっと似てるんだ、だから好きなんだと思ったりした。対談後に感想を一枚の絵にまとめていて、それも見どころの一つ。

7.『哲学の先生と人生の話をしよう』(2020)國分功一郎

ちょっと前から気になっていた本。幡野広志さんの人生相談の本と雰囲気が似ていて、文章の裏にある考えを推測してスパっと答えてくれる。切れ味が鋭い感じの回答が多い。千葉雅也が解説で書いているが、頭の回転速度が異常に速く、急にアクセルを踏んで相談者に肉薄する感じがする。

8.『客観性の落とし穴』(2023)村上靖彦

客観的な論拠はあるのですか、とよく聞くが、数字だけに捉われては大切な個人の経験を見落としてしまうと全書を通して伝えてくれる本。客観性がダメと言ってるのではもちろんなく、それだけで価値判断をしてしまうことで、人に序列をつけたり、大多数の属性にしか目が向かなくなったりすることに警鐘を鳴らしている。非常に理路整然と読みやすい文章で、ためになったと思う。

9.『まず、ちゃんと聴く。』(2023)櫻井将

「聴く」「聞く」ということについて最近興味を持っていて、この本は代官山蔦屋書店のポッドキャストで知った。ポッドキャストの人がかなり熱を入れて紹介していて、そんなにためになる本なのかと期待して読んだ。確かに、聴くということを構造化していて、プラス聴くだけでなく「伝える」こともセットにしていて、わかりやすかった。まだ上司部下という悩みはないので、社会人になって再読しようと思う。

10.『「推し」で心はみたされる?』(2024)熊代亨

『推しの子』のマンガを読んでいて、「推し」って最近よく聞くなーと思っていたところ、図書館で見つけた。アイドルや芸能人の「推し」の話だけでなく、身近な人を「推せる」ことがどのように自身の幸福に結びつくかという話もあり、結構勉強になった。後輩関係が難しいと思うことが多いので、「推し」の感覚を持って接してみようと思った。

11.『成瀬は天下を取りにいく』(2023)宮島未奈

Amazonオーディブルの二ヶ月無料体験を始めた。図書館でなかなか借りられない人気の本をすぐに聴けるのはいいなと思った。初めてのオーディオブック体験だったが、散歩中や通学中に聴けるのでとても良い。いつもなら読み飛ばしてしまいそうな描写も全部読んでくれる。
これを「読んだ」と言っていいのかはよくわからない。視覚情報として読む方が、なんとなく内容を思い出せるような気がする。読み返す(ページの前の方をパッと見る)ことができないので、どんどん流れていってしまうのが、あまり慣れない。聞くことで、普段の読書体験がどういうものだったのか比較できるようになり、収穫だった。

12.『人の心はどこまでわかるか』(2000)河合隼雄

古本屋「かえりみち」の選書企画で選んでもらった本。去年の4月、病み病みの時期に頼んだので、処方箋のような本が届いてしまった。色々な現場でカウンセラーや心理の仕事をしている人から河合さんに疑問が届き、それに答えていく本で、悩みは色々だった。大学生の私にとっては第四章の大学カウンセラーの話が身近だった。河合さんはカウンセリングの時間(例えば50分)同じようにぼーっとしているそうだ。そうすると何かしらするようになるらしい。他にも子育ての話や家庭の話などいろいろ出てくるので、気になるところだけ読むのにも向いている本。

13.『スピノザの診察室』(2023)夏川草介

雄町先生みたいな人に出会いたいと思った。非凡な医療の実力がありつつ、京都の地域病院で最終期の高齢者と向き合いながら、死と生について哲学的に考え抜いている姿がとてもかっこいい。全面的な信頼を置ける人ってなかなかいないので、こういう人がいたらいいなあと憧れてしまう。夏川草介の『神様のカルテ』もそうだが、出てくる人物が柔らかくてまっすぐで、まさにこの本の表紙みたいな黄緑と黄色とクリーム色でほんわかしている雰囲気が作品全体に漂っている。


今月も面白い本がたくさんありました。
ジャンルはバラバラですが、どの本も面白かったなあ。

5月もオーディブルを併用しつつ、読書に邁進。

かしこ

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