コンサルタントが知っておきたいUXの基礎知識


今回は、2023年12月21日(木)に実施された「人生を変える!社会を変える!~これからのコンサルタントに必要な知識とスキル~(冬イベント)」の後半で、理事の矢萩邦彦さんによる基調講演「コンサルタントが知っておきたいUXの基礎知識」についてご紹介します。

UX(User Experience;ユーザーが商品やサービスを通じて得られる体験)の話をする前に、その基礎になる認知、記憶等についての話がされました。

1.認知
 認知とは、イメージ(目に見えるものだけではなく、五感で感じることができるもの)できることを認識し、意味を見出すことです。

 情報の入力(刺激)があるとシナプスが変化し、記憶も変容します。シナプスは順応性があり、脳は柔軟に変化することが分かって来ました。

認知は、先に入力されている知識によって変わります。つまり、知っているものはよく見えるのです。知識によって見えるものが非常に違います。従って、認知してもらうためには、商品やサービスについての知識を与えておくことが大変重要なのです。

2.記憶
エビングハウスの忘却曲線によると、1時間後に残っている記憶は44%、1日後には34%となり、大半のことはすぐ忘れることが分かります。しかし、意味を感じることは忘れないと考えられています。商品やサービスの意味を伝えることで、長く記憶してもらうことが期待できます。
 
3.動機付け
動機付けを伴わない行動はないというのが大前提です。受動の対義語は能動と考えられがちですが、仏教哲学では能動はあり得ません。何かのきっかけで行動すると考えるのです。

動機付けには、内発的(自分の喜びのため)、外発的(報酬、優越感)の2種類があります。

エドワード・デシの自己決定理論で、「ある行動が、自分の有能さ、自律性、関係性に対する欲求を満たす場合に、内面から意欲が湧いて来る」と言っています。ですから、内発的といっても、完全に内側からだけではないのです。

他者との関係性を感じさせるために、エモーショナルデザイン(面白さと没入感)という考え方があり、以下の3つの要素が重要です。

 動機付け:進捗を確認できるようにする(見える化)。でないとやる気がなくなる。
 情動:新しい要素が追加されないと飽きる。
 フロー(没頭):ルールを把握して、上手く行く方法を把握しておく必要がある。

 商品やサービスにこれらの要素が含まれているかどうか確認しましょう。

4.商品やサービスのデザイン
 商品やサービスに接したときに特定の体験ができるように、意図的にシステムや環境をデザインすることは可能です。しかし、体験はデザインに宿るのではなく、ユーザーの心の中に起こるので、ユーザーのフィードバックを参照して、デザインを磨く必要があります。

 ユーザーにとって、使いやすいと感じるのはどんな時でしょうか? ヤコブ・ニールセンは、システム状態の可視化(今、どんな状態にあるのかが分かる)、ユーザーの主導権と自由度(自分で操作しているということが実感できる)等の10原則を提案しています。
 

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(仲井圭二)

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