センスだけで弾いてるね
『君、演奏は上手だね。でも、センスだけで弾いてるね』
とあるバンドでのスタジオ初顔合わせの際に言われた
今でも忘れられない言葉。
これを言われた時に、なんだか胸の奥の方をグサッと刺された気がした。
その感覚は、傷ついたとか、心にダメージを負った感じではなくて
「バレた!見破られた!!」
という感覚に近かった。
べつに自分の演奏がセンスあるなんて思ったことはなかったけど、
『センスだけ』という言葉は、単純にそれ以外の知識だったり、基礎だったりが不足しているということを表しており、それはそれは“おっしゃる通り!”という感じで図星だった。
それから、その言葉を胸に、基礎知識を勉強し始めたかといえばそうではない。
仕事の関係上、音楽活動自体が困難になってしまった時期が長く続いたというのも理由のひとつだったけど、
単純にアンテナが向かなかった。
言われてグサッときたものの、何故か向かなかった。恐らく自分にとって音楽は『学び』ではなく『楽しみ』の1つだったからだと思う。
「楽しければそれでいい」
腑抜けた言葉に捉えられるかもしれないけど、当時自分の幸福感を満たすことは音楽(演奏)を楽しむことだった。
もちろん知識を蓄えたうえで行う演奏は、また格別であることは間違いないとわかっていたけど、その時は現状で足りていた。
それから15年近く経った現在は、ジャズの面白さがわかるようになったのをきっかけに、音楽の『学び』の楽しさがわかるようになった。
理論とか、構成とかまだまだ全然わからないことの方が多いけど、ジャズに触れて“学びは楽しい”と思えたのは
『センスだけで弾いてるね』
という言葉が今でも心に残っているから。
センスのうえに知識や技術を上乗せできれば、もっと楽しく演奏できる。
だからワクワクできる。
この言葉を放った人が、誉め言葉として言ったのか、皮肉を込めて言ったのか、それはわからないし、どうでもいいけれど、
『センスだけで弾いてるね』って言ってくれて、本当に感謝しかない。
今回の記事は、いつも画像を使わせてもらってるTOMOさんの記事に影響されて書きました。面白いので是非↓
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