見出し画像

読んだ本のはなし 近未来もの編

 約ひと月放置してしまった…。ということで久々の更新はお盆に読んだ小説に触発されて,近未来を描いた小説を3冊の感想をつらつらと。近未来ものと言いつつそれを主眼に置いた作品は3冊目のみですが悪しからず。

「探偵AIのリアル・ディープラーニング」

 1冊目,お盆に読みました。かわいい。近未来要素はAIの活躍で,タイトルの通りAIが探偵の推理小説です。あらすじとしては主人公の父親が開発したAI探偵の「相以」と同じく開発された探偵AIと対とな”犯人”となるAI「以相」の推理バトルです。AI対AIということで,通常の推理ものとは異なる雰囲気を持っています。特に,探偵側の相以が「フレーム問題」,「不気味の壁」といったAIに起こる不具合をディープ・ラーニング(コンピューターに人間の脳と似たような構造を持たせ,学習させること)克服しながら推理を進めていく姿が印象的でした。

 今までの創作におけるAIは「人間を凌駕する完全無欠のブレイン」か「不確定要素に対応できる人間に対する当て馬」の2パターンの役目があったと思います。このストーリーではディープ・ラーニングという要素の追加(技術の進歩)によって「共に成長する相棒」という役目もできるようになったという点も印象的です。

 感想としてはストーリーは王道,ミステリー要素はAIが引き起こすシュールさと正統派ミステリーのバランスが良いな,といった印象です。また,キャラクターも魅力的で読みやすいのでライトな推理ものを読みたい方にはおすすめです。

「イシュタム・コード」

 2冊目,1年くらい前に読みました。近未来要素としては仮想空間が発展した時代という点です。主人公は高校生,仮想空間上で友人たちとともに学習および能力開発をするなどして学園生活をしています。そんな中,世界では自殺者が相次ぐという事件が起きています。全体として自殺を軸にして生きる意味について主人公が考え,さらなる自殺者を増やさないように動くいてストーリーが進んでいます。

 感想としては物足りないな,というのが正直なところ。近未来の雰囲気や,自殺を通じて生きる意味について逡巡するなど自分が好きな要素は詰まっているのですが,主人公の心理描写が希薄で感情移入しづらいという点がネックでした。あと主人公が若干俺ツエー系が入っているなところもちょっと…。全体の雰囲気が好みなだけに惜しい作品です。

「know」

 3冊目,3年くらい前に読みました。舞台は”電子葉”と呼ばれる情報処理装置を脳に移植することが義務化された超情報化社会。そこは情報のアクセス権で人々がランク分けされています。その超情報化社会の中でも高い情報アクセスの権限をもつ主人公と”すべてを知る”少女の出会いからストーリーが動き出します。すべてを知る少女の頭脳にはとある技術が組み込まれており,それを狙う組織を避けながら目的地に向かいます。そして,そこで「あること」を知るためにある人物と接触します。

 感想としては,これ好き。もう一回読みたい(語彙力の欠如)。真面目に書くと,追手から逃げる時のアクション要素,超情報化社会の光と闇,若干のミステリ要素,そしてラストの締め方,どれも好みです。そして,これらの要素が丁寧に描かれています。SF好きにおすすめしたい作品です。

最後に

 近未来ものの3冊,紹介しました。今後もこのような感じでいろいろな本や漫画をつらつら描いていきたいと思います。

 以上,お納めください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?