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料理には関係ない無駄知識

料理以外の知識

私が料理の勉強を始めたのは、20歳を過ぎて料理学校に入ってからだ。
授業は基本的に、先生が前で本通りに料理を作り生徒が味見する、自分たちが教科書通り作る、その他には食品学や栄養学の勉強が主だった。
基本的には、直接料理に関係する授業だったが、料理に関係ない科目が2つあった。

1つ目が法律関係で、昔起こった公害や食品関係に関する事件などの授業
2つ目が世界中の食文化についての授業だった。
この2つは、生徒からも特に人気がなく、寝ている生徒が多数だったと記憶している。

当時の私も、授業は真面目に受けていたが積極的には受けていなかったと思う。理由は単純で、別に料理が上手くなるわけでもないし、無駄とまではいわないが、当時は食品学に興味があったため特段注力しなかった。

私は現在「料理科学の森」として活動しているが、名前通り「料理は科学(化学)」で解決できると思っていた。
しかし、勉強を続けて分かったことは、科学(化学)は後付けである。

どういうことかというと、
例えば、虫料理が出てきたら、日本人の多くが嫌がるだろう。
逆に、日本人では納豆が好きな人が多いが、海外では嫌いな人も多い。

人間の味覚は基本的に同じである。
日本人も外国人も砂糖を舐めると甘く感じる。

当たり前と言えば、当たり前の話だが、食品というのは食文化と強く紐づいている。そして、食文化は地政学(気候や地理)に強く紐づいている。
今でこそ、簡単に輸入食品が手に入るが、それでも海外の食品と豆腐や納豆などの日本食の入手の手軽さは違う。

料理の好き嫌いは主に後天的な学習によるところが大きい。
嗅覚の実験では、2歳の子供を、バラの臭いがする部屋とスカトール(うんこ)の臭いがする部屋にそれぞれ入れたところ、どちらも反応しなかったというのがある。
つまり、我々が普段感じる好きな臭い、嫌いな臭いというのは、後天的に学習して感じるものである。

うんこ → 汚いと学習 → うんこの臭いが嫌いになる
というものである。

好きになるのも同じで、分かりやすい例はバニラの匂いである
アイスクリーム → 甘い → バニラの匂いが甘い香りと学習

子供が3歳半を過ぎてくると、同じようにスカトールの臭いがする部屋に入れると、半分の子供が嫌がるようになる。

このようにして、人の好みというものが形成されている。

さて、最初の話に戻るが、科学(化学)は後付けという意味は、人間の好みの多くは文化によって形成されるところが大きい。
もちろん、本能的に甘味が好きというのはあるが、それでも砂糖だけ舐め続けている人はいない。
あくまでも、食文化が先にあり、それに合わせて料理科学で料理を構築するという考えである。

そうなってくると、当時あまり興味がなかった
「食に関する事件」や「食文化」などの知識が、料理を作るうえで必要か?っと、聞かれたら、私は必要と答えるだろう。

少なくとも、自分の中の引き出しを増やして置けば、それが後々助けになるだろう。

とは言っても、料理の勉強の方が面白いと感じるだろう。
けど安心してほしい。
結局、料理科学を突き詰めていくと、最終的には食文化に行き着くのである。だから、身がまえなく気楽に勉強すればいいと思うが、無駄と思って切り捨てるのはもったいない。
どうせ最終的には、勉強することになるのである(笑)

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