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今さら三国志

無料の漫画アプリで『蒼天航路』を読み始めたら、これがとても面白く、結局文庫で全巻揃えることにしてしまった。
100万人もいた黄巾の賊徒を、自国民として迎え入れるあたりの曹操には、もう「しびれる」とか「たまらん」以外の表現が見つけられない。
とにかくかっこいい。

この物語の連載当時、毎週『週刊モーニング』を買っていたので、リアルタイムで読んでいたはずなのだが、最初の数話と強烈な呂布のキャラクターしか記憶にない。
同時期、『沈黙の艦隊』も絶賛連載中で、漫画読み達はこぞって面白いと言っていたのに、こちらも全く記憶がない。

よく考えてみると、この2作品は連載期間は、私の子育てスタート時期とかぶっている。
おそらく、慣れない日常を回すことだけで疲弊していた脳は、複雑なストーリーを追いかけることや、多数登場するキャラクターを見分けて覚えることに対して、さっさと諦め全面降伏していたのだろう。
したがって、当時は、さらりと読めるギャグマンガばかり読んでいたように思う。
もったいないことをした。
あの頃『三国志』が理解できていれば、『三国志』に連なる様々な物語を楽しむことができたのに、と思う。
各所でネタにされているのに、教養がないとそれを一緒に笑うことすらできない。
そこで、どうせなら、と横山光輝版『三国志』も全巻大人買いしてみた。
これで、『パリピ孔明』に出てくる孔明の兵法ネタも、どんとこいである。

それにしても、ライターを志す人間が、なぜ、書籍を読まずマンガばかリ買っているのか、と思う向きもあろう。
そんな人たちにはこう言いたい。
「似たような漢字ばっかりの名前で、登場人物もめったやたらと多いのに、絵の力を借りずに、あのストーリーが全部理解できるとしたら天才やで、ほんま!」
と。

だから、『三国志』の入り口は、漫画でいいのだ。
いや、むしろ漫画やゲームからのスタートでなくてはならないのだ。
あの長い長い物語を最後まで完走しようと思うなら、これだけは、どうしても目で見てわかるキャラクターに並走してもらわなくてはならない。

ああ、漫画って素晴らしい。
こういう時、私はしみじみ「日本に生まれてよかった」と思うのである。

**連続投稿254日目**


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