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信頼関係ってなんだろう?

こんにちは。特別支援学級教員12年目のMr.チキンです。
突然ですが信頼関係ってなんでしょう?
初任者のころ、分からないなぁと思っていて、
いまだに難しい、永遠のテーマの一つかもしれません。
今回は初任者研修で聞いた言葉から考えてみたいと思います。
今日の目次はこんな感じです!お付き合いください。

わかったようなフリをしながら過ごす日々

12年前、Mr.チキンは初任者でした。
希望に燃える若者
というよりは、先輩教員から
「若いうちはやりたいことをやれば良いよ。」と言われても
「やりたいことってなんだ?」と、そこから分からないような若者でした。
そんな中、先輩から同じくらいよく言われた言葉が
「子どもと信頼関係を築きなさい」という言葉でした。
「教科のことは後で学べるから、まずは信頼関係だね。」とか
初めての懇談前に先輩から「保護者の信頼が大事だよね。」とか
いつも言われる言葉の一つが「信頼」でした。
でも、信頼関係ってなんだろう?
あまりに抽象度の高い言葉で、よくわかっていないのが正直なところで、
わかったようなフリをしながら過ごしていました。
「中休み、遊んでおけばよいのかな?」ぐらいな感覚で。

またその言葉かよ!

初任研の他校参観研修の時の事です。
私のグループの授業提供者の授業を見ました。
体育のサーキット・トレーニングだったと思います。
授業後、授業者はこんなことを言いました。
「この授業、単元の最初は自閉傾向の強いA君は参加できなかったんです。」
授業検討の主題は「なぜ、A君は参加できたのか。」というところになっていきます。
「単元の見通しがもてるようになっていたのかな。」
「教材が魅力的だったのではないか。」
などの話の中で、やっぱり最終的に多くの同期が言っていたのが
「子どもとの信頼関係が出来ていたのではないか?」
ということでした。
「なんだ、またその言葉かよ!」
と心の中で思ったMr.チキン。
こうなったら、指導主事に質問してやろう。

信頼関係っていうのは○○

信頼関係って何ですか?」単刀直入に聞きました。
指導主事は一瞬困った顔をしましたが、こう言いました。
「たとえば、語弊があるかもしれないけれど、自閉症を
”死ぬほど嫌なことがある状態”と仮定すると…」
と前置きをしながら、

”この人となら死ぬほど嫌なことでも、死んでも良いからやってやろう”
そういうのが信頼関係なんじゃないかな。」

言葉は上品なものではなかったのですが、
私の中でものすごく納得できました。
と、いうか、今まで疑問だったことがスーッと消化されました。
信頼関係っていうのは特性を超えるくらいの意欲を湧き出させる…
そんな状態のことなのか!

君はどのように手を添える?

信頼関係っていうことの状態はわかった。
じゃぁ、どのようにそれを築くのか・・・
若かった私の向学心に火が付きました。
たくさんの勉強会に参加し、校内でも経験者の方に話を聞く会を催しました。
その中で、先輩教員が
「子どもに小豆を触らせるとき、君はどのように手を添える?」
という発問を投げかける場面がありました。
その先輩教員は、重度心身障害のスペシャリストでした。
子どもに小豆を触らせるというのは、自立活動における
感覚遊びのひとつです。
私は、子どもの手の甲を持ち、小豆の方へ誘導するようにする
と伝えました。
先輩は「そのやり方もある。」としながらも、

「それでは、”小豆を触るのが怖い”という子の気持ちはどうする?
 重度心身障害の子は、そこを表すことができないこともあるよね。」

と伝えられました。

子どものすべての反応を受け入れること

僕ならこうする。
そういって、先輩教員は私の手首を下から支えました。
そして、こう言いました。

「こうして、下から支えると、子どもは怖かったら手を小豆から離すことができる。でも、さっきやったMr.チキンくんの方法だと、子どもは手を押さえつけられているでしょ。拒否する反応を出すことができない。拒否をすることもこの子たちの学びなんじゃないかな。
 子どものすべての反応を受け入れること、それはすべての反応を出すことのできる環境を整えることから始まる。そして、反応を出す、受け入れてもらうという流れが整うと、自然と信頼関係はできあがると思う。

子どもの手を下から支える発想自体が全くなかった私としては、
その支援自体も驚きだったのですが、
反応を出す、受け入れてもらうという流れが整うと、自然と信頼関係はできあがる
という考え方は、目からうろこでした。
そこからというもの、実践で迷うたびにこの言葉を思い出しています。

今、自分はどのようにこの子を支えているか

こうして、信頼関係づくりで、私は一つの指標を得たのです。
手を下から支えるように添えるというのは、一つの象徴です。
それを、今目の前の子どもに重ねるようにしています。
この子は、今、どんな感情をもっているか。
この活動をするとどんな感情に変化するか。
その時に、私はどのように支えられるのだろうか。
もちろんその方法は一通りではありません。だから悩みますね。
信頼関係を築くための足掻きは、
やっぱり永遠のテーマなのかもしれません。

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