器が好きになった私は、ファッションも好きになれるかもしれない
器が好きになってから3年、ようやく食器棚が我が家にやってきた。実家の引越しに伴って譲り受けた食器棚はガラス扉だから中が見える。目線の高さにお気に入りの器が並ぶ暮らしはいい。
そんな食器棚の良さを一番感じるのは、料理に取り掛かるときだ。
ご飯作るの面倒だなと重い腰を上げたとき、私はまず食器棚の扉を開け、今日の献立にあわせて器を選ぶ。これがとっても楽しい。あれこれ悩むわりには、どんな組み合わせでも可愛くて大満足なんだけど、でもこの悩む過程が楽しいのだ。いいねいいねと言っているうちに、いっちょ料理でもしますか!みたいな気分になってくる。
先日、そんなことを友人に話した。友人は目を輝かせながら「すごくいいね!クローゼットで服を選ぶみたい!!」と言った。
そのときは「そうなのよ!!!」と言ったけど、後からじわじわと「なるほどそうなのか」と思った。
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私はファッションに苦手意識がある。クローゼットの前に立っても「今日は何着ようかな……」とため息をつくことが多い。だから器選びと服選びが似てるなんて考えたこともなかった。
だけどよくよく考えてみたら、昔は器もそんな感じだった。
それが歳を重ね、たまたま同時期に出会ったマグとパスタ皿がどちらも美濃焼で「あら私は美濃焼が好きなのかしらん」と気付き、そこからあっという間に器が大好きになった。
たぶんタイミングがぴったり合ったのだ。いつどんな自分が何と出会うか。そのタイミングが合ったとき、人はそれを大好きになるのだと思う。
そしてもしかすると、好きになるかどうかなんて、それだけのことなのかもしれない。
そうなるといま苦手意識のあるファッションもいつか器みたいに楽しくて仕方ない時期が来るかもしれない。ファッションに限らず、いま興味がないものすべて。
そう思ったら、なんだか気持ちが楽になった。
そして同時にこれからも服をたくさん見ていこうと思った。ファッションを好きになりたい気持ちはある。それなら色んな服を見て、似合わないかもしれないけど試着して、それでほんとに似合わなくても諦めず、まあ、そういう時期だよなと思って生きていけばいいかなと思う。
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