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『ドリームプラン』と、ビンタ騒動と。

2022年のアカデミー賞はウィル・スミスが主役だった。何しろ、妻を侮辱されたとプレゼンターを張り倒しちゃったのだから───

脱毛症で苦しんでいるウィル・スミスの妻を揶揄したプレゼンター、クリス・ロックはビンタされた。
「ウィル・スミスにぶっ飛ばれたよ(笑)」と平気を装っていたけど、コメディアンの割にあんまり面白くなかった。

暴力を肯定するつもりは全くないけれど、あの時ウィル・スミスの妻自らが壇上に行ってクリス・ロックに抗議していたら、ウィル・スミスは面目を失っていたはず。(だって、ウィル・スミスは直前までクリス・ロックのジョークに笑っていた)
あの場は夫が行って正解。でもビンタは良くなかった。文句を言うだけに留めておけばね……。その上、放送禁止用語を叫んだのは完全に野暮。

その後の主演男優賞で受賞したのは良かった。もし受賞を逃していたらあまりに格好悪いもの。
暴力は振るうわ、放送禁止用語を言うわ、賞は取れないわではあまりに不甲斐ない。
そして、受賞スピーチの中できちんと詫びていることも考慮したい。それもただ謝るだけではなく涙を流しながら「家族を守る父親というのは、時にはリチャードのようにクレイジーになってしまうものです」とオスカーを受賞した本作に触れる当たり、お見事ですよね。(https://moviewalker.jp/news/article/1078290/p2)
最早ここまでくるとあのビンタを含めてのパフォーマンスだったんじゃないかと思えてくる。普段スポーツものは観ないのですが、今回の騒動で俄然『ドリームプラン』が気になり、鑑賞することにしました。

テニス界の招かれざる客、ウィリアム姉妹はなぜ世間との関係を拗らせてしまったのか?
映画『ドリームプラン』はその疑問に対する明快なヒントをくれました。
根っこにあるのは父親リチャードの”プラン”
子どもが生まれる前からテニスの女王を誕生させようと独自研究を重ね、経済的に苦労しながらも遠慮のない奇行・図々しさで半ば強引に英才教育を施し、物語を牽引していきます。

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