理想の生き方!映画「幕末太陽傳」
「幕末太陽傳」を配信で鑑賞しました。
で、感想を書いてみようと思います。
※この作品は品川が舞台なのですが、ものすごく良い作品だったので、品川まで写真を撮りに行ってしまいました。青春だぜ。
それにしても、月、明るいなあ。
1957年の邦画で、監督は川島雄三氏。
いやあ、傑作ですね。まいりました。
登場人物たちが早口で、正直台詞を聞き取れたのは、全体の6~7割。
それでも面白い!
はじめに
簡単な情報です
「軽さ」がたまらない
いやあ、冒頭にも書きましたが、傑作です。
話の中身はあらすじを読んでいただきたいのですが、自分が引き込まれたのは、なんといっても、登場人物たちの身のこなしの軽さ。
特に主人公・佐平次役のフランキー堺さんの動きの軽さといったら、もうたまらんですね。
台詞が早口で聞き取りづらいのが難ですが、その軽快な身のこなしを見てるだけで、自然と明るい気持ちになっちゃうんですよね。
映画自体はモノクロなので、色彩は白黒なのですが、映画の調子がとにかく軽くて明るい。
この「軽さ」はもう武器ですね。
小津安二郎氏の「家族」、黒澤明氏の「重厚」、溝口健二氏の「格調」。
同時代の名監督たちの特徴はそれぞれありますが、川島氏の特徴は「軽さ」。
一見軽薄に見える「軽さ」ですが、全然負けていない。
むしろ「軽さ」で勝負する川島監督はかっこいいなと思いました。
佐平次は理想の生き方
主人公の佐平次の生き方は、自分的には理想の生き方なんだよなあ。
ずるがしこいんだけど、でも自分のやり方で人助けもする。
自己のスタイルが確立されてて、誰にもこびを売らないし、遠慮もしない。
自らのタイミングで遊郭の相模屋にきて、自らのタイミングで出ていく。
こんなふうに人生送れたらなあ、と思ってしまいました。
佐平次は基本明るくてお調子者なんですけど、根アカではないんですよね。
時に咳をしてて薬を飲んでる描写が入ります。
何でもうまくこなしてしまう佐平次は、売れっこの遊女2人からももてちゃうのですが、それには全然なびかない。
理由は、身体に良くないから。
そんな感じで、たまにちょっと翳のある雰囲気を出すのだけど、それをうまく飲み込んでるところが気持ちいい。
自分の毒を自身で中和しているというか。
きっと後ろ暗い過去もあるんだろうけど、それを自分のなかでうまく処理していて、気分のよい人生を過ごそうとしている。
あんな感じで、右へ左へ小気味よく動いて生きていけたら最高だ。
しかも後ろは、たまに振り返るぐらい。
この、「たまに」っていう程度が大切。
いつも振り返ると重くなっちゃうし、全く振り返らないと、それはそれで本当に軽薄になってしまう。
軽いふりを演じているわけじゃないんだろうけど、重くなりすぎないように自身を方向付けしている。
それって、結構大事なことだよなあ。
これは自分への処世訓として刻んでおきたいです。
「アベンジャーズ」に佐平次みたいな軽いヒーローがひとりいてもいいと思うのだけど、ま、無理だな。
幻のラストシーン
この作品は、撮影当時の1957年の品川の風景から映画が始まり、そのあと幕末の品川遊郭のシーンに移っていきます。
で、ラストは、その幕末の品川の海岸を走っていく佐平次の後ろ姿で終わります。
でもウィキペディアによると、幻のラストシーンというのがあって、「佐平次がスタジオの扉を開けて、そのまま1957年の品川の街を駆け抜ける」という構想だったらしいのです。
ただ斬新すぎるという理由でみんなから反対されて、川島監督は断念したそうです。
あー、そっちのラストの方が断然いい。。。
絶対、そっちがいい。
あー、そのラスト観たかったなあ。
ということもあって、夜の品川くんだりまで写真を撮りに行ってしまいました。
めちゃくちゃ暑かったけど、海を感じられて楽しかった。
ああ、佐平次に走ってほしかったなあ。
(総合評価の下におまけあります。よかったらどうぞ)
総合評価 ☆☆☆☆☆
☆☆☆☆☆→すごい。うなっちゃう!世界を見る目がちょっと変わる。
☆☆☆☆ →面白い。センス・好みが合う。
☆☆☆ →まあまあ。
☆☆ →う~ん、ちょっと。。。
☆ →ガーン!
◇おまけ
帰り道、品川駅に向かう途中の和カフェで食事しました。
うまかった。
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