僕たちは違う言葉で同じことを話していた
僕たちは違う言葉で同じことを話していた
同じことを話しているのに
言葉が違うからそれを知らないままだった
音楽でさえそうだった
彼らの鳴らす音は彼らにとって心地よさそうで
僕たちは黙って耳をふさいだ
彼らは赤を愛し、僕たちは黄色を好んだ
それでも望みは同じだった
同じ望みを持つことは時として僕らを結束させ
彼らと僕たちに諍いは絶えなかった
そのうち僕たちと彼らは僕たちと彼らの子供達を生み
子供達は違う分け方で僕たちと彼らを分けた
子供達は紫や緑を好み
混ざり合ったような声で歌った
子供達は大人になって
やがてまた争うのだろう
僕たちはと言えば屍になって漸く
同じことを話していたのだと思い至ったが
土は冷たく暗く静かで
何を話していたのだか思い出すものはなかった
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