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【レポート #44】愛知県・あま市長選挙レポート(2022 4.17)

 “愛知県選挙シリーズ” の最後は、あま市の市長選をお送りします。 2010年に誕生した若い自治体ですが、誕生から今まで市長交代は無く、今回も現職が出馬しています。 それに危機感を覚えたのか、市議職を辞して市長選に挑んだ候補者との対決です。
 そうそう、実は候補者は3名なのですが、実際に取材したのも実際の構図もほぼ現職と元市議の一騎打ちです。 何故 “第三の候補” をこんなに軽く扱うか、は、読んでいただければお分かりいただけるかと思います。
 私は決して全ての候補を平等に扱うライターでは有りません。 その時の状況に応じて扱いは変わってきます。 その点を何卒、御了承いただきつつ、お読みいただければ幸いです。


◆概要

あま市役所
  • 面積:27.49㎢(愛知県第36/54位) 愛知県の北西部に位置し、名古屋市、稲沢市、清須市、津島市、愛西市、海部郡(「海部」と書いて「あま」と読む)蟹江町、大治町と接する

  • 人口:88,659人 ※2022年4月1日現在(愛知県第17/54位) 2010年3月に海部郡七宝町、美和町、甚目寺町の3町が合併し誕生した市で、名古屋市まで約15分というアクセスの良さから名古屋市のベッドタウンとして発展し、人口は増加傾向にある

  • 七宝地区では、江戸時代末期から地場産業である七宝焼(しっぽうやき)による工芸品の製造が盛んであり、経済産業省指定の伝統的工芸品にも指定されている

 「焼き物」というとシンプルな皿や茶碗がイメージされがちだが、七宝焼はその技法から色鮮やかな陶芸品が作られている

  • 合併の際、新市の名称を「西名古屋市、名西市、海部市、海東市、あま市、西尾張市」の中から住民投票で選んでもらい「名西市」が最多だったのだが、合併協議委員の「『あま』という名前を残したい」という意向が働き、最も票数が少なかった「あま市」が選ばれた。 いわゆる「高輪ゲートウェイ駅」状態である

  • 衆議院選挙区は愛知9区に属し、長坂康正(自民・4期)氏を選氏


◆立候補者

八島 堅志 (35) 新 元市議
村上 浩司 (59) 現 4期目を目指す
林 悟   (72) 新 喫茶店経営

 八島候補は名古屋市中村区出身。 中部大学卒業後、製造メーカー営業や水道管会社役員を経て、2019年に父・進氏の後継として市議に立候補し初当選。 1期目途中ですが辞職し今回の市長選に出馬しました。「今変えよう! みんなのあま市に」をスローガンに掲げ、一気に市長の座を目指します。

 村上候補は旧海部郡甚目寺町出身。 中部大学を卒業し、2003年に甚目寺町議に初当選。 2006年には甚目寺町長選に立候補し当選、合併し町が消滅する2010年まで町長を務め、同年の新市初代市長選に出馬し当選。 以来現在まで、あま市の初代市長として職を務めています。 今回の選挙は「新たなステージへの挑戦」を掲げ、4期目を目指します。

  • 林 悟(はやし さとる)候補

 林候補は喫茶店を経営しながら政治活動を志し、市長選は前回に続いて2回目の挑戦です。「市長が替わるとあま市が変わる!」をスローガンに、市内の道路整備を優先して取り組むべきだと主張しています。


◆POINT

①市役所新庁舎建設の是非

 合併して誕生した新自治体が陥る問題として、旧自治体毎に分かれている庁舎をひとつにまとめる新庁舎を作るべきか否か、という件があります。

 同日に市長選市議選が有った北名古屋市では旧自治体の2庁舎を現在も使い続け、耐震補強を施し今後も使い続けるようですが、あま市は市内の中心付近に新庁舎を建設する計画があるようです。 行政の効率化耐震構造を考えると新庁舎建設は必要なものだと言えますが、コロナ禍が3年目に入り財政が厳しさを増す中で直ぐに必要かどうかは議論が分かれるところです。 新庁舎建設を進めたい村上候補に対し、八島候補は箱モノ行政からの転換を訴え、林候補は現市役所の隣に立てて現庁舎も併用するようにするべきだと主張しています。

②長年君臨する “村上政権”

 立候補紹介で書いたように村上候補は、あま市長を3期、合併前の甚目寺町長を1期務めていますが、林候補によると甚目寺町長は村上候補の前に1期別の方が務めていますが、その前の5期に渡って村上候補の父親が町長を務めていたようで、親子合わせて9期もの期間を “村上親子” が首長として君臨し続けています。 しかも村上甚目寺町長の前に1期務めた方は5期務めた村上父町長が後継候補として依頼し擁立したもので、それをも含めると10期に渡って “村上政権” が君臨し続けているというコトになります。

 私が取材した中では山梨県の山中湖村で長期に渡り “高村一族” が支配し続けたのと同じ現象が起きているように見えます。 これでは村上市長への権力の集中が起きていても不思議では有りません。 あま市は名古屋市のベッドタウンとして発展し続けているため目立っていないのかもしれませんが、村上候補自身が4期目という長期政権になろうとしている現状を鑑みると、どこかで “村上政権” から脱却する必要が有るのではないでしょうか。

③林候補は、何者か?

(選挙ドットコムより引用)

 ひと言で言ってしまえば「選挙だいすきおじさん」でありまして、先ほど書いたように市長選は前回(2018年)に続いて2度目の挑戦なのですが市議選も2019年と2015年の2回出馬して落選しています。 そして皆様既に察しているでしょうし上記画像にも票数が載っていますが、今回の市長選も最下位で落選し、供託金100万円も没収されています。
 ポスターにしてもHPにしても選挙と無関係な開脚画像だけが印象に残ってしまう林候補、きっと政策も滅茶苦茶なのだろうと思い選挙公報を見てみると・・・

林候補の意外な選挙公報と、やっぱり出て来た林候補の「アレ」な部分を取り上げていますので、「アレ」候補マニアの皆様にもお楽しみいただけると思います。 もちろん、主要2候補の取材を通して勝因と敗因をレポートしておりますので、是非御購入の上、お楽しみいただければと存じます。

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