世界一やさしい!微生物図鑑/鈴木智順

読了日2024/03/20

蟲師を読むと様々な「蟲」が出てくる
この作品における「蟲」はあくまで「蟲」であり、架空の生き物といっていい
でもこの摩訶不思議な姿や生態をした「蟲」に似た生物は、この世にいる

微生物と私たちが呼んでいる生き物は限りなくそれに近いだろう
そんなことを理由になんとなくコンポスト作りをはじめてみた
微生物、及び菌を見てみたかったのである
堆肥作りは二の次で、とにかく何か菌が見たかった

猫砂の入っていたビニール袋に、庭の土と山の落ち葉と少しの腐葉土を入れる
そしてコンポストにおけるメインアイテムといっていい、米ぬかも入れる
そこに生ゴミとしてあった、白菜の外側の葉を数枚とじゃがいもと大根の皮
準備はできた

数日後のことである
白いカビが生えていたのは

菌が見てみたかったのは見てみたかったのだけれど、いや待てカビ……これはカビ……あれ、カビと菌って……あれ……
検索すると、コンポストにとっての白かびは悪者ではなく発酵が進んでいる証なので気にせず混ぜてよしとのこと
なんだそっか〜と安心してから改めて調べると、本来なら糸状菌がでるのが良いという

カビ……菌……糸状菌……

ごちゃまぜになってきた
成人した大人の生物の知識なんてアテにならない
初歩的な知識を手に入れるなら、なるべくイラストが多く、けれどもわかりやすい説明も欲しい
微生物図鑑はそんなスタートの一歩目に最適な1冊かもしれない

あってほしいと願った糸状菌のページを真っ先にめくる
そこにあった一文「畑の嫌われ者だけど……」

どうやら糸状菌と放線菌を見間違えていたのかもしれない
糸状菌そのものは土壌には良いらしいので、堆肥には必要な要素らしい
でもどちらかというと放線菌のほうが重要か……と思いきや、放線菌も放線菌で医療分野での活躍が見込める反面、病気の可能性も秘めている種類もある……

そもそも放線菌は放線菌という名前の菌ではなく、放射状に菌糸を伸ばす種類をひっくるめている呼んでいるというだけ
おまけに最近は放射状に菌糸を伸ばさない放線菌も出てきたとか
トゲアリトゲナシトゲトゲを彷彿とさせられる放線菌である

もくじで知りたい微生物のページをめくるのも良いが、1章目の「微生物の基本的」から読んで改めて学んでいくのも良い
そもそも微生物とは、どれくらい小さければ微生物なのかもわかる
さらに微生物というと私のように菌類を思い浮かべる人も多いだろうが、同時にウイルスが出てくる人もいるだろう
なんせコロナウイルスが流行っていたのだから
このあたりの違いについても教えてくれる

合間に挟まる微生物コラムを読むのも楽しい
世界最大の生物がきのこである、なんてコラムは誰もか驚きを隠せないはずだ

コンポストを作りながら読めた1冊としてはとてもよかった
さらに詳しく微生物を学べる本を巻末で紹介してくれていたら、さらにありがたかったかもしれない……実物の写真もあったらなと思ったり……

コンポストには何やら小さな細い白い虫が出てきて、こればかりは蟲師でいうところの蟲払いをやりたい気持ちを抑えながら悩んでいる日々になってきた
どうしよう
そのくせ、屋内で育てていたほうれん草の培養土には少し米ぬかを蒔いただけなのに、白かびではない放線菌か糸状菌がある
毎日ずっとある
こっちのほうが眺めていられる、悲しい

でも微生物図鑑は役に立った

鈴木智順 監修著『微生物図鑑』にレビューを書きました

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