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【1分小説】愛があれば

お題:愛があれば何でもできる?
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「アヤちゃん、そいつは無理だ」
「いやいや」
「いやいやじゃなくて」

 なんてことを言っている間に、手際の良い現地スタッフにより、俺の体には次々にベルトが装着されていく。

 アヤちゃんは天使のように笑って、

「私のこと好き?」
「好きだよ」
「大好き?」
「大好きだよ」
「じゃあできるよね」
「なんで!?」

 高い高い吊り橋の上。

「言ったよね? 私のためなら何でもするって」
「言ったよ。そりゃあね。頑張って働くし、家事もするし。煙草だってやめたしさ。でもこれは」

 俺は橋の飛び込み台から眼下を見る。

「あんまりだ」

 高過ぎて下の渓流が霞んで見える。

「タクちゃんならできるよ! 小さい頃から夢だったんだ。バンジージャンプでプロポーズしてもらうの」

「アーユーオーケー?」
「ノンノンノン!」
「オーケーオーケー!」

 スタッフは爽やかな笑みで親指を立てる。

「待って待ってここのヒモ緩くない!?」
「グットラック」

 愛があれば一歩踏み出せるよ。
 そんなノリで、スタッフに背中を押されて。

「あああああ!!!」