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穏やかな日に

今日はお休み。久しぶりにとても落ち着いて過ごせた時間が多かったです。お気に入りのカフェに行って、社会学者岸政彦先生の最近始まったPodcastをゆっくりと聞きながら、コーヒーを飲んで。その間に今まで自分が見た100分de名著の作品を見返し、一体自分は本当に実際の本を手に取ったのは何冊なのだろう?という確認をしました。

驚くことに、単純計算で40作品以上分を見ているのにも関わらず、実際に読んだのは2作品のみ。どれだけ自分が100分de名著だけで読んだ気になっているのかに愕然としました。(リスト番号の隣の番号は取り上げられた1話目のエピソード番号です。Amazon Primeのエピソードリストから作っています)

1. 25 アラン幸福論
2. 42 フランス・カフカ 変身
3. 45 パスカル パンセ
4. 65 アインシュタイン 相対性理論
5. 69 サン=テグジュペリ 星の王子さま
6. 77 夏目漱石 こころ
7. 85 トルストイ 戦争と平和
8. 101 アラビアンナイト
9. 105 ドストエフスキー 罪と罰
10. 121 旧約聖書
11. 154 フランケンシュタイン
12. 170 小泉八雲 日本の面影
13. 178 サルトル 実存主義とは何か
14. 191 アドラー 人生の意味の心理学
15. 195 司馬遼太郎スペシャル
16. 256 ジェインオースティン 高慢と偏見
17. 263 アーレント 全体主義の起源
18. 267 ラッセル 幸福論
19. 271 ソラリス
20. 279 ヴィクトル・ユゴー ノートル=ダム・ド・パリ
21. 283 松本清張スペシャル
22. 292 神谷美恵子 生きがいについて
23. 296 アルベール・カミュ ペスト
24. 312 ウンベルト・エーコ 薔薇の名前
25. 333 小松左京スペシャル
26. 357 ロジェ・カイヨワ 戦争論
27. 369 ドストエフスキー カラマーゾフの兄弟
28. 384 アーサー・C・クラークスペシャル
30. 388 コッローディ ピノッキオの冒険
31. 392 カント 純粋理性批判
32. 416 ブルデュー ディスタンクシオン
33. 425 ファノン 黒い皮膚・白い仮面
34. 441 レイ・ブラッドベリ 華氏451度
35. 445 ボーヴォワール 老い
36. 449 アレクシエーヴィチ 戦争は女の顔をしていない
37. 453 ル・ボン 群集心理
38. 471 エドガー・アラン・ポー スペシャル
39. 504 中井久夫スペシャル
40. 508 100分deフェミニズム
41. 534 ヘーゲル 精神現象学
42. 538 ナオミ・クライン ショック・ドクトリン
43. 550 シャーロック・ホームズスペシャル
44. 565 ローティ 偶然性・アイロニー・連帯

シャーロックホームズは大好きで、全て読了しているので、43番は置いておくとして、読んだことがあるのは5番・6番の誰もが読んだことのある作品のみ。書いていて思い出しましたが、20番のユゴーも読んだことがありました。でもあまりにも少なすぎる。もう改めてこれを機会に、このリスト順に読んでいこうかな。それはそれでとても楽しそうです。(これが始まりもしないか、始まったとしても突然終わる可能性もあるから、限りなく自分の中の志は低く、アイディアとして。

最近100分de名著熱が上がったのは、間違いなく朱喜哲先生の「偶然性・アイロニー・連帯」のおかげです。これが決まった時に岸先生などの有名な先生方が喜んでいらっしゃった(気がする)ところから初めてお名前を知り、予告を見れば見るほど楽しみ..!となったのを覚えています。

リアルタイムでTwitter上で先生が解説をしたり、このnoteに放映後のまとめや注釈を投稿される「今の時代だからこその」楽しみ方ができた面もあります。ローティさんのことも、この番組で初めて知り、自分で手に取るにはハードルがとても高い本のように感じます。でも伊集院さんと朱先生が会話でよりわかりやすく、今にも使える部分がある、原文の後にもっと噛み砕いていうとこういうことという部分での学びが多かった。今の時代はどうしても文字や言葉遣いに気を遣う場面が多いからこそ、どうしてその言葉を使うのか?という部分をいつもしっかりと考えてから言葉を綴りたい(願望だけではなく実際の行動の部分で)と思いました。

ちなみに、このような番組をもっと見たい、知りたいと思う理由は、現代人としてどう生きるべきか、や、今まで出会ってきた人々をどうしたら変えられるか?というために見ているわけではなく。ただただ、自分の心の中に巣食うネガティブで偏見たっぷりの小さな女の子をどうにか大人にするためです。私も人間なので、仕事のことや現代社会で生きていると「はぁ?」という気持ちになってしまう。そんな時にどうしても主観的に「ーがむかつく、ーは私のことが嫌い。私をこんな気持ちにさせて本当に許せない、一生恨んでやる、殺してやる。」などエスカレートしていく感情がいつも自分のそばにいます。

そんな時一歩引いて冷静に考えるためのヒントに、このような本の知識が役に立つのです。人を外見や一瞬の表面的な態度・言葉だけで判断しない、どうしてそんなことになったのかを多角的に考え、自分をどうにか制していきたい。そして、そのくらいしないと、この国ではいつでも心が壊れてしまう。こういうことを学ぶことが、自分の希死概念を少しだけ遠くにしてくれ、明日のために今日は寝ようという気持ちにしてくれるのです。私にとっては、5年以上飲んでいるメンタルの薬と同じくらい大事なもの。

今日見終わったのはナオミ・クラインのショック・ドクトリン。とてもとても、面白かった。そしていつも毛嫌いしていた新自由主義は私にとっては最悪な主義でしかない、と思います。解説役であるジャーナリストの堤さんの言葉がとても重かった。どの立場から見るかで見え方が変わる。新自由主義で得をする人々にとっては大成功である。許せない、どうしてこうなった、と後悔をすることしかできない(できなくさせられている)という部分がとても悔しい。そしてそれを誰かが変えてくれる瞬間を心待ちにしている。

私は今の世界っておかしいよね、と共感できると安心するらしいです。そしてどうしたらいいのかを考える。でもどんな作品を読んだり、自分で探しても合致するような答えは全く見つからない。そしてこれからもそれはずっとそうなのだろう、と思う。だからこそ力のない私はせめても自分の仕事を続けられるように(今年も契約更新していただけて本当に助かった)、そして人を変えるのではなく、自分を律し、排他的な感覚で生きないように視点を増やして生きていきたい。

さて、次はどの100分de名著を見ようかな。そういえば、ここで使われている「de」がフランス語なのか知らないのですが、そうだとすると順番が逆ですね。名著de100分だと本来のタイトルの意味になると思う、なんてどうでも良い話で今日は終わります。