見出し画像

春を探しに

天気が良かったので、春を探しにサイクリングに出かけた。久々にサイクリングに出かけたが、この時期は体力の低下を思い知らされる。いつもはなんともない道のりも、非常に疲れる。雪で閉ざされた冬の間、いかに体力が落ちているかを思い知らされる。

春の訪れを告げる梅の花をちっとも見ないなと思っていたが、こうして自転車でふらふら歩いていると、所々の家に梅が咲いているのを見かけた。ちゃんとあったんだなあ。家と会社の往復でちっとも気づかなかったが、こうしてのんびり自転車で走っていると、気づくことが多い。のんびりするのは大事だなあ。

早春に咲く花は、黄色が多いと思う。福寿草に始まり、クロッカス、水仙、レンギョウ、菜の花、タンポポ。これは自然にそうなっているのか、人間が作り上げてきたものなのか。良く判らないけど、何かしらの理由があるんでしょうね。

気がつかなかったけど、いつの間にか桜の木が赤く萌えている。桜が咲くのも、もうすぐだ。今年は、早いな。桜が咲くと、それを合図に様々な花が咲き乱れる。桃にリンゴにサクランボ、花桃、ハナカイドウ、ライラックにチューリップ。ここ山形では、春に一斉にいろんな花が咲き乱れて、華やかな季節を迎える。一年で一番多彩で綺麗な季節かも知れない。

街中を抜けて、川沿いのサイクリングロードに出る。土手には、小さく可憐なイヌノフグリが咲いている。僕は、この青色の花を見ると春が来たんだなあと実感する。野に咲く小さい花だが、僕は大好きだ。イヌノフグリと一緒に、姫踊り子草が咲いている。こちらも小さく可憐な紫色の花を咲かせている。イヌノフグリと姫踊り子草は仲良しなのか、一緒に群生していることが多い。

つくしが出ていると思ってよく見ると、一面にたくさん生えていた。地面の色になじんでよく見えなかったのだ。意識してみると見えてくる。日頃見逃しているものも多いんだろうなあ。つくしを摘んで、おひたしにして食べた。茹でると色が濃くなり、赤くなる。採れたて新鮮でしゃきしゃきとしている。どこかほろ苦い味がする。はかまを取ったり手間がかかる割には、味が無くて大して美味しくも無いが、春の風物として頂いた。

今日は暖かく、気持ちが良い。思わず鼻歌で松任谷由実の春よ来いがでる。まだ春の訪れの遠い日は切実な思いでこの歌を口ずさんだが、今日は晴れやかで楽しい気分だ。春よ来いと歌いつつ、その春は今ここに来ているよと言う喜びが溢れてくる。

雪解け水で水量を増した川はとうとうと流れ、その向こうには、山頂にまだ白い雪を残した山々が晴れた青い空に映えている。川岸の木々は、若々しい新緑に染まりつつある。ヒバリこそまだ鳴いていないが、白鷺や青鷺、鴨や雀が川面を行き交い、小鳥がそこここで鳴いている。川の水が、段々になったところを流れる際に砕けて立てる音が気持ちいい。軽快にペダルをこいでいたが、久々のサイクリングはちょっとくたびれた。

家に帰り、渇いたのどを潤そうと冬の間は飲む気になれなかったビールを取り出して庭に出た。ちょうど日が沈むところで、久々に真っ赤な夕日を見た。春が本当に来たんだなあ。そう実感して、夕日に向かって乾杯した。今日は、良い一日だ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?