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僕達が探していたあの欠片は、一体なんだったのか。関西編

探し物です。

あれは、二十歳を過ぎた頃。今から二十年近く前になるだろうか。

記憶があまりにも蜃気楼のように曖昧で、蟻地獄からの記憶の呼び戻しにまた抜け出せなくなりそうだ。

うっすらうっすらと書き綴ります。僕の記憶が美化されていたら申し訳ないです。

僕は、友人ポップとチャンと開園してまだ何年かしか経過していないUSJに車で行こうと計画した。おそらく、3泊くらいの予定だったと思う。

「行かなきゃ行けない理由があるんだ」

その頃付き合っていた彼女に、それぞれお別れを伝え関西女子が待っているとウキウキしていた事を思い出す。

何にウキウキしていたか。

方言女子との出会いだ。

神奈川の純粋な湘南ボーイは、車のナンバーが湘南であることで関西方面でモテるらしいと18禁雑誌の情報を鵜呑みにしてはしゃいでいた。

実際、僕達が住んでいる地域は、湘南ナンバーなのに海に面していない「山の湘南」として同じ神奈川県民から違う目で見られている。

まぁそこにいる住んでいる我々は、それをネタにすることで合コンで爆笑をかっさらっていた。

「伊勢原って知ってる?」

「しらなーい」

「知らないよねぇ。山の湘南って言われてるの」

「なにそれウケるー」

「来てみて来てみて。一緒に山登ろう。山の湘南伊勢原には、溺れる海は無いけど君には溺れるかも」

「やだ~この人面白い~」

「間違っても君の肌を露出させたりして、そこいらのサーファーみたいにむやみに皮膚痛めたりさせないから。伊勢原男子は真摯で紳士だから」

「なんでなんで?」

「だって山ビルいるから吸われるよ」

この辺までが我々世代の伊勢原の鉄板ネタである。これがフィクションならいいのだが、実際の女子の反応も僕達のイケイケ具合もこれより数段ひどかった記憶がある。

車で大阪へやってきたは良いものの、ではどうすれば出会いモテるのかの想像まではしていなかった。

結局観光にかこつけて、キャバクラへ向かう。
この辺の行動が今なお時を経ても変化していない我々の未熟さを物語っている。

「お兄ちゃん。一杯いただいてもいいですか?」

文字にすると興奮が伝わらなくて非常に残念だが、夜の光に惑わされながら関東と明らかにイントネーションが違うその喋りに僕達は興奮した。本場に来た実感と感動は、僕達をその気にさせる。

「ええよ」

なんなら僕達こそエセ関西弁になるのだ。

これぞ関西マジック。

支払いを迎えさらにビックリする。

関東の3倍くらいしたのだ。
当初伝えた予算をマルマル取られた。
明らかにおかしいのだが、関西弁の上目遣いにヘラヘラの境地を見出だしている我々には、なす術はなかった。さすが商人の街やわ。

これぞ関西マジック。

おそらく、一見さんの観光目的バレバレでやられたのであろう。

だが伊勢原市の我々世代はヤンキーの街。
当初の予算とは、財布の中身にあるお金の話だ。

我々はそれとは別にカツアゲ対策に靴下や、下着に現金を挟んでおくという習慣があった。

これぞ山の湘南テクニック

なお、この作戦はお札のみだ。私は実際にカツアゲされた時に友人が小銭を別のポケットに隠していて怖いお兄さん達に、

「おい。飛んでみろよ」

と言われて音でバレた友人を知っている。

キャッシュレス社会万歳

我々は、各々隠していたお札を取り出し、妙に勝ち誇った気分になり、どこぞの駅の焼肉屋さんに入った。

ここで、関東基準とは、全然違うウーロン杯(色が付いてるだけのほぼほぼ焼酎)を関西怖いよ。これが標準の濃さかよ。と飲みながら食べたものがある。それが、

てっちゃん(おそらく)

これを探しとるのです。

てっちゃん(おそらく)を食べた僕達3人は今だにその話題になるほど、たまらなく美味しかったのである。

おそらくホルモンの一種なのだが、その油。何とも言えない食感と焼いていて肉の油が強すぎて火柱上がるほどのものなのだ。口に入れると溶けてなくなる。

これが、関西では当たり前なのかは、全くわからない。だけど僕達は、あまりの美味しさにその日ハシゴして、てっちゃん(おそらく)を食べ。その次の日も食べたのだ。

だけど、関東で食べた事がないのだ。

ホルモンとして似た感じのものは、食べてはいるのだが、あの油と美味しさは記憶を完全に刻まれてしまっていて。てっちゃん(おそらく)という名前で出されないとどうにも違う風に感じる。

なんのはなしですか

これだけは言える。

こてっちゃん

では、絶対ない。てっちゃん(おそらく)だ。
別の呼び名を時が経過しつけられているかも知れない。あの美味しさだと「ちゃん」呼ばわりではないかも知れない。

てっさまとかに位が上がっているかもしれない。

てっちゃん(おそらく)を探しとるのです。最早20年前の記憶が正しいのか、なんなのかすらわからない。そもそも存在するのかしないのか。だけど、記憶に残ってる強烈な思い出なのだ。

今の胃袋だとおそらく油キツくてすぐ胃もたれすると思う。

てっちゃん(おそらく)。僕達の友人てっちゃん(おそらく)は今どこにいるのだろうか。

そもそも。

てっちゃん⤴️てっちゃん⤵️

関西弁で聞きたいわぁ。

ちなみに最近は、方言女子が好き過ぎで目を見て話せる自信がありません。参考までに。





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