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【安曇野から発信する潤一博士の目】29~温暖化、どうする人間 その1~

図ー1、チョウノスケソウ(ドリアス、Dryas)氷河時代を代表する高山植物、草ではなく樹木
(木曽駒ヶ岳)

 今から、約260万年前に、新生代氷河時代が始まりました。その原因は、大気中の二酸化炭素濃度が低下して、温暖な気候から寒冷な気候へ変化したためです。新生代氷河時代には、図ー2,図ー3のように、10万~数万年周期の気候変動がくり返し出現しました。

図ー2、10万~数万年周期の気候変動
図ー3、10万~数万年周期の気候変動、大変動の中に数百年周期の気候変動が繰り返されている。
図ー4、10万~数万年周期の気候変動の原因(ミランコビッチ理論)

 10万~数万年周期の気候変動は、地球の公転と自転の周期性が原因です(図ー4)。(1)地球の自転軸は傾いており、21.5°~24.5°の間を4万年周期で変化しています。(2)地球は太陽のまわりを楕円軌道でまわっています。その際、太陽との距離が92000年周期で変化しています。(3)地球の自転軸の傾きの方向は、26000年周期で変化しています。
 この三つ要素を組み合わせると、地球の中緯度地域で受け取る太陽エネルギーが10万~数万年周期で変動します。これが、気候変動の周期性として表れているのです。
 この10万~数万年周期の気候変動には、現在、問題になっている温暖化は係ってはいません。大周期の中の数百年~数十年周期の変動(図ー4)に、現在、人間によって引きおこされている温暖化が係ってくる可能性が大きいのです。次回に、この問題を取り上げます。また、参考にした文献も紹介します。

(地質学者・理学博士 酒井 潤一)


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