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キューバ①

2020年ごろ、キューバに旅行に行った。

8月ごろだったと思う。

その頃、2年ほど勤めていた介護施設を運営するNPO法人を退職していた。

ノープランで、次の就職先も、次のことも何も考えておらず、何も考える余裕がないまま、もう無理だ、行けないとなって辞めており、ボロボロの状態だった。

介護施設を辞める前、よくキューバの旅行紙を読んでいた。映画ブエナビスタソシアルクラブを読んで、この世の楽園のようなところだと想像していた。

こんなところへ行ってみたい。ここへ行けば何かが変わるかもしれない、今の人生、生活、仕事悩みだらけでうまくいかなくて将来も真っ暗で毎日ギリギリだけど、こんな楽園に行けば、なにか楽しいことが待ってるかもしれない、人生観が変わる、人生が開けるかもしれない。

そんな風に思っていた。

会社を辞めると、とても次の仕事を探す気力が湧いてこなかった。

介護の仕事で、違う職場でやっていける気がしなかった。

運営する組織のゴタゴタを体験し、どこの職場に行っても、そんなゴタゴタや、人間関係が付き纏い、とてもやっていけないだろう、やっていく気になれなかった。

そんなふうにぐずぐずと絶望し先が見えない日々を送りつつ、断捨離で大量にものを捨てて部屋をすっきりさせたり、自己啓発的な本を読んだり、ジムに入って泳いだり、前向きになれるよう通院していた精神科のカウンセリング(認知行動療法)に通ったりし始めていた。ここで受けた認知行動療法とそのカウンセラーは、とても肌に合わなくて、嫌だったのだけれど、そのことはまた別の機会に。

そんなことをしていれば、なにか前に進む行動をしている気になれたような気がする。

そんな中、その時は、人生でこんなにぽっかりと時間が空く機会もそうそうないだろうし、キューバなんて遠くに行くには今しかないのではないかと思った。

今しか行けない、今行くしかない…

それが、今行かねばならない、不安や怖さや行って何をするとかではなく、今行かなくては一緒行けない、後悔する、行かなくてはならない…

そんな、ある種強迫的な、行動を起こさねばならない的に追い詰められたような気持ちになっていた。

そして、私は、キューバへの旅とホテルの手配をし、キューバへ向かうことを決めた。


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