映画感想文「犬王」
配信で「犬王」を鑑賞しました。
感想を書いてみようと思います。
トップ画像はロックフェスの画像をお借りしました。
なぜにロックフェス?と思いますよね?
「犬王」は映画だしアニメーションだし、そのどちらとも関係ないではないか、と。
これがオオアリなのです。
もう映画の途中からはロックフェスばりの音楽シーンの滅多打ちなのでございます。
はい、昨年のキネマ旬報ベストテンの11位作品。
いきなりどうした?って話だけど、個人的な分析をお恥ずかしながら披露すると、キネマ旬報ベストテンの11位~15位ぐらいの作品って、尖ってる作品が多いと思います。
万人受けはしないから点数がなかなか伸びないけど、響く人にはものすごく響く。
まあランキングはあてにならないし、10位と11位で差があるかっていったらそんなことは全くないのだけど、便宜的な数字の区切りから分析すると、そんな傾向があると思います。
(逆にクリント・イーストウッドさんの作品は一定水準を超えてくるから点数を集めやすい。だからよくベストテンに入りますよね。まあでもこれは別の話)
で、この「犬王」、確かに尖ってます。
あらすじにあるように室町時代初期の平家物語琵琶法師と猿楽舞のダンサー(といっていいと思う。だってコンテンポラリーダンスみたいな踊りなんだもん)の話なのだけど、最初にちょっと書いた通り、作品の途中からは音楽シーンの雨あられ。
ロックフェス、コンサート、ミュージックビデオ。
それを面白がれるかどうかで感想は変わってくると思う。
じゃあ自分はどっちなんだというと、あまりのれなかった。。。
でもこれは好みの問題な気がします。
この「犬王」という作品はどうしてもそのミュージックシーンに目がいってしまうのだけど、実はなかなか鋭い作品でもあるのです。
「新しい表現」は虐げられた人たちから生まれてくるだったり、「表現」というものには「光と影」両方ないと深みのあるものにならないだったり、「新しい表現」の人気を利用しようとしたり潰そうとしたりする権力者だったり、友情と裏切りだったり。
いわゆる映画らしいテーマが多分に含まれているだのけど、それを丁寧に説明するというより、音楽シーンの楽しさでぐいぐい引っ張っていく印象。
それはアニメーションの持つ特長だと思うし、監督のやりたいことだと思うのだけど、もう少しお話を展開させても良かったのかなとも思うのです。
湯浅監督の作風って絵のタッチが多彩で、ある種何でもありだから、自分は「夜は短し恋せよ乙女」の方が作品世界とマッチしてたと思います。
あれぐらい話がぐちゃぐちゃしてて混沌としてても、画力があって絵として魅力あるからついていけるというか。
「犬王」に話を戻すと、作品全体としてよくよく考えると重層的な物語なのだけど、なぜか表面的な印象しか残らない。
小難しいことは置いといて、ってことかもしれないけど、う~ん、もったいない気がするなあ。
総合評価 ☆☆+☆半分
☆☆☆☆☆→すごい。うなっちゃう!世界を見る目がちょっと変わる。
☆☆☆☆ →面白い。センス・好みが合う。
☆☆☆ →まあまあ。
☆☆ →う~ん、ちょっと。。。
☆ →ガーン!
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