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第二話「季節の変わり目とは」

4月になり、新たなスーツや制服を着た初々しい人達を街で見かける様になる。一ヶ月前には、彼ら彼女らはいなかった訳で、この4月・5月の初々しい人たちは、やがていつの間にか消えてしまって、一体どこに行ってしまうのだろう…と、ふと思う。

季節の変わり目とは、どの様に気付くのであろうか?

気候が変わり、暖かくなったり、暑くなったり、寒くなったりすると、
季節は変わったのだと感じるわけであるが、
一体いつ季節が変わったのかが、ぼんやりしていて解らない。

気象庁の暦の上での指標はあるのだろうけれど、
気候変動が起きる中で、従来の暦も当てにならないのである。

特に、都会にいると、空調の効いた部屋で生活している訳で、
みなさんは季節とは何か?
季節の変わり目はいつか?と考えたことがあるだろうか。

屋久島にいると単純である。
春になると花が順繰りと咲く。虫が蠢き出す。
木の芽流しの後に、あらゆるところから新芽が芽生え出す。
野苺が実をつける。
季節の変わり目を、色で、香りで、肌で感じることができるのである。


そして、今週は、島の多くの人々が、わざわざ太鼓岩に登り、
山桜を愛でている。

新入社員や新入生は、いつ初々しさを失い、
街に溶け込んでしまったのだろうか…?
都会の季節の変わり目はいつ感じたら良いのだろうか…?

…など、ふと思うことが大切なのである。

日々の生活の中で、感性を豊かに保ち、
常識に胡座をかかず、常に好奇心を持って生きる。

すると、硬くなってしまった心が、少しずつ柔らかくなって、
「ふーん…」と簡単に片付けていた同じことでも、
「えっ?面白いじゃん」と感じられる様になるのだ。

心の持ち様で、同じことでも面白くなり、つまらなくもなる。
であれば、面白く生きた方が良いのではないか?

…そう言われると、当たり前のことなのであるが、何故できないのか?
それは、自分のための時間を作っていないことに他ならない。

人が生まれながらにして持っているものは、
この心身と時間だけである。

そして、時間は減ることがあっても、
増えることはなく、買うこともできない。

自分の貴重な時間は、ボトルの中のウイスキーの様に、
毎日減っていくのである。

僕らに、あとどれ程の時間が残されているのか?

二度の癌を経験した僕は、
兎に角、60歳までを生きることを目標にしている。

この原稿を書いている今から、後170日。
一日一日が貴重な時間である。

是非、1日の中で、自分のためだけの時間を
一時間、少なくとも30分、いや10分だけでも持って、

自分とは何者かを、塾生の皆さんには、感じて欲しいと願っている。



森の黒ひげ塾
塾長 早川 典重


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