最近の記事

日常系バンドアニメ『おあしすっ!』覚書

ここに書かれている全ては完全なフィクションです。『ぼっち・ざ・ろっく!』を見終わったので、題材が邦ロックでなくUKロックだったらどうなるだろう? と思いお遊びで設定を考えてみるなどしました。 あらすじ 県立マンチェスター高校に入学したりあむは、軽音部に入部するも持ち前の口と素行の悪さでどのバンドにも入れてもらえない。仕方なく同じ学校に通う姉・のえるに頼み込んでバンド「楽園」を結成し、まさに楽園への階段を登り始める。 キャラクター・バンド楽園(らくえん) 主人公であるり

    • 麻雀魍魎紀 EP.1「雀荘で起きた悪質な盗難事件」

      登場人物 わたし:雀荘によくいる人。弱い。 店長 :いつも明るいが、時折瞳の奥に隠し切れない闇が見える。 中本 :腕をよく組んでいて、その姿が蒙古タンメン中本の看板にいる人っぽいメンバー。陽気。 五頭身:アニポケのマーマネのパパみたいな体格をしているメンバー。会社勤めの傍らメンバーをしていたら「副業を辞めろ」と会社に怒られ、「はい、辞めます」と言って会社を辞めた。 選手 :うっかりが目立つメンバー。代走の時だけ堀慎吾くらい強くなるが、本走になると負け続けてしまう。なぜ選手と呼

      • もっかいサマーデイ、海辺のカフカ、夏への扉

        小さいころから夏が嫌いだ。暑いのが嫌だ。寒いのは厚着をするなり体を動かすなりすればどうにでもなるが、暑さにはエアコンでしか対応できない。裸になってもまだ暑くて、そこから皮も筋肉も脱ぎ捨てて骨だけになったとしても、きっとあの暑さから逃れることはできないのだ。 でもなぜだろう。これほどに嫌いなはずの夏の日々が、色あせてもなおずっと忘れられないでいる。 それは例えば、アスファルトの上で干からびているカマキリ。 それは例えば、煮出したばかりのぬるい麦茶。 それは例えば、テレビの中

        • 3月に読んだ本の感想など

          3月に読んだ本の感想などを書きます。 江國香織著『真昼なのに昏い部屋』タイトルが気になったので読んでみた。 あらすじは、会社社長の妻である美弥子さんが大学の先生であるジョーンズさんと「フィールドワーク」と呼ばれる散歩を繰り返し、次第に美弥子さんはジョーンズさんのことばかり考えるようになってしまうというもの。 単純に言えば不倫の物語であるが、本作は他のものと違って「不貞」というようなイメージを持てない不倫小説になっている。美弥子さんの価値観には幼さを感じ、まるで小中学生の恋愛

        日常系バンドアニメ『おあしすっ!』覚書

          2月に読んだ本の感想など

          2月に読んだ本の感想などを書きます。 若竹千佐子著『おらおらでひとりいぐも』芥川賞なので読んでみた。 あらすじは、74歳で一人暮らしをしている桃子さんが過去を回想するというもの。 全編を通して岩手弁が使われている場面が多く、慣れていないと読み進めていくのが難しい。また桃子さんの感情がダイレクトに文章に表れるため、読むのに体力を使う。 個人的には共感できる部分が少なく、そこまでハマるような作品ではなかった。この辺りはまた歳を取ってから読むと変わっていくのかもしれない。 全体の

          2月に読んだ本の感想など

          1月に読んだ本の感想など

          1月に読んだ本の感想などを描きます。 竹本健治著『涙香迷宮』このミスなので読んでみた。 あらすじは、天才囲碁棋士の牧場智久が、明治時代に活躍した小説家黒岩涙香の残した暗号を解くついでに殺人事件も解決する、というもの。 いろは歌をテーマにしており、言葉遊びの謎解きについては非常にレベルの高い作品。一方で、殺人事件のくだりがついでになりすぎているような印象があった。 読み味としては高田崇史著『QED』シリーズや伊勢谷武著『アマテラスの暗号』に近く、言葉遊びの謎解きが多く殺人事件

          1月に読んだ本の感想など

          12月に読んだ本の感想など

          12月に読んだ本の感想などを書きます。 宇佐美りん著『かか』芥川賞受賞作『推し、燃ゆ』が良かったので読んでみた。 あらすじは、浪人生の主人公が熊野へ旅行に向かい、道中で自身と身の回りの出来事を回想していくというもの。 「かか語」なる方言混じりの口語体で書かれており、非常に読みづらい作品になっていると感じた。方言、口語体によって主人公の人間性をより強固なものにする狙いはあるのだろうが、それにしても読みづらい。 作品のテーマ自体も「精神的に衰弱した母親との関係」という現代におい

          12月に読んだ本の感想など

          11月に読んだ本の感想など

          11月に読んだ本の感想などを書きます。 恩田陸著『蜜蜂と遠雷』直木賞作品なので読んでみた。 あらすじは、ピアノのコンクールで優勝を目指す若者たちの群像劇というもの。 個人的には約束されたサクセスストーリーを読まされている風に思い、その上で裏切りの展開も特になかったので、評価されているほど名作であるという印象は残らなかった。 ピアノのコンクールが題材ということなので演奏中の描写にはかなり力が入っており、この描写を読むための小説と言ってもいいのかもしれない。 やはり私はこういっ

          11月に読んだ本の感想など

          小説『円柱マン』

           円柱マンは悲しんだ。  彼は彼の住処である自室から外へ出てみようとしたのであるが、頭がドアにつかえて外に出ることができなかったのである。今はもはや、彼にとって永遠の住処である自室は、出入り口の所がそんなに狭かった。そして、ほの暗かった。  強いて出ていこうと試みると、彼の頭はドアの外に出るには些か横に伸びすぎており、それはまる二年の間に彼の体が発育した証拠にこそはなったが、彼を狼狽させかつ悲しませるには十分であったのだ。 「なんたる失策であることか!」  彼は自室の中でしば

          小説『円柱マン』

          轟京子のオタクがNIJIROCKに行きました。

          にじさんじに所属するバーチャルライバー、轟京子を応援し始めて2年以上になる。明るくて性格が良く、何よりギャルである。それがいい。ギャルはいい。 服飾の専門学生としてデビューし、ライバーの衣装をデザインする配信や、チャー研やボーボボやサウスパークを語る配信を行ってきた。歌系の企画にも参加し、夏には力の入ったホラー配信も行ってきた。そのどれもが私にとっては魅力的であるのだが、デビューした時期があまりよくなかったせいもあってか、登録者数という点では伸び悩み、3D化が決定する10万人

          轟京子のオタクがNIJIROCKに行きました。

          10月に読んだ本の感想など

          10月に読んだ本の感想などを書きます。 柳美里著『JR上野駅公園口』外国で人気らしいので読んでみた。 あらすじは、福島県出身のホームレスの主人公が過去を回想していく、というもの。 主人公の回想シーンの描き方が上手いと思った。上野公園にいるホームレスたちの会話をはさみながら、主人公は過去を思い出していく。主人公は年若い息子を亡くし、また妻も六十五歳で亡くし、また震災で帰るべき街をも失ってしまう。彼は作中で運が悪いという風に言われる。そんな主人公と、運の悪い人生とは一見無縁に見

          10月に読んだ本の感想など

          9月に読んだ本の感想など

          9月に読んだ本の感想などを書きます。 辻真先著『たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説』賞をたくさん獲っているので読んでみた。 あらすじは、昭和24年を舞台に、当時共学になったばかりの高校に通う、推理作家を目指している主人公の早川勝利が殺人事件に巻き込まれていくというもの。 そもそも本格ミステリがあまり好きではないので、トリックについての評価は避けておくが、物語の構成が非常に上手くできているように感じた。敗戦直後の日本における学生の姿がよく描かれている。殺人の動機もこの

          9月に読んだ本の感想など

          8月に読んだ本の感想など

          8月に読んだ本の感想などを書きます。 石沢麻依著『貝に続く場所にて』 芥川賞作品なので読んでみた。 あらすじは、ドイツのゲッティンゲンで暮らす主人公の下に、東日本大震災で行方不明になった知人が幽霊として訪れるというもの。 非常に抽象的な物語で、一度読むだけで理解ができるタイプの小説ではなかった。文章表現は綺麗なので、文章が好きであるという人は読み込んでいってもいいと思う。しかしあまりにも全体を通して綺麗な文章であるがゆえに、わざとらしいとも感じてしまった。個人的には作中で色

          8月に読んだ本の感想など

          7月に読んだ本の感想など

          7月に読んだ本の感想などを書きます。 京極夏彦著『遠巷説百物語』 京極夏彦のファンなので、発売日に買った。 あらすじは、江戸時代の遠野を舞台に、怪異と思しき事件が起きていくのだが、果たしてその正体は……というもの。 巷説百物語はシリーズものであり、その最新作だったのだが、今までのシリーズ作品と比べると完成度はそこまで高くないように感じた。短編集でありながら全体を通して一つの大きな事件に繋がっている、という構成が好きな人ならばいいかもしれないが、そのせいか一つ一つの編のクオリ

          7月に読んだ本の感想など

          職人記

           八王子の髙橋は陰キャのチー牛で、令和の元年、若くして公務員となったが、ついに試用期間を終えることなく無職となった。彼は無類のラジオ好きであり、職を辞してからは構成作家を目指し、そういった作家の養成学校に通うでもなく、人と交を断ち、ひたすらラジオの投稿コーナーへ送るネタ作りに耽った。まずハガキ職人として、自身の名声を世間やラジオ業界へ広めようと思ったのである。しかし、髙橋、ラジオネーム便邪眠(ベンジャミン)のネタは半年の時を経て二、三の採用にしか至らず、公務員時代の貯蓄は瞬く

          職人記

          5、6月に読んだ本の感想など

          5,6月に読んだ本の感想を書いていきます。 水樹奈々著『深愛』5月はエッセイ月間として多くエッセイを読んだ中の一冊。 内容は声優である水樹奈々氏が、学生時代から演歌歌手を目指し、最終的に声優という職業へ進んだ自らの半生を振り返るというもの。 読んでみて、まさしく水樹氏は努力の人であることがわかる。世の中には運や天賦の才能によって成功する者も数多くいる中で、水樹氏の現在の声優としての成功は、本人の努力なくしてはありえなかったであろうことを本書から知ることができる。もちろん、そ

          5、6月に読んだ本の感想など